ポインターと const 修飾子の組み合わせ

C言語における const 型修飾子

const の役割

const 型修飾子は、主に以下の役割を果たします。

• オブジェクトの変更を防止する: const で宣言されたオブジェクトは、プログラム実行中に値を変更することができません。これは、誤った変更によるバグを防ぐのに役立ちます。
• コードの意図を明確にする: const を使用することで、オブジェクトが変更されないことを明示的に示すことができ、コードの読みやすさと理解しやすさを向上させることができます。
• コンパイラによる最適化: const オブジェクトは、コンパイラによって最適化される可能性が高くなります。

const の使い方

const 型修飾子は、以下の 2 つの方法で使用できます。

• 変数の宣言:

const int x = 10; // x は 10 に初期化され、変更不可

• ポインターの宣言:

const int *p = &x; // p は x を指し、x を変更不可

const の位置:

const は、型の前に記述します。

// 正しい
const int x;

// 誤り
int const x;

const の注意点

const 型修飾子を使用する際には、以下の点に注意する必要があります。

• const オブジェクトへの代入:

const オブジェクトは、一度初期化されると、その値を変更することはできません。

const int x = 10;
x = 20; // エラーが発生

• const ポインターによる間接参照:

const ポインターは、指しているオブジェクトの値を変更することはできません。

const int x = 10;
int *p = &x;
*p = 20; // エラーが発生

• const オブジェクトの関数への引数渡し:

const オブジェクトは、関数への引数として渡すことができます。

void func(const int x);

func(x); // OK

const の活用例

const 型修飾子は、様々な場面で活用することができます。

• 定数の定義:

const int MAX_SIZE = 100;

• 配列のサイズ指定:

const int arr[MAX_SIZE];

• 関数のパラメータ:

void func(const char *str);

• 構造体や共用体のメンバー:

struct Point {
  const int x;
  const int y;
};

まとめ

C言語の const 型修飾子は、変数やポインターの値が変更できないことを宣言するために使用されます。これは、コードの安全性と信頼性を向上させるために役立ちます。const の使い方や注意点、活用例を理解して、プログラム開発に役立てましょう。

C言語における const 型修飾子のサンプルコード

// PI の定義
const double PI = 3.1415926535;

// 配列の最大サイズ
const int MAX_SIZE = 100;

配列のサイズ指定

// 100 個の要素を持つ配列
int arr[MAX_SIZE];

// 文字列リテラルの終端文字を含む 11 個の要素を持つ配列
const char str[] = "Hello, world!";

関数のパラメータ

// 文字列の長さを取得する関数
int strlen(const char *str);

// 構造体へのポインタを受け取る関数
void print_point(const struct Point *point);

構造体や共用体のメンバー

// 点を表す構造体
struct Point {
  const int x;
  const int y;
};

// 共用体
union Data {
  const int i;
  const float f;
};

ポインターへの const 修飾子

// 文字列リテラルへのポインタ
const char *str = "Hello, world!";

// ポインタが指す先のオブジェクトを変更できない
int *p = &x; // OK
const int *p = &x; // OK

ポインターと const 修飾子の組み合わせ

// "const char *" は "char * const" と同じ意味
const char *str = "Hello, world!"; // OK
char *const str = "Hello, world!"; // OK

// "const char **" は "char ** const" と同じ意味
const char **ptr = &str; // OK
char **const ptr = &str; // OK

const オブジェクトへの関数への引数渡し

// 文字列の長さを取得する関数
int strlen(const char *str);

// "const char *" 型の引数を渡す
int len = strlen(str);

const ポインターの利用

// "const char *" 型のポインタを受け取る関数
void print_str(const char *str);

// const ポインタを渡す
print_str(str);

// const ポインタを介して値を取得
const char *p = "Hello, world!";
char c = *p; // OK

const 修飾子の多重適用

// "const char ** const" 型の変数
const char **const ptr = &str;

// ポインタが指す先のオブジェクトを変更できない
*ptr = "Goodbye, world!"; // エラーが発生

const の省略

// 関数宣言
void func(const int *p);

// 関数呼び出し
int x = 10;
func(&x); // OK

// const を省略
void func(int *p);

// 関数呼び出し
func(&x); // エラーが発生

C言語における const 型修飾子のその他の使用方法

ポインタの const 修飾子

• const int *p: p は int 型のオブジェクトを指しますが、そのオブジェクトの値を変更することはできません。
• int *const p: p は常に同じ int 型のオブジェクトを指しますが、そのオブジェクトの値を変更することはできます。

例:

int x = 10;
const int *p = &x; // p は x を指し、x を変更不可
int *const q = &x; // q は常に x を指し、x を変更可能
const int *const r = &x; // r は常に x を指し、x を変更不可

*p = 20; // エラーが発生
*q = 20; // OK
*r = 20; // エラーが発生

関数の const 修飾子は、関数がオブジェクトの状態を変更しないことを示します。

• const void func(int x);: func() は int 型の引数を受け取り、その値を変更することはできません。
• void func(const int *p);: func() は int 型のポインタを受け取り、ポインタが指すオブジェクトの値を変更することはできません。

例:

void func(int x) {
  x = 20; // OK
}

void func(const int *p) {
  *p = 20; // エラーが発生
}

int main() {
  int x = 10;
  func(x); // OK
  func(&x); // エラーが発生
}

型修飾子の組み合わせ

複数の型修飾子を組み合わせて使用することができます。

例:

const int *const p = &x; // p は常に x を指し、x を変更不可

その他の const の使用方法

• 配列の要素への const 修飾子:

const int arr[10] = {1, 2, 3, 4, 5};

// arr[0] は変更可能
arr[0] = 10;

// arr[1] は変更不可
const int *p = &arr[1];
*p = 20; // エラーが発生

• 構造体や共用体のメンバーへの const 修飾子:

struct Point {
  const int x;
  const int y;
};

// point.x は変更不可
struct Point point = {10, 20};
point.x = 30; // エラーが発生

const の注意点

• const 修飾子は、オブジェクトの状態を変更できないことを保証するものではありません。
• const オブジェクトは、const 関数内で変更することができます。
• const ポインターは、const 関数内で指すオブジェクトを変更することができます。

まとめ

C言語における const 型修飾子は、コードの安全性と信頼性を向上させるために役立ちます。const の使用方法を理解して、プログラム開発に役立てましょう。