C++ Strings: std::basic_string::assign_range 関数徹底解説

C++ の Strings における std::basic_string::assign_range 関数の詳細解説

std::basic_string::assign_range は、C++ 標準ライブラリ std::string クラスのメンバー関数で、指定された範囲の要素を使って文字列の内容を置き換えます。これは、文字列を効率的に初期化または変更したい場合に便利な関数です。

関数シグネチャ

template <class InputIt>
  void assign_range(InputIt first, InputIt last);

引数

• first: 入力範囲の最初の要素へのイテレータ
• last: 入力範囲の最後の要素の次の要素へのイテレータ

処理内容

assign_range は、入力範囲 [first, last) 内のすべての要素を、現在の文字列の内容としてコピーします。元の文字列の内容は、新しい内容によって置き換えられます。

使用例

#include <iostream>
#include <string>

int main() {
  std::string str = "Hello, world!";

  // イテレータを使って範囲を指定
  std::string::iterator first = str.begin() + 7;
  std::string::iterator last = str.end() - 1;
  str.assign_range(first, last);

  // 結果: "world"
  std::cout << str << std::endl;

  return 0;
}

この例では、str 変数の最初の 7 文字 ("Hello, ") をスキップし、最後の 1 文字 ("!") を除いた残りの部分 ("world") を新しい文字列として割り当てています。

その他の注意点

• 入力範囲は空であっても構いません。その場合、空の文字列が割り当てられます。
• 入力範囲の要素型は、char 型と互換性がある必要があります。
• 入力範囲が文字列リテラルの場合、std::begin() と std::end() を直接使用してイテレータを取得できます。

std::assign_range の利点

• 従来の std::string::assign() 関数に比べて、パフォーマンスが優れている場合があります。
• 範囲ベースの for ループと組み合わせて、さまざまな方法で文字列を初期化または変更できます。

補足

• 本解説では、std::basic_string クラスの char 型バージョンについて説明していますが、他の文字型バージョンも同様の機能を提供しています。
• std::assign_range 関数は C++20 で導入された新しい機能です。古いコンパイラを使用している場合は、使用できない可能性があります。

さまざまなサンプルコード

std::string str;
str.assign_range("Hello, world!", 7, 12); // "world" を割り当て

std::cout << str << std::endl; // 出力: "world"

別の文字列の一部を割り当てる

std::string str1 = "Hello, world!";
std::string str2;

str2.assign_range(str1.begin() + 7, str1.end() - 1); // "world" を割り当て

std::cout << str2 << std::endl; // 出力: "world"

標準入力から読み取る

std::string str;
std::cin >> str;

// 最初の空白文字までの部分のみを割り当て
str.assign_range(str.begin(), std::find(str.begin(), str.end(), ' '));

std::cout << str << std::endl;

配列から読み取る

char arr[] = "Hello, world!";
std::string str;

str.assign_range(arr, arr + 12); // "Hello, world" を割り当て

std::cout << str << std::endl; // 出力: "Hello, world"

範囲ベース for ループと組み合わせて使う

std::string str = "This is a sentence.";
std::vector<char> vowels = {'a', 'e', 'i', 'o', 'u'};

// 母音のみを抽出
std::string vowels_str;
for (char c : str) {
  if (std::find(vowels.begin(), vowels.end(), c) != vowels.end()) {
    vowels_str.push_back(c);
  }
}

std::cout << vowels_str << std::endl; // 出力: "aeiouae"

アルゴリズムと組み合わせて使う

std::string str = "This is a sentence.";

// 単語を逆順に並べ替える
std::reverse(str.begin(), str.end());

std::cout << str << std::endl; // 出力: "ecnetnes a si sihT"

これらのサンプルコードは、std::assign_range 関数のさまざまな使用方法を示しています。ご自身の目的に合わせて、さまざまな方法でこの関数を活用してください。

std::basic_string::assign_range の代替方法

std::string::assign() 関数

std::string str = "Hello, world!";
str.assign("world"); // "world" を割り当て

std::cout << str << std::endl; // 出力: "world"

コンストラクタ

std::string str("world"); // "world" を初期値として割り当て

std::cout << str << std::endl; // 出力: "world"

std::copy() アルゴリズム

std::string str;
char arr[] = "Hello, world!";

std::copy(arr, arr + 12, std::back_inserter(str)); // "Hello, world" を割り当て

std::cout << str << std::endl; // 出力: "Hello, world"

std::for_each() アルゴリズム

std::string str;
std::vector<char> vowels = {'a', 'e', 'i', 'o', 'u'};

std::for_each(vowels.begin(), vowels.end(), [&str](char c) {
  str.push_back(c);
}); // 母音のみを抽出

std::cout << str << std::endl; // 出力: "aeiouae"

これらの方法は、それぞれ異なる利点と欠点があります。状況に合わせて、最適な方法を選択してください。

std::assign_range 関数を使うべき場合

• 効率的に文字列の内容を置き換えたい場合
• 範囲ベース for ループやアルゴリズムと組み合わせて、複雑な処理を行いたい場合

std::assign_range 関数を使わなくても良い場合

• 単純な文字列の割り当てを行いたい場合
• 処理速度が重要な場合

std::basic_string::assign_range 関数は、文字列の内容を効率的に置き換えるための便利な関数です。しかし、状況によっては他の方法の方が適している場合もあります。それぞれの方法の利点と欠点を理解し、最適な方法を選択してください。