Qt WidgetsにおけるQStyle::subElementRect()とは？

Qt WidgetsにおけるQStyle::subElementRect()解説

QStyle::subElementRect()は、Qt Widgetsのスタイル要素の矩形を取得するための関数です。ウィジェットの各要素は、フレーム、ボタン、チェックボックスなど、さまざまなスタイル要素で構成されています。この関数を使うと、これらの要素の正確な位置とサイズを知ることができます。

機能

QStyle::subElementRect()は以下の情報を提供します。

• 要素の種類: ボタン、フレーム、チェックボックスなど
• 要素の状態: アクティブ、非アクティブ、押下など
• 要素の矩形: 左上座標、幅、高さ

使い道

QStyle::subElementRect()は以下の用途に役立ちます。

• カスタムなスタイルの実装: ウィジェットの各要素の外観を独自に制御したい場合
• ツールチップやその他のウィジェットの配置: 要素の正確な位置に基づいて配置したい場合
• ウィジェットのヒットテスト: マウスカーソルがどの要素の上にあるかを判断したい場合

コード例

// ウィジェットのスタイルを取得
QStyle *style = QApplication::style();

// ボタンの矩形を取得
QRect rect = style->subElementRect(QStyle::SE_PushButton, widget);

// 矩形を使用して、ボタンの上にテキストを描画
painter->drawText(rect, Qt::AlignCenter, "ボタン");

注意事項

• QStyle::subElementRect()は、ウィジェットのスタイルによって異なる結果を返す可能性があります。
• 要素の種類と状態の組み合わせによっては、矩形が空になる場合もあります。

補足

• Qt Widgets以外にも、Qt Quick Controlsなどの他のQtフレームワークでも同様の機能が提供されています。
• QStyle::subElementRect()は、Qt 5.0以降で使用可能です。

この解説で理解できない部分があれば、遠慮なく質問してください。

QStyle::subElementRect() のサンプルコード

ボタンの矩形を取得してテキストを描画する

#include <QApplication>
#include <QPushButton>
#include <QPainter>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットを作成
  QWidget widget;
  QPushButton button(&widget);
  button.setText("ボタン");

  // スタイルを取得
  QStyle *style = QApplication::style();

  // ボタンの矩形を取得
  QRect rect = style->subElementRect(QStyle::SE_PushButton, &button);

  // 矩形を使用して、ボタンの上にテキストを描画
  QPainter painter(&widget);
  painter.drawText(rect, Qt::AlignCenter, "ボタン");

  widget.show();

  return app.exec();
}

プログレスバーの各要素の矩形を取得する

#include <QApplication>
#include <QProgressBar>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // プログレスバーを作成
  QProgressBar progressBar;

  // スタイルを取得
  QStyle *style = QApplication::style();

  // プログレスバーの各要素の矩形を取得
  QRect grooveRect = style->subElementRect(QStyle::SE_ProgressBarGroove, &progressBar);
  QRect chunkRect = style->subElementRect(QStyle::SE_ProgressBarChunk, &progressBar);

  // 矩形を出力
  qDebug() << "Groove rect:" << grooveRect;
  qDebug() << "Chunk rect:" << chunkRect;

  return app.exec();
}

このコードは、プログレスバーの各要素の矩形を取得して、コンソールに出力します。

スライダーのノブの矩形を取得して移動させる

#include <QApplication>
#include <QSlider>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // スライダーを作成
  QSlider slider;

  // スタイルを取得
  QStyle *style = QApplication::style();

  // スライダーのノブの矩形を取得
  QRect knobRect = style->subElementRect(QStyle::SE_SliderHandle, &slider);

  // マウスボタンが押されたら、ノブを移動させる
  void mouseMoveEvent(QMouseEvent *event) {
    if (event->buttons() & Qt::LeftButton) {
      // ノブの矩形を更新
      knobRect.moveCenter(event->pos());

      // スライダーの値を更新
      slider.setValue(style->subControlRect(QStyle::CC_Slider, &slider, QStyle::SC_SliderHandle, knobRect).center().x());

      // ウィジェットを更新
      slider.update();
    }
  }

  // マウスボタン押下イベントを処理
  slider.installEventFilter(this);

  slider.show();

  return app.exec();
}

このコードは、スライダーのノブの矩形を取得して、マウスで移動させます。

これらのサンプルコードは、QStyle::subElementRect()の使い方を理解するのに役立ちます。

この解説で理解できない部分があれば、遠慮なく質問してください。

QStyle::subElementRect() 以外の方法

QRect::adjusted() を使用して、ウィジェットの矩形を調整することで、要素の矩形を取得できます。

// ウィジェットの矩形を取得
QRect rect = widget->geometry();

// 各要素の矩形を取得
QRect buttonRect = rect.adjusted(x1, y1, x2, y2);
QRect frameRect = rect.adjusted(x3, y3, x4, y4);

// ...

この方法は、QStyle::subElementRect() よりもシンプルですが、要素の種類と状態を考慮していないため、正確な矩形を取得できない場合があります。

QWidget::childrenRect() を使用して、ウィジェットの子ウィジェットの矩形を取得できます。

// 子ウィジェットの矩形を取得
QRect childRect = widget->childrenRect();

// 各要素の矩形を取得
QRect buttonRect = childRect.intersected(button->geometry());
QRect frameRect = childRect.intersected(frame->geometry());

// ...

この方法は、子ウィジェットの矩形を取得するのに役立ちますが、重なり合っているウィジェットがある場合、正確な矩形を取得できない場合があります。

カスタムウィジェットを作成する場合は、paintEvent() メソッド内で要素の矩形を直接描画することができます。

void MyWidget::paintEvent(QPaintEvent *event) {
  // ウィジェットのスタイルを取得
  QStyle *style = QApplication::style();

  // 各要素の矩形を描画
  style->drawPrimitive(QStyle::PE_Frame, &frameRect, this);
  style->drawPrimitive(QStyle::PE_Button, &buttonRect, this);

  // ...
}

この方法は、最も柔軟な方法ですが、実装が複雑になる場合があります。

• シンプルな方法で要素の矩形を取得したい場合は、QRect::adjusted() を使用します。
• より正確な矩形を取得したい場合は、QStyle::subElementRect() を使用します。
• 子ウィジェットの矩形を取得したい場合は、QWidget::childrenRect() を使用します。
• カスタムウィジェットを作成する場合は、paintEvent() メソッド内で要素の矩形を直接描画します。