C言語の数値処理におけるFE_UNDERFLOWとは?

2024-04-04

C言語の数値処理における「FE_UNDERFLOW」について

アンダーフローとは?

浮動小数点数は、指数と仮数部で構成されています。アンダーフローは、仮数部が小さすぎて表現可能な最小値よりも小さくなった場合に発生します。

例:

float a = 1.0e-30;
float b = a / 10.0;

この場合、b1.0e-31 になります。しかし、C言語で表現可能な最小の浮動小数点数は 1.0e-38 なので、b はアンダーフロー状態になります。

FE_UNDERFLOWが発生すると、以下の影響が発生する可能性があります。

  • 結果が正しくなくなる
  • 計算が異常終了する
  • 警告メッセージが表示される

FE_UNDERFLOWを防ぐためには、以下の対策があります。

  • 計算結果の範囲を事前に確認する
  • アンダーフローが発生しても正しく処理できるようにプログラムする
  • fenv.h ヘッダーファイルの feenableexcept() 関数を使用して、アンダーフロー例外をマスクする

補足

  • FE_UNDERFLOWは、C99規格で導入されたマクロです。
  • FE_UNDERFLOW以外にも、オーバーフローや無効演算などの浮動小数点例外を表すマクロが用意されています。


アンダーフローが発生するサンプルコード

#include <stdio.h>

int main() {
  float a = 1.0e-30;
  float b = a / 10.0;

  printf("a = %e\n", a);
  printf("b = %e\n", b);

  return 0;
}
a = 1.000000e-30
b = 1.000000e-31

b1.0e-31 ですが、C言語で表現可能な最小の浮動小数点数は 1.0e-38 なので、b はアンダーフロー状態になります。

アンダーフローを防ぐサンプルコード

#include <stdio.h>
#include <fenv.h>

int main() {
  float a = 1.0e-30;
  float b;

  // アンダーフロー例外をマスクする
  feenableexcept(FE_UNDERFLOW);

  b = a / 10.0;

  printf("a = %e\n", a);
  printf("b = %e\n", b);

  return 0;
}

このコードを実行すると、以下のような出力が得られます。

a = 1.000000e-30
b = 0.000000e+00

feenableexcept() 関数を使用して、アンダーフロー例外をマスクすることで、アンダーフローが発生してもプログラムが異常終了せずに続行されます。

アンダーフローを検知するサンプルコード

#include <stdio.h>
#include <fenv.h>

int main() {
  float a = 1.0e-30;
  float b;
  int status;

  // アンダーフロー例外を有効にする
  fesetenv(FE_ALL_EXCEPT, FE_ALL_EXCEPT);

  b = a / 10.0;

  // アンダーフローが発生したかどうかをチェックする
  status = fetestexcept(FE_UNDERFLOW);

  if (status) {
    printf("アンダーフローが発生しました\n");
  } else {
    printf("アンダーフローは発生しませんでした\n");
  }

  return 0;
}

このコードを実行すると、以下のような出力が得られます。

アンダーフローが発生しました

fetestexcept() 関数を使用して、アンダーフローが発生したかどうかをチェックすることができます。



計算精度を変更する

アンダーフローを防ぐためには、より精度の高い型を使用することができます。例えば、float 型ではなく double 型を使用すると、表現できる最小値が小さくなり、アンダーフローが発生しにくくなります。

#include <stdio.h>

int main() {
  double a = 1.0e-30;
  double b = a / 10.0;

  printf("a = %e\n", a);
  printf("b = %e\n", b);

  return 0;
}

このコードを実行すると、以下のような出力が得られます。

a = 1.000000e-30
b = 1.000000e-31

float 型の場合と異なり、double 型の場合はアンダーフローが発生していません。

スケーリングを行う

計算前に値をスケーリングすることで、アンダーフローを防ぐことができます。スケーリングとは、値を一定の倍数で乗除することです。

例えば、以下のコードでは、ab を 10^30 倍してスケーリングしています。

#include <stdio.h>

int main() {
  double a = 1.0;
  double b = a / 10.0;

  // スケーリング
  a *= 1e30;
  b *= 1e30;

  printf("a = %e\n", a);
  printf("b = %e\n", b);

  return 0;
}

このコードを実行すると、以下のような出力が得られます。

a = 1.000000e+30
b = 1.000000e+29

スケーリングを行うことで、ab の値が大きくなり、アンダーフローが発生しにくくなります。

特殊な演算ライブラリを使用する

アンダーフローを防ぐために、特殊な演算ライブラリを使用することができます。これらのライブラリは、アンダーフローが発生した場合に、自動的にスケーリングなどの処理を行ってくれます。

例えば、GNU Scientific Library (GSL) は、アンダーフローを防ぐための様々な機能を提供しています。

アンダーフローは、浮動小数点数演算で発生する一般的な問題です。アンダーフローを防ぐためには、いくつかの方法があります。

  • 計算精度を変更する
  • スケーリングを行う
  • 特殊な演算ライブラリを使用する

これらの方法を理解することで、アンダーフローによる問題を防ぐことができます。




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