Qt Widgets モジュールにおける QGraphicsScene::inputMethodQuery() 関数の詳細解説
QGraphicsScene::inputMethodQuery()
関数は、Qt Widgets モジュールの QGraphicsScene クラスで提供される仮想関数です。この関数は、インプットメソッド(IME)がシーンに関する情報を取得するために使用されます。IME は、テキスト入力時に候補を表示したり、変換を行ったりするソフトウェアです。
機能
QGraphicsScene::inputMethodQuery()
関数は、Qt::InputMethodQuery
型の引数を受け取り、その引数によって指定された情報を返します。Qt::InputMethodQuery
型には、以下の属性が定義されています。
- Qt::ImCursorRectangle: カーソル位置の矩形を返します。
- Qt::ImCurrentInputContext: 現在の入力コンテキストを返します。
- Qt::ImSurroundingText: カーソル周辺のテキストを返します。
- Qt::ImFont: 現在のフォント情報を返します。
- Qt::ImLanguage: 現在の言語情報を返します。
実装例
QVariant QGraphicsScene::inputMethodQuery(Qt::InputMethodQuery query) const
{
switch (query) {
case Qt::ImCursorRectangle:
return cursorRect();
case Qt::ImCurrentInputContext:
return currentInputContext();
case Qt::ImSurroundingText:
return surroundingText();
case Qt::ImFont:
return font();
case Qt::ImLanguage:
return language();
default:
return QVariant();
}
}
注意点
QGraphicsScene::inputMethodQuery()
関数は、仮想関数なので、サブクラスで必要に応じてオーバーライドできます。- IME がどのように情報を取得し、利用するかは、IME の実装によって異なります。
- 本解説は、Qt 6.2.4 をベースにしています。
QGraphicsScene::inputMethodQuery() 関数のサンプルコード
QGraphicsScene scene;
QGraphicsItem *item = scene.addRect(0, 0, 100, 100);
// カーソル位置の矩形を取得
QVariant cursorRect = scene.inputMethodQuery(Qt::ImCursorRectangle);
// 矩形をQRectに変換
QRect rect = cursorRect.toRect();
// 矩形を描画
QPainter painter(&scene);
painter.drawRect(rect);
現在の入力コンテキストを取得
QGraphicsScene scene;
QGraphicsItem *item = scene.addText("Hello, world!");
// 現在の入力コンテキストを取得
QVariant inputContext = scene.inputMethodQuery(Qt::ImCurrentInputContext);
// 入力コンテキストを QInputContext に変換
QInputContext *context = inputContext.value<QInputContext *>();
// 入力コンテキストの言語を取得
QString language = context->language();
// 言語を表示
qDebug() << language;
カーソル周辺のテキストを取得
QGraphicsScene scene;
QGraphicsItem *item = scene.addText("This is a long text.");
// カーソル周辺のテキストを取得
QVariant surroundingText = scene.inputMethodQuery(Qt::ImSurroundingText);
// テキストをQStringに変換
QString text = surroundingText.toString();
// テキストを表示
qDebug() << text;
現在のフォント情報を取得
QGraphicsScene scene;
QGraphicsItem *item = scene.addText("Hello, world!");
// 現在のフォント情報を取得
QVariant font = scene.inputMethodQuery(Qt::ImFont);
// フォント情報を QFont に変換
QFont f = font.value<QFont>();
// フォントを表示
qDebug() << f.family();
現在の言語情報を取得
QGraphicsScene scene;
QGraphicsItem *item = scene.addText("こんにちは、世界!");
// 現在の言語情報を取得
QVariant language = scene.inputMethodQuery(Qt::ImLanguage);
// 言語情報を QLocale に変換
QLocale locale = language.value<QLocale>();
// 言語を表示
qDebug() << locale.name();
QGraphicsScene::inputMethodQuery() 関数の代替方法
QGraphicsScene::inputMethodQuery()
関数は、シーン全体に関する情報を取得しますが、QGraphicsItem::inputMethodQuery()
関数は、個々のアイテムに関する情報を取得できます。これは、アイテムごとに異なる IME 設定を使用したい場合に便利です。
QGraphicsItem *item = scene.addText("Hello, world!");
// アイテムのカーソル位置の矩形を取得
QVariant cursorRect = item->inputMethodQuery(Qt::ImCursorRectangle);
QInputContext
クラスは、IME と直接やり取りするためのクラスです。QGraphicsScene::inputMethodQuery()
関数は、このクラスを使用して情報を取得しています。
QInputContext *context = QInputContext::current();
// 現在の言語を取得
QString language = context->language();
IME 固有の API
多くの IME は、独自の API を提供しています。これらの API を使用すると、QGraphicsScene::inputMethodQuery()
関数では取得できない詳細な情報を取得することができます。
- シーン全体に関する情報を取得したい場合は、
QGraphicsScene::inputMethodQuery()
関数が最も簡単です。 - アイテムごとに異なる IME 設定を使用したい場合は、
QGraphicsItem::inputMethodQuery()
関数を使用する必要があります。 - より詳細な情報が必要な場合は、
QInputContext
クラスまたは IME 固有の API を使用する必要があります。
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