QShortcutクラスとの比較：QWidget::setShortcutEnabled()のメリットとデメリット

Qt WidgetsにおけるQWidget::setShortcutEnabled()解説

QWidget::setShortcutEnabled()は、Qt Widgetsモジュールで提供される関数で、ウィジェットに割り当てられたショートカットキーの有効・無効を切り替えます。

機能

この関数は、以下の機能を提供します。

• ウィジェットに割り当てられたショートカットキーの有効・無効を切り替え
• 特定のウィジェットにのみ有効なショートカットキーを設定
• ウィジェットの状態変化に伴うショートカットキーの自動有効・無効化

使い方

QWidget::setShortcutEnabled()は以下の形式で呼び出します。

void QWidget::setShortcutEnabled(int id, bool enable);

• id: ショートカットキーの識別番号
• enable: ショートカットキーの有効・無効設定
  • true: 有効
  • false: 無効

例

以下の例は、Ctrl+Sキーをウィジェットの保存機能に割り当て、有効にする例です。

// ウィジェットの作成
QWidget widget;

// ショートカットキーの識別番号を取得
int shortcutId = widget.grabShortcut(Qt::Key_S, Qt::ControlModifier);

// ショートカットキーを有効にする
widget.setShortcutEnabled(shortcutId, true);

// 保存機能の実装
void save() {
  // ...
}

// ショートカットキー押下時の処理
void widget::keyPressEvent(QKeyEvent* event) {
  if (event->key() == Qt::Key_S && event->modifiers() & Qt::ControlModifier) {
    save();
  }
}

注意事項

• 通常、QWidget::setShortcutEnabled()を直接呼び出す必要はありません。Qtはウィジェットの状態変化に伴い、自動的にショートカットキーの有効・無効を切り替えます。
• 特定のウィジェットのみ有効なショートカットキーを設定したい場合、またはウィジェットの状態変化に伴う自動有効・無効化を抑制したい場合は、この関数を呼び出す必要があります。
• ショートカットキーは、複数のウィジェットで共有できます。

補足

• 上記の例では、grabShortcut()を使用してショートカットキーの識別番号を取得しています。
• keyPressEvent()イベントハンドラを使用して、ショートカットキー押下時の処理を実装しています。
• Qt::Key_SとQt::ControlModifierは、それぞれSキーとCtrlキーを表すQtの定数です。

QWidget::setShortcutEnabled() のサンプルコード

class MyWidget : public QWidget {
  Q_OBJECT
public:
  MyWidget() {
    // ボタンの作成
    QPushButton* button = new QPushButton("保存");

    // ショートカットキーの設定
    button->setShortcut(Qt::Key_S);

    // ウィジェットの状態変化に伴う自動有効・無効化
    connect(this, &MyWidget::enabledChanged, button, &QPushButton::setEnabled);
  }
protected:
  void changeEvent(QEvent* event) override {
    QWidget::changeEvent(event);

    if (event->type() == QEvent::EnabledChange) {
      // ウィジェットの有効・無効状態が変化した
      emit enabledChanged(isEnabled());
    }
  }
};

説明

• MyWidgetクラスは、QWidgetクラスを継承したカスタムウィジェットです。
• コンストラクタ内で、QPushButtonオブジェクトを作成し、setShortcut()を使用してCtrl+Sキーを保存機能に割り当てています。
• connect()を使用して、MyWidgetのenabledChangedシグナルとQPushButtonのsetEnabled()スロットを接続しています。
• changeEvent()イベントハンドラは、ウィジェットの有効・無効状態が変化した際にenabledChangedシグナルを発します。
• enabledChangedシグナルは、QPushButtonのsetEnabled()スロットを呼び出し、ボタンの有効・無効状態をウィジェットの有効・無効状態に合わせます。

特定のウィジェットのみ有効なショートカットキー

class MyDialog : public QDialog {
  Q_OBJECT
public:
  MyDialog() {
    // テキストエディットの作成
    QTextEdit* edit = new QTextEdit;

    // ショートカットキーの設定
    edit->setShortcut(Qt::Key_S, Qt::ControlModifier);

    // 特定のウィジェットのみ有効なショートカットキー
    edit->setAttribute(Qt::WA_AcceptTouchEvents);
  }
};

説明

• MyDialogクラスは、QDialogクラスを継承したカスタムダイアログです。
• setAttribute()を使用して、Qt::WA_AcceptTouchEvents属性を設定することで、MyDialog内でのみショートカットキーが有効になります。

複数ウィジェットで共有するショートカットキー

class MyMainWindow : public QMainWindow {
  Q_OBJECT
public:
  MyMainWindow() {
    // ウィジェットの作成
    QWidget* widget1 = new QWidget;
    QWidget* widget2 = new QWidget;

    // ショートカットキーの設定
    widget1->setShortcut(Qt::Key_S);
    widget2->setShortcut(Qt::Key_S);

    // 複数ウィジェットで共有するショートカットキー
    QShortcut* shortcut = new QShortcut(Qt::Key_S, this);
    connect(shortcut, &QShortcut::activated, this, &MyMainWindow::onShortcutActivated);
  }
private slots:
  void onShortcutActivated() {
    // ショートカットキー押下時の処理
  }
};

説明

• MyMainWindowクラスは、QMainWindowクラスを継承したカスタムメインウィンドウです。
• QShortcutオブジェクトを作成し、Qt::Key_Sキーを割り当ててメインウィンドウに関連付けます。
• connect()を使用して、QShortcutのactivatedシグナルとMyMainWindowのonShortcutActivated()スロットを接続します。
• onShortcutActivated()スロットは、ショートカットキー押下時に処理を実行します。

QAction との組み合わせ

class MyAction : public QAction {
  Q_OBJECT
public:
  MyAction(QObject* parent = nullptr) : QAction(parent) {
    // ショートカットキーの設定
    setShortcut(Qt::Key_S);

    // アクションの実装
    connect(this, &QAction::triggered, this, &MyAction::onTriggered);
  

QWidget::setShortcutEnabled() 以外の方法

QShortcutクラスは、ウィジェットに依存せず、アプリケーション全体で有効なショートカットキーを設定することができます。

// ショートカットキーの作成
QShortcut* shortcut = new QShortcut(Qt::Key_S, this);

// ショートカットキー押下時の処理
connect(shortcut, &QShortcut::activated, this, &MyMainWindow::onShortcutActivated);

QKeySequenceクラスは、複数のキーを組み合わせたショートカットキーを設定することができます。

// ショートカットキーの作成
QKeySequence shortcutSequence(Qt::Key_Control | Qt::Key_S);

// ショートカットキーの設定
widget->setShortcut(shortcutSequence);

// ショートカットキー押下時の処理
void widget::keyPressEvent(QKeyEvent* event) {
  if (event->keySequence() == shortcutSequence) {
    // ...
  }
}

QMenu クラスの使用

QMenuクラスは、メニュー項目にショートカットキーを設定することができます。

// メニューの作成
QMenu* menu = new QMenu;

// メニュー項目の作成
QAction* action = new QAction("保存", menu);

// ショートカットキーの設定
action->setShortcut(Qt::Key_S);

// メニューの表示
menu->exec(QCursor::pos());

QMenuBar クラスの使用

QMenuBarクラスは、メニューバーにショートカットキーを設定することができます。

// メニューバーの作成
QMenuBar* menuBar = new QMenuBar;

// メニューの作成
QMenu* menu = new QMenu("ファイル");

// メニュー項目の作成
QAction* action = new QAction("保存", menu);

// ショートカットキーの設定
action->setShortcut(Qt::Key_S);

// メニューバーにメニューを追加
menuBar->addMenu(menu);

// メニューバーの表示
menuBar->show();

QStatusBarクラスは、ステータスバーにショートカットキーを設定することができます。

// ステータスバーの作成
QStatusBar* statusBar = new QStatusBar;

// メッセージの作成
QString message = "Ctrl+S で保存";

// メッセージの表示
statusBar->showMessage(message);

プラットフォーム固有の方法

プラットフォームによっては、独自のショートカットキー設定方法を提供しています。