Qt Widgets: QTextBrowser::anchorClicked() シグナルの徹底解説
Qt WidgetsにおけるQTextBrowser::anchorClicked()の詳細解説
概要
用途
このシグナルは、ユーザーがクリックしたアンカーの情報に基づいて、さまざまなアクションを実行するために使用できます。例えば、以下のことができます。
- アンカーに関連するURLを開く
- アンカーのテキストを別のウィジェットに表示する
- アンカーのIDに基づいて、カスタムアクションを実行する
シグナルの詳細
QTextBrowser::anchorClicked()シグナルは以下の引数を持ちます。
- QUrl url: クリックされたアンカーのURL
- bool& followLink: デフォルトでtrueに設定されています。この値をfalseに設定すると、QTextBrowserはデフォルトの動作(URLを開くなど)を実行せず、シグナルの受信者に処理を委ねます。
使用例
以下のコードは、QTextBrowser::anchorClicked()シグナルを使用して、クリックされたアンカーのURLを新しいタブで開く例です。
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// QTextBrowserの作成
QTextBrowser textBrowser;
// HTML形式のテキストを設定
textBrowser.setHtml("<a href='https://www.qt.io'>Qt公式サイト</a>");
// anchorClicked()シグナルの接続
QObject::connect(&textBrowser, &QTextBrowser::anchorClicked, [](const QUrl &url) {
// 新しいタブでURLを開く
QDesktopServices::openUrl(url);
});
textBrowser.show();
return app.exec();
}
- QTextBrowser::setOpenExternalLinks()プロパティを使用して、QTextBrowserがデフォルトで外部URLを開くかどうかを設定できます。
- QTextBrowser::anchorAt()関数を使用して、指定された座標にあるアンカーを取得できます。
- QTextCursor::anchor()関数を使用して、現在のカーソル位置にあるアンカーを取得できます。
Qt WidgetsにおけるQTextBrowser::anchorClicked()のサンプルコード集
アンカーのURLを新しいタブで開く
QObject::connect(&textBrowser, &QTextBrowser::anchorClicked, [](const QUrl &url) {
// 新しいタブでURLを開く
QDesktopServices::openUrl(url);
});
アンカーのテキストを別のウィジェットに表示する
QObject::connect(&textBrowser, &QTextBrowser::anchorClicked, [=](const QUrl &url) {
// アンカーのテキストを取得
QString text = textBrowser.anchorAt(url).text();
// 別のウィジェットにテキストを表示
otherWidget->setText(text);
});
アンカーのIDに基づいて、カスタムアクションを実行する
// アンカーIDと実行するアクションのマッピング
QMap<QString, std::function<void()>> actionMap;
actionMap["home"] = []() { /* ホームページを開く */ };
actionMap["about"] = []() { /* アプリケーション情報ダイアログを表示 */ };
QObject::connect(&textBrowser, &QTextBrowser::anchorClicked, [=](const QUrl &url) {
// アンカーのIDを取得
QString id = url.fragment();
// マッピングに存在するIDであれば、対応するアクションを実行
if (actionMap.contains(id)) {
actionMap[id]();
}
});
アンカーをクリックできないようにする
textBrowser->setTextInteractionFlags(Qt::TextBrowserInteraction::NoTextInteraction);
アンカーのスタイルを設定する
// アンカーのスタイルシートを設定
textBrowser->setStyleSheet("a { color: blue; text-decoration: underline; }");
アンカーのカーソル形状を設定する
textBrowser->setCursor(Qt::PointingHandCursor);
- 上記のコードはあくまで例であり、必要に応じて変更する必要があります。
- Qt公式ドキュメントやチュートリアルを参照することで、より詳細な情報を得ることができます。
QTextBrowser::anchorClicked() 以外の方法
QTextCursor::anchor() 関数を使用して、現在のカーソル位置にあるアンカーを取得できます。アンカーを取得したら、そのアンカーの URL やテキストなどの情報に基づいて処理を行うことができます。
QTextCursor cursor = textBrowser->textCursor();
if (cursor.hasSelection()) {
// 選択範囲内にアンカーがあるかどうか確認
if (cursor.anchor() != cursor.position()) {
// アンカーを取得
QTextAnchor anchor = cursor.anchor();
// アンカーの情報を処理
// ...
}
}
QMouseEvent フィルター
QTextBrowser に QMouseEvent フィルターをインストールすることで、マウスイベントを捕捉し、アンカーをクリックしたかどうかを判断することができます。
class MouseEventFilter : public QObject {
bool eventFilter(QObject *obj, QEvent *event) override {
if (event->type() == QEvent::MouseButtonPress) {
QMouseEvent *mouseEvent = static_cast<QMouseEvent *>(event);
// マウスイベントがアンカー上にあるかどうか確認
if (textBrowser->anchorAt(mouseEvent->pos())) {
// アンカークリック処理を行う
// ...
return true;
}
}
return false;
}
};
// フィルターのインストール
MouseEventFilter filter;
textBrowser->installEventFilter(&filter);
QWebEngineView
Qt WebEngine モジュールを使用している場合は、QWebEngineView クラスを使用することができます。QWebEngineView は、HTML コンテンツを表示するウィジェットであり、アンカークリックなどのイベントを処理することができます。
QWebEngineView view;
view.load(QUrl("https://www.example.com/"));
// アンカークリックシグナルの接続
QObject::connect(&view, &QWebEngineView::anchorClicked, [](const QUrl &url) {
// アンカークリック処理を行う
// ...
});
どの方法を使用するべきかは、アプリケーションの要件によって異なります。
- シンプルな処理であれば、QTextBrowser::anchorClicked() シグナルを使用するのが最も簡単です。
- より複雑な処理を行う場合は、QTextCursor::anchor() 関数や QMouseEvent フィルターを使用する必要があります。
- Web ページを表示する場合は、QWebEngineView クラスを使用するのが便利です。
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