MariaDB の SET データ型:使いこなしてデータ管理を効率化
MariaDB の SET データ型:詳細解説とプログラミング例
MariaDB の SET データ型は、複数の値をカンマ区切りで格納できる特殊なデータ型です。選択肢の集合を表す場合などに役立ちます。
特徴
- 最大64個の値を格納可能
- 値は 文字列 または 数値
- 格納順序は 保持されない
- 重複した値は 許可されない
- NULL 値を格納可能
利点
- データの冗長性を排除
- データの整合性を確保
- コードの簡潔化
制限事項
- インデックス作成不可
- 外部キー制約不可
- ソート不可
- 数学演算不可
プログラミング例
テーブル作成
CREATE TABLE users (
id INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
preferences SET('music', 'sports', 'movies'),
PRIMARY KEY (id)
);
データ挿入
INSERT INTO users (preferences) VALUES ('music,sports');
データ取得
SELECT preferences FROM users WHERE id = 1;
データ更新
UPDATE users SET preferences = preferences | 'games' WHERE id = 1;
データ削除
UPDATE users SET preferences = preferences - 'sports' WHERE id = 1;
値の存在確認
SELECT COUNT(*) FROM users WHERE preferences & 'music';
部分一致検索
SELECT * FROM users WHERE preferences LIKE '%music%';
サブクエリ
SELECT * FROM users WHERE preferences IN (SELECT preferences FROM other_table);
SET 型と ENUM 型の違い
項目 | SET 型 | ENUM 型 |
---|---|---|
格納できる値 | カンマ区切りの文字列または数値 | 予め定義した値 |
最大値 | 64 | 65535 |
インデックス | 不可 | 可 |
外部キー | 不可 | 可 |
ソート | 不可 | 可 |
数学演算 | 不可 | 不可 |
補足
- SET データ型は、選択肢の集合を表す場合に有効ですが、頻繁に更新されるデータには不向きです。
- 大量のデータを格納する場合は、BIT データ型 や JSON データ型 の方が効率的です。
注意
- SET データ型は、MariaDB 5.5 以降でサポートされています。
MariaDB の SET データ型:多彩なサンプルコード集
CREATE TABLE users (
id INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
preferences SET('music', 'sports', 'movies', 'games'),
PRIMARY KEY (id)
);
-- データ挿入
INSERT INTO users (name, preferences) VALUES ('John Doe', 'music,sports');
INSERT INTO users (name, preferences) VALUES ('Jane Doe', 'movies,games');
-- データ取得
SELECT name, preferences FROM users WHERE id = 1;
-- データ更新
UPDATE users SET preferences = preferences | 'art' WHERE id = 2;
-- データ削除
UPDATE users SET preferences = preferences - 'sports' WHERE id = 1;
-- 特定の嗜好を持つユーザーを検索
SELECT * FROM users WHERE preferences & 'music';
-- 嗜好に "music" を含むユーザーを検索
SELECT * FROM users WHERE preferences LIKE '%music%';
-- 特定の嗜好を持つユーザーの割合を分析
SELECT COUNT(*) / (SELECT COUNT(*) FROM users) AS percentage
FROM users WHERE preferences & 'games';
商品の属性を管理
CREATE TABLE products (
id INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
category SET('electronics', 'clothing', 'furniture'),
PRIMARY KEY (id)
);
-- データ挿入
INSERT INTO products (name, category) VALUES ('Smartphone', 'electronics');
INSERT INTO products (name, category) VALUES ('T-shirt', 'clothing');
INSERT INTO products (name, category) VALUES ('Sofa', 'furniture');
-- データ取得
SELECT name, category FROM products WHERE id = 1;
-- データ更新
UPDATE products SET category = category | 'home_appliances' WHERE id = 2;
-- データ削除
UPDATE products SET category = category - 'clothing' WHERE id = 1;
-- 特定のカテゴリに属する商品を検索
SELECT * FROM products WHERE category & 'electronics';
-- カテゴリに "furniture" を含む商品を検索
SELECT * FROM products WHERE category LIKE '%furniture%';
-- 特定のカテゴリに属する商品の売上を分析
SELECT SUM(sales) AS total_sales
FROM products JOIN sales ON products.id = sales.product_id
WHERE products.category & 'electronics';
アンケート結果を分析
CREATE TABLE surveys (
id INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
user_id INT NOT NULL,
answers SET('yes', 'no', 'maybe'),
PRIMARY KEY (id)
);
-- データ挿入
INSERT INTO surveys (user_id, answers) VALUES (1, 'yes,maybe');
INSERT INTO surveys (user_id, answers) VALUES (2, 'no');
-- データ取得
SELECT answers FROM surveys WHERE user_id = 1;
-- 特定の回答を選択したユーザーの割合を分析
SELECT COUNT(*) / (SELECT COUNT(*) FROM surveys) AS percentage
FROM surveys WHERE answers & 'yes';
-- 回答に "maybe" を含むユーザーを検索
SELECT * FROM surveys WHERE answers LIKE '%maybe%';
-- 回答に基づいてユーザーをグループ化
SELECT answers, COUNT(*) AS count
FROM surveys
GROUP BY answers;
その他の応用例
- 言語の習得状況 (例: '英語', '日本語', '中国語')
- 趣味 (例: '読書', '旅行', 'スポーツ')
- 所有資格 (例: 'TOEIC', 'TOEFL', 'ITパスポート')
- メールの配信設定 (例: '購読', '解除', '変更')
- ブログのカテゴリ (例: 'IT', '旅行', 'グルメ')
上記のサンプルコードは、あくまでも参考です。 ご自身の用途に合わせて、自由に改造してください。
MariaDB の SET データ型:代替案と比較
SET データ型ではなく、複数の列を使用して、同じ情報を表現することができます。
例:
CREATE TABLE users (
id INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
is_music_fan BOOL,
is_sports_fan BOOL,
is_movie_fan BOOL,
PRIMARY KEY (id)
);
-- データ挿入
INSERT INTO users (name, is_music_fan, is_sports_fan, is_movie_fan) VALUES ('John Doe', TRUE, FALSE, TRUE);
-- データ取得
SELECT name, is_music_fan, is_sports_fan, is_movie_fan FROM users WHERE id = 1;
-- データ更新
UPDATE users SET is_music_fan = TRUE, is_sports_fan = FALSE WHERE id = 2;
メリット:
- インデックス作成可能
- 外部キー制約可能
- ソート可能
- 数学演算可能
デメリット:
- データ冗長性が増加
- コードが複雑になる
JSON データ型を使用する
MariaDB 10.2 以降では、JSON データ型を使用して、JSON オブジェクトを格納することができます。
例:
CREATE TABLE users (
id INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
preferences JSON,
PRIMARY KEY (id)
);
-- データ挿入
INSERT INTO users (name, preferences) VALUES ('John Doe', JSON_OBJECT('music', TRUE, 'sports', FALSE, 'movies', TRUE));
-- データ取得
SELECT preferences FROM users WHERE id = 1;
-- データ更新
UPDATE users SET preferences = JSON_SET(preferences, '$.games', TRUE) WHERE id = 2;
メリット:
- 柔軟性が高い
- データ冗長性を抑えられる
- コードが簡潔になる
BIT データ型を使用する
BIT データ型は、ビット列を格納するために使用できます。
例:
CREATE TABLE users (
id INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
preferences BIT(3),
PRIMARY KEY (id)
);
-- データ挿入
INSERT INTO users (name, preferences) VALUES ('John Doe', 0b101);
-- データ取得
SELECT preferences FROM users WHERE id = 1;
-- データ更新
UPDATE users SET preferences = preferences | 0b100 WHERE id = 2;
メリット:
- 効率的なストレージ
- 高速な検索
デメリット:
- 複雑なデータ構造には不向き
- コードが分かりにくい
ENUM データ型を使用する
ENUM データ型は、事前に定義された値の集合を格納するために使用できます。
例:
CREATE TABLE users (
id INT NOT NULL AUTO_INCREMENT,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
preferences ENUM('music', 'sports', 'movies'),
PRIMARY KEY (id)
);
-- データ挿入
INSERT INTO users (name, preferences) VALUES ('John Doe', 'music');
-- データ取得
SELECT preferences FROM users WHERE id = 1;
-- データ更新
UPDATE users SET preferences = 'sports' WHERE id = 2;
メリット:
- データの整合性を確保できる
デメリット:
- 値の追加・削除が難しい
どの方法を選択するかは、要件とパフォーマンスのバランスを考慮する必要があります。
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