Qt GUI プログラミング:QStandardItem::takeRow() 関数の詳細解説
QStandardItem::takeRow()
は、Qt GUI フレームワークの QStandardItemModel
クラスで使用される関数です。これは、モデル内の指定された行を削除し、削除された行のアイテムへのポインターのリストを返します。モデルはアイテムの所有権を解放します。
機能
- 指定された行をモデルから削除します。
- 削除された行のアイテムへのポインターのリストを返します。
- モデルは削除されたアイテムの所有権を解放します。
引数
row
: 削除する行のインデックス。
コード例
#include <QStandardItemModel>
#include <QStandardItem>
int main() {
// モデルの作成
QStandardItemModel model;
// アイテムの作成とモデルへの追加
for (int i = 0; i < 5; ++i) {
QStandardItem* item = new QStandardItem(QString("Item %1").arg(i));
model.appendRow(item);
}
// 2行目の削除
QList<QStandardItem*> items = model.takeRow(2);
// 削除されたアイテムの処理
for (QStandardItem* item : items) {
// ...
}
return 0;
}
注意事項
takeRow()
は、モデル内の行を直接削除します。ビューに表示されている行を削除したい場合は、removeRow()
関数を使用する必要があります。takeRow()
は、削除された行のアイテムへのポインターを返します。これらのアイテムを再利用する場合は、明示的に所有権を引き継ぐ必要があります。
補足
QStandardItem::takeRow()
は、ネストされた行を削除するためにも使用できます。ネストされた行を削除するには、親アイテムに対してtakeRow()
を呼び出す必要があります。QStandardItem::takeRow()
は、モデル内の行を効率的に削除する方法です。ただし、モデル内のデータの整合性を維持するために、注意して使用する必要があります。
QStandardItem::takeRow() 関数のサンプルコード
行の削除とアイテムの再利用
#include <QStandardItemModel>
#include <QStandardItem>
#include <QListView>
int main() {
// モデルの作成
QStandardItemModel model;
// アイテムの作成とモデルへの追加
for (int i = 0; i < 5; ++i) {
QStandardItem* item = new QStandardItem(QString("Item %1").arg(i));
model.appendRow(item);
}
// 2行目の削除
QList<QStandardItem*> items = model.takeRow(2);
// 削除されたアイテムを別のモデルに追加
QStandardItemModel otherModel;
for (QStandardItem* item : items) {
otherModel.appendRow(item);
}
// リストビューの作成とモデルの設定
QListView listView;
listView.setModel(&model);
// リストビューの表示
listView.show();
return 0;
}
ネストされた行の削除
#include <QStandardItemModel>
#include <QStandardItem>
#include <QTreeView>
int main() {
// モデルの作成
QStandardItemModel model;
// 親アイテムの作成とモデルへの追加
QStandardItem* parentItem = new QStandardItem("Parent Item");
model.appendRow(parentItem);
// 子アイテムの作成と親アイテムへの追加
for (int i = 0; i < 5; ++i) {
QStandardItem* childItem = new QStandardItem(QString("Child Item %1").arg(i));
parentItem->appendRow(childItem);
}
// 2番目の子アイテムの削除
QList<QStandardItem*> items = parentItem->takeRow(2);
// 削除されたアイテムの処理
for (QStandardItem* item : items) {
// ...
}
// ツリービューの作成とモデルの設定
QTreeView treeView;
treeView.setModel(&model);
// ツリービューの表示
treeView.show();
return 0;
}
モデル内のデータの整合性維持
#include <QStandardItemModel>
#include <QStandardItem>
#include <QHeaderView>
int main() {
// モデルの作成
QStandardItemModel model;
// アイテムの作成とモデルへの追加
for (int i = 0; i < 5; ++i) {
QStandardItem* item = new QStandardItem(QString("Item %1").arg(i));
model.appendRow(item);
}
// 2行目の削除
model.takeRow(2);
// ヘッダービューのカラム数の更新
QHeaderView* headerView = model.horizontalHeader();
headerView->setColumnCount(headerView->columnCount() - 1);
return 0;
}
補足
- 上記のサンプルコードは、あくまでも参考です。ご自身のアプリケーションに合わせてコードを修正する必要があります。
QStandardItem::takeRow() 関数の代替方法
removeRow() 関数
QStandardItemModel
クラスには、removeRow()
という別の関数も用意されています。removeRow()
関数は、モデル内の指定された行を削除し、ビューからその行を非表示にします。
#include <QStandardItemModel>
#include <QStandardItem>
int main() {
// モデルの作成
QStandardItemModel model;
// アイテムの作成とモデルへの追加
for (int i = 0; i < 5; ++i) {
QStandardItem* item = new QStandardItem(QString("Item %1").arg(i));
model.appendRow(item);
}
// 2行目の削除
model.removeRow(2);
return 0;
}
removeRow()
関数は、takeRow()
関数よりも軽量な関数です。ただし、removeRow()
関数は、削除された行のアイテムへのポインターを返しません。
clear() 関数
QStandardItemModel
クラスには、clear()
という関数も用意されています。clear()
関数は、モデル内のすべての行を削除します。
#include <QStandardItemModel>
#include <QStandardItem>
int main() {
// モデルの作成
QStandardItemModel model;
// アイテムの作成とモデルへの追加
for (int i = 0; i < 5; ++i) {
QStandardItem* item = new QStandardItem(QString("Item %1").arg(i));
model.appendRow(item);
}
// モデル内のすべての行を削除
model.clear();
return 0;
}
clear()
関数は、モデル内のすべての行を削除する必要がある場合に便利です。
自作関数
上記のいずれの方法もニーズに合わない場合は、自作関数を作成することもできます。自作関数を作成する場合は、モデル内のデータの整合性を維持するために注意する必要があります。
どの方法を選択するべきかは、状況によって異なります。以下の点を考慮する必要があります。
- 削除する行の数
- 削除された行のアイテムへのポインターが必要かどうか
- モデル内のデータの整合性
- 上記の方法は、Qt GUI フレームワークの
QStandardItemModel
クラスで使用できます。 - その他のモデルクラスでは、異なる方法でモデル内の行を削除する必要がある場合があります。
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