Qt Widgets モジュールにおける QGraphicsScene::inputMethodQuery() 関数の詳細解説

2024-04-02

QGraphicsScene::inputMethodQuery() 関数は、Qt Widgets モジュールの QGraphicsScene クラスで提供される仮想関数です。この関数は、インプットメソッド(IME)がシーンに関する情報を取得するために使用されます。IME は、テキスト入力時に候補を表示したり、変換を行ったりするソフトウェアです。

機能

QGraphicsScene::inputMethodQuery() 関数は、Qt::InputMethodQuery 型の引数を受け取り、その引数によって指定された情報を返します。Qt::InputMethodQuery 型には、以下の属性が定義されています。

  • Qt::ImCursorRectangle: カーソル位置の矩形を返します。
  • Qt::ImCurrentInputContext: 現在の入力コンテキストを返します。
  • Qt::ImSurroundingText: カーソル周辺のテキストを返します。
  • Qt::ImFont: 現在のフォント情報を返します。
  • Qt::ImLanguage: 現在の言語情報を返します。

実装例

QVariant QGraphicsScene::inputMethodQuery(Qt::InputMethodQuery query) const
{
  switch (query) {
    case Qt::ImCursorRectangle:
      return cursorRect();
    case Qt::ImCurrentInputContext:
      return currentInputContext();
    case Qt::ImSurroundingText:
      return surroundingText();
    case Qt::ImFont:
      return font();
    case Qt::ImLanguage:
      return language();
    default:
      return QVariant();
  }
}

注意点

  • QGraphicsScene::inputMethodQuery() 関数は、仮想関数なので、サブクラスで必要に応じてオーバーライドできます。
  • IME がどのように情報を取得し、利用するかは、IME の実装によって異なります。
  • 本解説は、Qt 6.2.4 をベースにしています。


QGraphicsScene::inputMethodQuery() 関数のサンプルコード

QGraphicsScene scene;
QGraphicsItem *item = scene.addRect(0, 0, 100, 100);

// カーソル位置の矩形を取得
QVariant cursorRect = scene.inputMethodQuery(Qt::ImCursorRectangle);

// 矩形をQRectに変換
QRect rect = cursorRect.toRect();

// 矩形を描画
QPainter painter(&scene);
painter.drawRect(rect);

現在の入力コンテキストを取得

QGraphicsScene scene;
QGraphicsItem *item = scene.addText("Hello, world!");

// 現在の入力コンテキストを取得
QVariant inputContext = scene.inputMethodQuery(Qt::ImCurrentInputContext);

// 入力コンテキストを QInputContext に変換
QInputContext *context = inputContext.value<QInputContext *>();

// 入力コンテキストの言語を取得
QString language = context->language();

// 言語を表示
qDebug() << language;

カーソル周辺のテキストを取得

QGraphicsScene scene;
QGraphicsItem *item = scene.addText("This is a long text.");

// カーソル周辺のテキストを取得
QVariant surroundingText = scene.inputMethodQuery(Qt::ImSurroundingText);

// テキストをQStringに変換
QString text = surroundingText.toString();

// テキストを表示
qDebug() << text;

現在のフォント情報を取得

QGraphicsScene scene;
QGraphicsItem *item = scene.addText("Hello, world!");

// 現在のフォント情報を取得
QVariant font = scene.inputMethodQuery(Qt::ImFont);

// フォント情報を QFont に変換
QFont f = font.value<QFont>();

// フォントを表示
qDebug() << f.family();

現在の言語情報を取得

QGraphicsScene scene;
QGraphicsItem *item = scene.addText("こんにちは、世界!");

// 現在の言語情報を取得
QVariant language = scene.inputMethodQuery(Qt::ImLanguage);

// 言語情報を QLocale に変換
QLocale locale = language.value<QLocale>();

// 言語を表示
qDebug() << locale.name();


QGraphicsScene::inputMethodQuery() 関数の代替方法

QGraphicsScene::inputMethodQuery() 関数は、シーン全体に関する情報を取得しますが、QGraphicsItem::inputMethodQuery() 関数は、個々のアイテムに関する情報を取得できます。これは、アイテムごとに異なる IME 設定を使用したい場合に便利です。

QGraphicsItem *item = scene.addText("Hello, world!");

// アイテムのカーソル位置の矩形を取得
QVariant cursorRect = item->inputMethodQuery(Qt::ImCursorRectangle);

QInputContext クラスは、IME と直接やり取りするためのクラスです。QGraphicsScene::inputMethodQuery() 関数は、このクラスを使用して情報を取得しています。

QInputContext *context = QInputContext::current();

// 現在の言語を取得
QString language = context->language();

IME 固有の API

多くの IME は、独自の API を提供しています。これらの API を使用すると、QGraphicsScene::inputMethodQuery() 関数では取得できない詳細な情報を取得することができます。

  • シーン全体に関する情報を取得したい場合は、QGraphicsScene::inputMethodQuery() 関数が最も簡単です。
  • アイテムごとに異なる IME 設定を使用したい場合は、QGraphicsItem::inputMethodQuery() 関数を使用する必要があります。
  • より詳細な情報が必要な場合は、QInputContext クラスまたは IME 固有の API を使用する必要があります。



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