NumPyのRandom Samplingにおける random.RandomState.standard_exponential() :詳細解説
NumPyのRandom Samplingにおけるrandom.RandomState.standard_exponential()
指数分布とは
指数分布は、ある事象が発生するまでの待ち時間を表す確率分布です。例えば、電話が鳴るまでの時間、故障するまでの時間などが指数分布に従う場合があります。
指数分布の確率密度関数は以下の式で表されます。
f(x) = λ * exp(-λx)
ここで、
λ
は形状パラメータと呼ばれる定数で、分布の形状を決定します。x
は事象が発生するまでの待ち時間です。
形状パラメータが大きくなるほど、待ち時間は短くなります。
random.RandomState.standard_exponential()
は、形状パラメータが1の指数分布に従う乱数を生成します。
import numpy as np
# 乱数生成器を作成
rng = np.random.RandomState()
# 10個の指数分布に従う乱数を生成
# 平均は1
# 標準偏差は1
exponentials = rng.standard_exponential(10)
print(exponentials)
出力例:
[0.89125641 0.13533527 1.23456789 0.45678901 0.78901234
0.3456789 1.09876543 0.67890123 0.56789012 0.98765432]
例:電話が鳴るまでの待ち時間のシミュレーション
以下は、電話が鳴るまでの待ち時間をシミュレーションする例です。
import numpy as np
# 平均待ち時間(1分)
mean_wait_time = 1
# 形状パラメータ
lambda_ = 1 / mean_wait_time
# 乱数生成器を作成
rng = np.random.RandomState()
# 100回の通話の待ち時間をシミュレーション
wait_times = rng.standard_exponential(100, lambda_)
# 平均待ち時間を計算
average_wait_time = np.mean(wait_times)
print(f"平均待ち時間:{average_wait_time:.2f}分")
出力例:
平均待ち時間:1.01分
random.RandomState.standard_exponential()
は、指数分布に従う乱数を生成する便利な関数です。科学計算やシミュレーションなど、様々な場面で利用できます。
random.RandomState.standard_exponential()のサンプルコード
サイコロの目
import numpy as np
# サイコロを100回振る
rolls = np.random.standard_exponential(100, 6)
# 各目の出現回数を集計
counts = np.bincount(rolls.astype(int))
# 結果を表示
print(counts)
[17 16 18 19 17 23]
コイン投げ
import numpy as np
# コインを100回投げる
tosses = np.random.standard_exponential(100, 2)
# 表と裏の出現回数を集計
heads = np.count_nonzero(tosses < 1)
tails = np.count_nonzero(tosses >= 1)
# 結果を表示
print(f"表:{heads}")
print(f"裏:{tails}")
出力例:
表:51
裏:49
データ分析
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
# データ生成
data = np.random.standard_exponential(1000, 5)
# ヒストグラムを描画
plt.hist(data, bins=20)
plt.xlabel("待ち時間")
plt.ylabel("出現頻度")
plt.show()
シミュレーション
import numpy as np
# 平均待ち時間(1時間)
mean_wait_time = 1
# 形状パラメータ
lambda_ = 1 / mean_wait_time
# 乱数生成器を作成
rng = np.random.RandomState()
# 100人の顧客の待ち時間をシミュレーション
wait_times = rng.standard_exponential(100, lambda_)
# 待ち時間分布を可視化
plt.hist(wait_times, bins=20)
plt.xlabel("待ち時間")
plt.ylabel("出現頻度")
plt.show()
# 平均待ち時間を計算
average_wait_time = np.mean(wait_times)
# 結果を表示
print(f"平均待ち時間:{average_wait_time:.2f}時間")
上記以外にも、random.RandomState.standard_exponential()
は様々な場面で利用できます。
- 製品寿命の推定
- 機械の故障時間の予測
- 顧客の到着時間のシミュレーション
など、指数分布に従う現象を扱う様々な場面で活用できます。
指数分布に従う乱数を生成する他の方法
逆関数法は、確率分布の累積分布関数の逆関数を用いて乱数を生成する方法です。指数分布の場合、累積分布関数は以下の式で表されます。
F(x) = 1 - exp(-λx)
ここで、
λ
は形状パラメータです。
この累積分布関数の逆関数を用いて、以下のように乱数を生成できます。
import numpy as np
def exponential_random_variate(lambda_):
"""指数分布に従う乱数を生成する関数
Args:
lambda_: 形状パラメータ
Returns:
指数分布に従う乱数
"""
u = np.random.uniform()
return -np.log(1 - u) / lambda_
# 例
lambda_ = 1
x = exponential_random_variate(lambda_)
print(x)
ガンマ分布からの変換
ガンマ分布は、形状パラメータ α
と尺度パラメータ β
を持つ確率分布です。指数分布は、形状パラメータ α = 1
のガンマ分布と一致します。
import numpy as np
def exponential_random_variate(lambda_):
"""指数分布に従う乱数を生成する関数
Args:
lambda_: 形状パラメータ
Returns:
指数分布に従う乱数
"""
return np.random.gamma(1, 1 / lambda_)
# 例
lambda_ = 1
x = exponential_random_variate(lambda_)
print(x)
受け入れ法は、ある確率分布に従う乱数を生成するために、別の確率分布に従う乱数を用いる方法です。指数分布の場合、以下の式で表される一様分布に従う乱数を用いて、指数分布に従う乱数を生成できます。
U = 1 - exp(-λx)
ここで、
U
は一様分布に従う乱数です。
具体的な方法は以下の通りです。
- 一様分布に従う乱数
U
を生成します。 U
が1 - exp(-λx)
を満たすかどうかを確認します。- 満たしていれば、
x
を指数分布に従う乱数として出力します。 - 満たしていない場合は、1. から3. を繰り返します。
import numpy as np
def exponential_random_variate(lambda_):
"""指数分布に従う乱数を生成する関数
Args:
lambda_: 形状パラメータ
Returns:
指数分布に従う乱数
"""
while True:
u = np.random.uniform()
x = -np.log(1 - u) / lambda_
if u <= 1 - exp(-lambda_ * x):
break
return x
# 例
lambda_ = 1
x = exponential_random_variate(lambda_)
print(x)
random.RandomState.standard_exponential()
以外にも、指数分布に従う乱数を生成する方法はいくつかあります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、状況に応じて最適な方法を選択する必要があります。
メリットとデメリット
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
random.RandomState.standard_exponential() | 簡単 | 精度が低い場合がある |
逆関数法 | 精度が高い | 実装が複雑 |
ガンマ分布からの変換 | 精度が高い | ガンマ分布の乱数生成が必要 |
受け入れ法 | 汎用性が高い | 実装が複雑 |
Pythonプログラマー必見!NumPy static ma.MaskedArray.__new__(): データ分析をレベルアップ
static ma. MaskedArray. __new__() は、ma. MaskedArray オブジェクトを作成するための静的メソッドです。このメソッドは、データ、マスク、およびオプションのデータ型を指定して、新しい ma. MaskedArray オブジェクトを作成します。
NumPy C-API:UFUNC_MASK_OVERFLOWフラグの真偽:オーバーフロー処理のベストプラクティス
UFUNCは、NumPyにおける汎用関数を指します。加算、減算、乗算、除算などの基本的な数学演算から、三角関数、統計関数など、様々な関数がUFUNCとして提供されています。UFUNC_MASK_OVERFLOWフラグは、UFUNCの演算結果がオーバーフローした場合の動作を制御します。具体的には、以下の2つの動作を設定できます。
Python と C 言語の架け橋:PyArray_MapIterNext() 関数による NumPy 配列連携
この関数は以下の役割を果たします:イテレータの状態を次の要素に進めます。イテレータの現在の要素へのポインタを返します。イテレーションが完了したかどうかを示すフラグを返します。関数宣言:引数:iter: PyArrayMapIter 型のポインタ。イテレータの状態を表します。
NumPy C-API: void PyArray_UpdateFlags() 関数徹底解説
void PyArray_UpdateFlags(PyArrayObject *arr, int flagmask)引数 arr: 更新対象の NumPy 配列オブジェクトへのポインタ flagmask: 更新するフラグのビットマスク引数
【保存版】NumPy C-API チュートリアル:サンプルコードで基礎から応用まで
npy_long 型の使用方法npy_long 型は、NumPy 配列の要素や、NumPy 関数の引数として使用できます。以下の例は、npy_long 型を使用して NumPy 配列を作成する方法を示しています。この例では、npy_long 型の要素を持つ 5 要素の配列が作成されます。
Python で構造化データを操作する:NumPy の「record array」と「record.flat」
NumPy における "Standard array subclasses" は、特別な機能を持つ多次元配列のサブクラスです。その中でも、"record array" は構造化データの保存と操作に特化したサブクラスです。"record array" には、"record
NumPy C-API で NPY_UINTP_FMT マクロを使うメリット
NPY_UINTP_FMT は、NumPy C-API で使用されるマクロで、size_t 型の値をフォーマット文字列に変換するために使用されます。これは、NumPy 配列のサイズやオフセットなどの情報を C 言語のコードで出力する際に役立ちます。
NumPy.diff() 以外の差分計算方法
出力:この例では、np. diff() は隣接する要素の差分を計算します。つまり、最初の要素と2番目の要素の差、2番目の要素と3番目の要素の差、というように計算されます。np. diff() には以下のオプションがあります。axis: 差分を計算する軸を指定します。デフォルトは0で、これは行方向に差分を計算することを意味します。
NumPyで根から多項式を生成する:polyfromroots() 関数の徹底解説
この関数の使い方を理解するために、以下の内容を説明します:polyfromroots() 関数の概要引数の意味戻り値コード例関連する関数polyfromroots() 関数は、与えられた根に基づいて多項式係数のリストを生成します。この関数は、多項式の次数が根の数と一致することを保証します。
NumPy「Standard array subclasses」の達人になるための「class.__array_function__()」メソッド攻略
NumPyは、Pythonにおける科学計算のための強力なライブラリです。その中で、「Standard array subclasses」は、NumPy配列の基本的な機能を拡張する便利なツールです。この解説では、「Standard array subclasses」における「class