CMakeにおける"get_target_property()"コマンド: ターゲットの情報を自在に操る

2024-04-13

CMakeにおける"get_target_property()"コマンドの詳細解説

get_target_property()コマンドは、CMakeプロジェクトで定義されたターゲットからプロパティを取得するために使用されます。ターゲットプロパティは、ターゲットのビルド方法や動作を制御するために使用される情報です。

構文

get_target_property(VAR target property)

引数

  • VAR: ターゲットプロパティの値を格納する変数名
  • target: プロパティを取得するターゲットの名前
  • property: 取得するプロパティの名前

動作

  1. 指定されたターゲットが存在するかどうかを確認します。
  2. ターゲットが存在する場合、指定されたプロパティの値を取得します。
  3. プロパティが存在しない場合、VAR変数には"NOTFOUND"という文字列が設定されます。

以下の例では、mytargetというターゲットのARCHIVE_OUTPUTプロパティの値を取得し、archive_path変数に格納しています。

get_target_property(archive_path mytarget ARCHIVE_OUTPUT)

注意点

  • ターゲットプロパティは、set_target_properties()コマンドを使用して設定できます。
  • ターゲットプロパティの名前は、大文字と小文字を区別します。
  • 複数のターゲットが存在する場合は、どのターゲットのプロパティを取得するのかを明確に指定する必要があります。
  • プロパティが存在しない場合は、VAR変数に"NOTFOUND"という文字列が設定されるため、この場合の処理を適切に行う必要があります。

応用例

  • ターゲットの出力ファイルのパスを取得する
  • ターゲットの依存関係を取得する
  • ターゲットのコンパイルフラグを取得する
  • ターゲットのリンカフラグを取得する

補足

get_target_property()コマンドは、CMakeプロジェクトでターゲットプロパティを操作するための基本的なコマンドです。ターゲットのビルド方法や動作を制御するために、このコマンドを効果的に活用することが重要です。

  • 具体的なプログラミング例が必要であれば、ご希望に合わせて説明を追加できます。


CMakeにおける"get_target_property()"コマンドのサンプルコード集

以下の例では、mytargetというターゲットのARCHIVE_OUTPUTプロパティの値を取得し、archive_path変数に格納しています。この情報を使用して、アーカイブファイルの場所を確認したり、そのファイルへのパスを他のコマンドに渡したりすることができます。

get_target_property(archive_path mytarget ARCHIVE_OUTPUT)
message(STATUS "Archive path: ${archive_path}")

ターゲットの依存関係を取得する

以下の例では、mytargetというターゲットの依存関係を取得し、target_dependencies変数に格納しています。この情報を使用して、ターゲットをビルドするために必要な他のターゲットを特定したり、依存関係のグラフを生成したりすることができます。

get_target_property(target_dependencies mytarget DEPENDS)
message(STATUS "Target dependencies: ${target_dependencies}")

ターゲットのコンパイルフラグを取得する

以下の例では、mytargetというターゲットのCOMPILE_FLAGSプロパティの値を取得し、compile_flags変数に格納しています。この情報を使用して、ターゲットをコンパイルするために使用されるコンパイルフラグを確認したり、必要に応じてフラグを変更したりすることができます。

get_target_property(compile_flags mytarget COMPILE_FLAGS)
message(STATUS "Compile flags: ${compile_flags}")

ターゲットのリンカフラグを取得する

以下の例では、mytargetというターゲットのLINK_FLAGSプロパティの値を取得し、link_flags変数に格納しています。この情報を使用して、ターゲットをリンクするために使用されるリンカフラグを確認したり、必要に応じてフラグを変更したりすることができます。

get_target_property(link_flags mytarget LINK_FLAGS)
message(STATUS "Link flags: ${link_flags}")

ターゲットプロパティの条件分岐

以下の例では、mytargetというターゲットのARCHIVE_OUTPUTプロパティが存在するかどうかを確認し、存在する場合はその値をarchive_path変数に格納しています。このコードは、ターゲットプロパティの有無に基づいて処理を分岐させたい場合に役立ちます。

get_target_property(archive_path mytarget ARCHIVE_OUTPUT)
if (NOT archive_path STREQUAL "NOTFOUND")
  message(STATUS "Archive path: ${archive_path}")
else()
  message(STATUS "Target 'mytarget' does not have an ARCHIVE_OUTPUT property")
endif()

複数のターゲットプロパティを取得する

以下の例では、mytargetというターゲットのARCHIVE_OUTPUTプロパティとCOMPILE_FLAGSプロパティの値を取得し、それぞれarchive_path変数とcompile_flags変数に格納しています。このコードは、複数のターゲットプロパティを取得する必要がある場合に役立ちます。

get_target_property(archive_path mytarget ARCHIVE_OUTPUT)
get_target_property(compile_flags mytarget COMPILE_FLAGS)
message(STATUS "Archive path: ${archive_path}")
message(STATUS "Compile flags: ${compile_flags}")

ターゲットプロパティを他のコマンドに渡す

以下の例では、mytargetというターゲットのARCHIVE_OUTPUTプロパティの値をinstallコマンドに渡しています。このコードは、ターゲットの出力ファイルを特定の場所にインストールしたい場合に役立ちます。

get_target_property(archive_path mytarget ARCHIVE_OUTPUT)
install(TARGETS mytarget DESTINATION ${INSTALL_DIR})

ターゲットプロパティをループ処理で使用する

以下の例では、すべてのターゲットのプロパティARCHIVE_OUTPUTを取得し、その値をそれぞれ出力しています。このコードは、プロジェクト内のすべてのターゲットの出力ファイルのパスを取得したい場合に役立ちます。

foreach(target IN LISTS targets)
  get_target_property(archive_path ${target} ARCHIVE_OUTPUT)
  message(STATUS "Archive path for target '${target}': ${archive_path}")
endforeach()


CMakeにおける"get_target_property()"コマンドの代替方法

CMakeプロジェクトでターゲットプロパティを取得するには、get_target_property()コマンド以外にもいくつかの方法があります。それぞれの特徴と用途を理解し、状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。

代替方法

  1. target_sources()コマンド: ターゲットのソースファイルをリスト形式で取得します。
  2. target_link_libraries()コマンド: ターゲットのリンクライブラリをリスト形式で取得します。
  3. target_compile_features()コマンド: ターゲットで使用されているコンパイル機能をリスト形式で取得します。
  4. カスタム変数: ターゲットプロパティをカスタム変数に設定し、その変数を参照することで取得します。

詳細説明

target_sources()コマンド

以下の例では、mytargetというターゲットのソースファイルをtarget_sources変数に格納しています。この情報を使用して、ターゲットをビルドするために必要なソースファイルを確認したり、そのファイルへのパスを他のコマンドに渡したりすることができます。

target_sources(target_sources mytarget)
message(STATUS "Target sources: ${target_sources}")

target_link_libraries()コマンド

以下の例では、mytargetというターゲットのリンクライブラリをtarget_link_libraries変数に格納しています。この情報を使用して、ターゲットをリンクするために必要なライブラリを確認したり、そのライブラリへのパスを他のコマンドに渡したりすることができます。

target_link_libraries(target_link_libraries mytarget)
message(STATUS "Target link libraries: ${target_link_libraries}")

target_compile_features()コマンド

以下の例では、mytargetというターゲットで使用されているコンパイル機能をtarget_compile_features変数に格納しています。この情報を使用して、ターゲットをコンパイルするために使用されているコンパイル機能を確認したり、必要に応じて機能を変更したりすることができます。

target_compile_features(target_compile_features mytarget)
message(STATUS "Target compile features: ${target_compile_features}")

target_compile_definitions()コマンド

以下の例では、mytargetというターゲットで使用されているコンパイル定義をtarget_compile_definitions変数に格納しています。この情報を使用して、ターゲットをコンパイルするために使用されているコンパイル定義を確認したり、必要に応じて定義を変更したりすることができます。

target_compile_definitions(target_compile_definitions mytarget)
message(STATUS "Target compile definitions: ${target_compile_definitions}")

カスタム変数

以下の例では、mytargetというターゲットのARCHIVE_OUTPUTプロパティをARCHIVE_PATHというカスタム変数に設定し、その変数を参照することで取得しています。このコードは、ターゲットプロパティを複数の場所で参照したい場合や、変数の名前を分かりやすくしたい場合に役立ちます。

set_target_properties(mytarget PROPERTIES ARCHIVE_OUTPUT ${ARCHIVE_PATH})
message(STATUS "Archive path: ${ARCHIVE_PATH}")

それぞれの方法の利点と欠点

方法利点欠点
get_target_property()汎用性が高いプロパティ名が複雑になりやすい
target_sources()ソースファイルを取得するのに特化ソースファイル以外のプロパティを取得できない
target_link_libraries()リンクライブラリを取得するのに特化リンクライブラリ以外のプロパティを取得できない
target_compile_features()コンパイル機能を取得するのに特化コンパイル機能以外のプロパティを取得できない
target_compile_definitions()コンパイル定義を取得するのに特化コンパイル定義以外のプロパティを取得できない
カスタム変数変数の名前を自由に設定できる設定が冗長になる可能性がある

それぞれの方法の特徴と用途を理解し、状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。複雑なプロパティを取得したい場合はget_target_property()コマンドが適していますが、シンプルなプロパティを取得したい場合は他の方法の方が効率的に記述できる場合があります。




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