QAccessible::updateAccessibility() を徹底解説

Qt GUI の QAccessible::updateAccessibility() 解説

概要

• 役割: アクセシビリティ情報の更新
• 引数:
• 戻り値: なし
• 使用例:
  • ウィジェットの状態変化
  • ウィジェットの追加・削除
  • フォーカス移動

詳細解説

QAccessible::updateAccessibility() は、以下の情報を提供します。

• ウィジェットの種類 (ボタン、テキストボックスなど)
• ウィジェットの名前
• ウィジェットの状態 (有効/無効、選択/非選択など)
• ウィジェットの位置とサイズ
• ウィジェットの値 (テキストボックスの場合)
• 子ウィジェットのリスト

引数:

• event: 変更内容を伝える QAccessibleEvent オブジェクト
  • イベントの種類 (QAccessible::Event)
  • 対象となるウィジェット (QAccessibleInterface)
  • 子ウィジェットのインデックス (必要に応じて)

イベントの種類:

• Focus: フォーカスが移動した
• Selection: ウィジェットが選択された/解除された
• ValueChange: ウィジェットの値が変更された
• StructureChange: ウィジェットの構造が変更された
• StateChange: ウィジェットの状態が変更された
• ActiveDescendantChange: アクティブな子ウィジェットが変更された

使用例:

• ウィジェットの状態変化: ボタンが押された、チェックボックスが選択されたなど
• ウィジェットの追加・削除: メニュー項目が追加された、タブが削除されたなど
• フォーカス移動: フォーカスが別のウィジェットへ移動した

コード例:

// ボタンが押された時の処理
void MyWidget::on_button_clicked() {
  // ボタンの状態を更新
  button->setEnabled(false);

  // アクセシビリティ情報を更新
  QAccessibleEvent event(button, QAccessible::StateChange);
  QAccessible::updateAccessibility(&event);
}

補足:

• Qt 5.15 以降では、QAccessible::updateAccessibility() は非推奨となっています。代わりに、QAccessibleEvent オブジェクトを直接生成して送信することを推奨します。

この解説が、Qt GUI アプリケーションにおける QAccessible::updateAccessibility() の理解に役立てば幸いです。

Qt GUI の QAccessible::updateAccessibility() サンプルコード

// ボタンが押された時の処理
void MyWidget::on_button_clicked() {
  // ボタンの状態を更新
  button->setEnabled(false);

  // アクセシビリティ情報を更新
  QAccessibleEvent event(button, QAccessible::StateChange);
  QAccessible::updateAccessibility(&event);
}

ウィジェットの追加

// 新しいボタンを作成
QPushButton* newButton = new QPushButton("New Button");

// ボタンをレイアウトに追加
layout->addWidget(newButton);

// アクセシビリティ情報を更新
QAccessibleEvent event(newButton, QAccessible::StructureChange);
QAccessible::updateAccessibility(&event);

フォーカス移動

// フォーカスを次のウィジェットへ移動
nextWidget->setFocus();

// アクセシビリティ情報を更新
QAccessibleEvent event(nextWidget, QAccessible::Focus);
QAccessible::updateAccessibility(&event);

QAccessibleEvent オブジェクトの直接生成

// イベントオブジェクトを作成
QAccessibleEvent event(button, QAccessible::StateChange);

// イベントの種類を設定
event.setType(QAccessible::StateChange);

// 対象となるウィジェットを設定
event.setSource(button);

// 子ウィジェットのインデックスを設定 (必要に応じて)
// event.setChild(index);

// アクセシビリティ情報を更新
QAccessible::updateAccessibility(&event);

Qt 5.15 以降での推奨方法

// イベントオブジェクトを作成
QAccessibleEvent event(button, QAccessible::StateChange);

// イベントを送信
QApplication::sendAccessibleEvent(button, &event);

Qt GUI のアクセシビリティ情報を更新する他の方法

QAccessible::notifyAccessibilityChange()

QAccessible::notifyAccessibilityChange() は、ウィジェットの状態や属性が変更されたことを通知する関数です。この関数は、QAccessible::updateAccessibility() と比べて軽量で、頻繁に呼び出すことができます。

// ボタンの状態を更新
button->setEnabled(false);

// アクセシビリティ情報を更新
QAccessible::notifyAccessibilityChange(button, QAccessible::StateChange);

QAccessible::updateValue()

QAccessible::updateValue() は、ウィジェットの値が変更されたことを通知する関数です。この関数は、テキストボックスなどの値を持つウィジェットにのみ使用できます。

// テキストボックスの値を更新
lineEdit->setText("New Text");

// アクセシビリティ情報を更新
QAccessible::updateValue(lineEdit);

QAccessible::addChild()

QAccessible::addChild() は、ウィジェットの子ウィジェットを追加する関数です。この関数は、ウィジェット階層が変更された場合に使用されます。

// 新しいボタンを作成
QPushButton* newButton = new QPushButton("New Button");

// ボタンをレイアウトに追加
layout->addWidget(newButton);

// アクセシビリティ情報を更新
QAccessible::addChild(button, newButton);

QAccessible::removeChild()

QAccessible::removeChild() は、ウィジェットの子ウィジェットを削除する関数です。この関数は、ウィジェット階層が変更された場合に使用されます。

// ボタンを削除
delete button;

// アクセシビリティ情報を更新
QAccessible::removeChild(parent, button);

Qt 5.15 以降での推奨方法

Qt 5.15 以降では、QAccessibleEvent オブジェクトを直接生成して送信することを推奨します。この方法は、より柔軟で、詳細な情報を提供することができます。

// イベントオブジェクトを作成
QAccessibleEvent event(button, QAccessible::StateChange);

// イベントを送信
QApplication::sendAccessibleEvent(button, &event);