複雑な並行処理をシンプルに! contextvars モジュールによるコンテキスト管理

2024-04-02

Pythonの並行実行におけるcontextvarsモジュールの解説

スレッドローカルな状態をより簡単に管理できる

contextvarsモジュールでは、コンテキスト変数を定義し、そのスコープ内でアクセスすることができます。従来のthreading.localモジュールでは、スレッドローカルな属性を直接アクセスする必要がありましたが、contextvarsモジュールでは、より自然な構文でコンテキスト変数を扱えます。

ネストされたコンテキストをサポートする

contextvarsモジュールでは、コンテキスト変数をネストさせることができます。これは、複数のコンテキストが同時に存在する複雑な処理において、コンテキスト変数を管理する際に役立ちます。

非同期処理にも対応

contextvarsモジュールは、asyncioなどの非同期処理ライブラリにも対応しています。これは、並行実行におけるコンテキスト管理を統一的に行うことができるという利点があります。

contextvarsモジュールの使い方

コンテキスト変数の定義

from contextvars import ContextVar

# コンテキスト変数を定義
user_id = ContextVar("user_id")

コンテキスト変数のスコープ

# コンテキスト変数の値を設定
with user_id.set("alice"):
    # このブロック内では、user_id.get() は "alice" を返す
    print(user_id.get())

# コンテキスト変数の値がクリアされる
print(user_id.get())  # None

ネストされたコンテキスト

with user_id.set("alice"):
    with request_id.set("12345"):
        # このブロック内では、user_id.get() は "alice" を返し、
        # request_id.get() は "12345" を返す
        print(user_id.get(), request_id.get())

非同期処理

async def my_coroutine():
    # コンテキスト変数の値を設定
    with user_id.set("alice"):
        # 非同期処理
        await asyncio.sleep(1)

        # コンテキスト変数の値を取得
        print(user_id.get())

asyncio.run(my_coroutine())

contextvarsモジュールは、Pythonにおける並行実行におけるコンテキスト管理を容易にする強力なライブラリです。従来のthreading.localモジュールと比較して、多くの利点があり、複雑な並行処理をより簡単に記述することができます。



contextvarsモジュールのサンプルコード

複数スレッドにおけるコンテキスト変数の使用

from contextvars import ContextVar

# コンテキスト変数を定義
user_id = ContextVar("user_id")

def worker(user_id):
    # コンテキスト変数の値を設定
    with user_id.set(user_id):
        # コンテキスト変数の値を取得
        print(f"スレッドID: {threading.get_ident()} - ユーザーID: {user_id.get()}")

# 複数のスレッドで実行
for i in range(3):
    threading.Thread(target=worker, args=(f"user-{i+1}",)).start()

ネストされたコンテキスト

from contextvars import ContextVar

# コンテキスト変数を定義
user_id = ContextVar("user_id")
request_id = ContextVar("request_id")

def worker():
    # コンテキスト変数の値を設定
    with user_id.set("alice"):
        with request_id.set("12345"):
            # コンテキスト変数の値を取得
            print(f"ユーザーID: {user_id.get()} - リクエストID: {request_id.get()}")

worker()

非同期処理におけるコンテキスト変数の使用

from contextvars import ContextVar
import asyncio

# コンテキスト変数を定義
user_id = ContextVar("user_id")

async def my_coroutine():
    # コンテキスト変数の値を設定
    with user_id.set("alice"):
        # 非同期処理
        await asyncio.sleep(1)

        # コンテキスト変数の値を取得
        print(f"ユーザーID: {user_id.get()}")

asyncio.run(my_coroutine())

Flaskアプリケーションにおけるコンテキスト変数の使用

from contextvars import ContextVar
from flask import Flask

app = Flask(__name__)

# コンテキスト変数を定義
user_id = ContextVar("user_id")

@app.route("/")
def index():
    # コンテキスト変数の値を設定
    with user_id.set("alice"):
        # コンテキスト変数の値を取得
        print(f"ユーザーID: {user_id.get()}")

        return "Hello, World!"

if __name__ == "__main__":
    app.run()


contextvarsモジュール以外の方法

スレッドローカル属性

threading.localモジュールを使用することで、スレッドローカルな属性を作成することができます。

import threading

# スレッドローカルな属性を作成
user_id = threading.local()

def worker():
    # スレッドローカルな属性に値を設定
    user_id.value = "alice"

    # スレッドローカルな属性の値を取得
    print(f"スレッドID: {threading.get_ident()} - ユーザーID: {user_id.value}")

# 複数のスレッドで実行
for i in range(3):
    threading.Thread(target=worker).start()

独自のコンテキストマネージャを作成することで、コンテキスト変数を管理することができます。

class ContextManager:
    def __init__(self, value):
        self.value = value

    def __enter__(self):
        # コンテキストに入る前に実行
        return self.value

    def __exit__(self, exc_type, exc_value, exc_traceback):
        # コンテキストから出る前に実行
        pass

def worker():
    # コンテキストマネージャを使用
    with ContextManager("alice"):
        # コンテキスト変数の値を取得
        print(f"ユーザーID: {self.value}")

worker()

依存関係注入

contextvarsモジュールと組み合わせることで、依存関係注入フレームワークを使用してコンテキスト変数を管理することができます。

from contextvars import ContextVar
from injector import inject

# コンテキスト変数を定義
user_id = ContextVar("user_id")

class MyService:
    @inject
    def __init__(self, user_id: ContextVar):
        self.user_id = user_id

    def get_user_id(self):
        return self.user_id.get()

def worker():
    # コンテキスト変数の値を設定
    with user_id.set("alice"):
        # サービスのインスタンスを取得
        service = MyService()

        # コンテキスト変数の値を取得
        print(f"ユーザーID: {service.get_user_id()}")

worker()

これらの方法は、contextvarsモジュールよりも複雑ですが、より柔軟なコンテキスト管理を実現することができます。

contextvarsモジュールは、Pythonにおける並行実行におけるコンテキスト管理を容易にする強力なライブラリです。しかし、状況によっては、他の方法の方が適している場合があります。

どのような方法を選択するかは、開発するアプリケーションの要件によって異なります。




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