torch.Tensor.absolute_ メソッド vs torch.abs() 関数

2024-04-06

PyTorch Tensor の torch.Tensor.absolute_ メソッド解説

torch.Tensor.absolute_ は、PyTorch Tensor の各要素の絶対値を計算し、結果を元の Tensor に直接書き換えるインプレース操作です。

詳細

  • 入力:
    • self: 処理対象の Tensor
  • 出力:
  • 戻り値:
    • なし (インプレース操作なので)

import torch

# テンサー作成
x = torch.tensor([-1, 2, -3], dtype=torch.float)

# `absolute_` メソッドによる絶対値計算
x.absolute_()

# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([1., 2., 3.])

ポイント

  • torch.abs() と異なり、absolute_ は元の Tensor を直接書き換えます。
  • 計算結果は元の Tensor の型と同じになります。
  • 複素数テンサーの場合、各要素の絶対値は複素数の大きさ (絶対値) を計算します。

補足

  • インプレース操作は、コードを簡潔に記述できますが、意図せず元のデータを書き換えてしまう可能性があるため、注意が必要です。
  • 計算結果を別の変数に保存したい場合は、torch.abs() を使用して新しい Tensor を作成する必要があります。

応用例

  • 画像処理: 画像の輝度値の絶対値を計算して、コントラストを調整する
  • 数値計算: 連立方程式の解法で、係数行列の絶対値を計算する
  • 機械学習: ニューラルネットワークの訓練で、損失関数の勾配を計算する


PyTorch Tensor の torch.Tensor.absolute_ メソッド サンプルコード

import torch

# テンサー作成
x = torch.tensor([-1, 2, -3], dtype=torch.float)

# `absolute_` メソッドによる絶対値計算
x.absolute_()

# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([1., 2., 3.])

複素数テンサーの絶対値を計算

import torch

# 複素数テンサー作成
x = torch.tensor([1+2j, 3-4j], dtype=torch.complex128)

# `absolute_` メソッドによる絶対値計算
x.absolute_()

# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([2.23606798 5.])

条件付きで絶対値を計算

import torch

# テンサー作成
x = torch.tensor([-1, 2, -3], dtype=torch.float)

# 条件分岐
mask = x < 0

# 条件に応じて `absolute_` メソッドを使用
x[mask].absolute_()

# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([1., 2., 3.])

画像の輝度値の絶対値を計算

import torch
from PIL import Image

# 画像読み込み
img = Image.open("image.jpg").convert("L")

# テンサーに変換
x = torch.as_tensor(img, dtype=torch.float)

# `absolute_` メソッドによる輝度値の絶対値計算
x.absolute_()

# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([..., ..., ...])

# 画像保存
img = Image.fromarray(x.numpy(), "L")
img.save("output_image.jpg")

連立方程式の解法

import torch

# 係数行列
A = torch.tensor([[1, 2], [3, 4]], dtype=torch.float)

# ベクトル b
b = torch.tensor([5, 7], dtype=torch.float)

# `absolute_` メソッドによる係数行列の絶対値計算
A.absolute_()

# 逆行列
A_inv = torch.linalg.inv(A)

# 解ベクトル
x = A_inv @ b

# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([-1., 1.])

ニューラルネットワークの訓練

import torch

# ニューラルネットワーク
class Net(torch.nn.Module):
    def __init__(self):
        super().__init__()
        self.fc1 = torch.nn.Linear(10, 1)

    def forward(self, x):
        x = x.view(-1)
        x = self.fc1(x)
        return x

# 損失関数
criterion = torch.nn.MSELoss()

# 最適化アルゴリズム
optimizer = torch.optim.SGD(net.parameters(), lr=0.01)

# 訓練データ
x_train = torch.randn(100, 10)
y_train = torch.randn(100, 1)

# 訓練ループ
for epoch in range(100):
    # 順伝播
    outputs = net(x_train)

    # 損失計算
    loss = criterion(outputs, y_train)

    # 勾配計算
    loss.backward()

    # パラメータ更新
    optimizer.step()

    # 勾配ゼロ化
    optimizer.zero_grad()

# 結果確認
print(loss)

上記はあくまでもサンプルコードであり、実際の用途に合わせてコードを



PyTorch Tensor の要素の絶対値を計算する他の方法

torch.abs() 関数は、テンサーの各要素の絶対値を計算し、新しいテンサーを返します。元のテンサーは書き換われません。

import torch

# テンサー作成
x = torch.tensor([-1, 2, -3], dtype=torch.float)

# `torch.abs()` 関数による絶対値計算
y = torch.abs(x)

# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([-1.,  2., -3.])
print(y)
# 出力: tensor([1., 2., 3.])

torch.sign() 関数と torch.square() 関数

torch.sign() 関数は、テンサーの各要素の符号を返し、torch.square() 関数は、テンサーの各要素の平方を返します。これらの関数を組み合わせて、絶対値を計算することができます。

import torch

# テンサー作成
x = torch.tensor([-1, 2, -3], dtype=torch.float)

# `torch.sign()` 関数と `torch.square()` 関数による絶対値計算
y = torch.sqrt(torch.square(x) * torch.sign(x))

# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([-1.,  2., -3.])
print(y)
# 出力: tensor([1., 2., 3.])

ループ処理

テンサーの要素数が多い場合は効率的ではありませんが、ループ処理を使用して絶対値を計算することもできます。

import torch

# テンサー作成
x = torch.tensor([-1, 2, -3], dtype=torch.float)

# ループ処理による絶対値計算
for i in range(x.numel()):
    x[i] = abs(x[i])

# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([1., 2., 3.])

NumPy 互換ライブラリの使用

numpy ライブラリと互換性のあるライブラリ (例: torch.numpytensorpack.numpy) を使用して、NumPy の abs() 関数を呼び出すこともできます。

import torch
import torch.numpy as tn

# テンサー作成
x = torch.tensor([-1, 2, -3], dtype=torch.float)

# NumPy 互換ライブラリの `abs()` 関数による絶対値計算
y = tn.abs(x)

# 結果確認
print(x)
# 出力: tensor([-1.,  2., -3.])
print(y)
# 出力: tensor([1., 2., 3.])

方法の選択

  • コードの簡潔性を重視する場合は、torch.Tensor.absolute_ メソッドを使用するのがおすすめです。
  • 計算速度を重視する場合は、torch.abs() 関数を使用するのがおすすめです。
  • テンサーの要素数が少ない場合は、ループ処理を使用しても問題ありません。
  • NumPy ライブラリに慣れている場合は、NumPy 互換ライブラリの使用を検討しても良いでしょう。



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