スレッド化実行における threading.stack_size() 関数
Python のスレッド化実行における threading.stack_size() 関数
threading.stack_size()
関数は、Python のスレッド化実行において、新しく作成されるスレッドのスタックサイズを設定するために使用されます。スタックサイズは、スレッドがローカル変数や関数の呼び出し履歴などを保存するために使用するメモリ領域の大きさを指定します。
デフォルト値
threading.stack_size()
関数を呼び出さずにスレッドを作成した場合、スタックサイズはプラットフォームによって異なりますが、一般的には 1MB から 2MB 程度になります。
スタックサイズ設定の必要性
多くの場合、デフォルトのスタックサイズで問題ありません。しかし、以下の様な場合には、スタックサイズを調整する必要がある場合があります。
- スレッドが処理するデータ量が大きい場合
- 深い再帰呼び出しを行う場合
- 多くのローカル変数を必要とする場合
スタックサイズ設定方法
threading.stack_size()
関数は、以下の様に呼び出します。
threading.stack_size(size)
ここで、size
は、スレッドスタックに割り当てるメモリサイズをバイト単位で指定します。
注意点
- スタックサイズを必要以上に大きくすると、メモリ使用量が増加します。
- スタックサイズが小さすぎると、スレッドの実行中にスタックオーバーフローが発生する可能性があります。
例
以下の例は、スレッドスタックサイズを 4MB に設定してスレッドを作成する例です。
import threading
def my_thread():
# 処理内容
threading.stack_size(4 * 1024 * 1024)
thread = threading.Thread(target=my_thread)
thread.start()
補足
- スレッドスタックサイズは、スレッドの実行効率にも影響を与える可能性があります。
- スレッドスタックサイズの設定値は、実行環境によって異なる場合があります。
Python スレッド化実行における threading.stack_size() 関数のサンプルコード
import threading
def print_stack_size():
print(f"Current thread stack size: {threading.stack_size()}")
# デフォルトのスタックサイズ確認
print_stack_size()
# スタックサイズ設定
threading.stack_size(4 * 1024 * 1024)
# 設定後のスタックサイズ確認
print_stack_size()
スタックオーバーフロー発生例
import threading
def factorial(n):
if n == 0:
return 1
else:
return n * factorial(n - 1)
def my_thread():
# スタックオーバーフローが発生する再帰呼び出し
factorial(10000)
# デフォルトのスタックサイズでスレッド作成
thread = threading.Thread(target=my_thread)
thread.start()
# スタックオーバーフローが発生するため、処理が途中で停止します
スタックサイズ設定によるスタックオーバーフロー回避
import threading
def factorial(n):
if n == 0:
return 1
else:
return n * factorial(n - 1)
def my_thread():
# スタックオーバーフローを回避するためにスタックサイズを増加
threading.stack_size(16 * 1024 * 1024)
factorial(10000)
# スタックサイズを増加してスレッド作成
thread = threading.Thread(target=my_thread)
thread.start()
# スタックオーバーフローが発生せずに処理が完了します
スレッドスタックサイズと処理時間の関係
import threading
import time
def my_thread(size):
# スタックサイズ設定
threading.stack_size(size)
# 処理内容
start_time = time.time()
for i in range(100000):
pass
end_time = time.time()
# 処理時間計測
print(f"Thread stack size: {size}, Processing time: {end_time - start_time}")
# スタックサイズを変えて処理時間を比較
for size in [1024 * 1024, 4 * 1024 * 1024, 16 * 1024 * 1024]:
thread = threading.Thread(target=my_thread, args=(size,))
thread.start()
**5. スレッドスタックサイズとメモリ使用量の
スレッドスタックサイズを設定する他の方法
方法 1: スレッド生成時に stackSize 属性を指定
threading.Thread
クラスのコンストラクタには、stackSize
属性があり、スレッドスタックサイズを指定できます。
thread = threading.Thread(target=my_thread, stackSize=4 * 1024 * 1024)
方法 2: Python起動時に -X オプションを使用
Python起動時に -X
オプションを使用することで、デフォルトのスレッドスタックサイズを設定できます。
python -X stacksize=4M my_script.py
方法 3: 環境変数 THREAD_STACK_SIZE を設定
THREAD_STACK_SIZE
環境変数を設定することで、デフォルトのスレッドスタックサイズを設定できます。
export THREAD_STACK_SIZE=4M
python my_script.py
各方法の比較
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
threading.stack_size() 関数 | 個々のスレッドごとにスタックサイズを設定できる | コードが煩雑になる |
stackSize 属性 | スレッド生成時にスタックサイズを簡単に設定できる | デフォルトスタックサイズを変更できない |
-X オプション | 全てのスレッドのデフォルトスタックサイズを変更できる | Python起動時にのみ設定できる |
THREAD_STACK_SIZE 環境変数 | 全てのスレッドのデフォルトスタックサイズを変更できる | 環境変数の設定方法がプラットフォームによって異なる |
- 個々のスレッドごとにスタックサイズを細かく設定したい場合は、
threading.stack_size()
関数を使用します。 - スレッド生成時にスタックサイズを簡単に設定したい場合は、
stackSize
属性を使用します。 - 全てのスレッドのデフォルトスタックサイズを変更したい場合は、
-X
オプションまたはTHREAD_STACK_SIZE
環境変数を使用します。
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