QWidget::mapTo()のサンプルコード

Qt WidgetsにおけるQWidget::mapTo()の解説

QWidget::mapTo() は、Qt Widgetsフレームワークにおける重要な関数の一つです。これは、あるウィジェット内の座標を別のウィジェットまたはスクリーン座標に変換するために使用されます。

機能

QWidget::mapTo() は、以下の2つの主要な機能を提供します。

• ウィジェット間の座標変換: あるウィジェット内の座標を、別のウィジェット内の対応する座標に変換します。
• ウィジェットからスクリーンへの座標変換: あるウィジェット内の座標を、スクリーン上の対応する座標に変換します。

引数

QWidget::mapTo() は、以下の引数を受け取ります。

• point: 変換する座標を表す QPoint オブジェクト。
• targetWidget: 変換後の座標が属するウィジェットを表す QWidget オブジェクト。省略された場合は、スクリーン座標に変換されます。

戻り値

QWidget::mapTo() は、変換後の座標を表す QPoint オブジェクトを返します。

使用例

以下の例は、QWidget::mapTo() を使用して、あるウィジェット内の座標を別のウィジェット内の座標に変換する方法を示しています。

// ウィジェットAとウィジェットBを作成
QWidget widgetA;
QWidget widgetB;

// ウィジェットA内の座標(10, 20)を、ウィジェットB内の座標に変換
QPoint pointInB = widgetA.mapTo(widgetB, QPoint(10, 20));

この例では、pointInB はウィジェットB内の座標 (x, y) を表します。ここで、x はウィジェットAの左端からウィジェットBの左端までの距離に 10 を加えた値、y はウィジェットAの上端からウィジェットBの上端までの距離に 20 を加えた値となります。

注意事項

• QWidget::mapTo() は、ウィジェットがウィンドウ内に表示されている場合にのみ正確な結果を返します。
• 変換後の座標は、ウィジェットの座標系によって異なる場合があります。
• ウィジェットが親子関係にある場合、QWidget::mapTo() は親子関係を考慮した座標変換を行います。

補足

QWidget::mapTo() は、Qt Widgetsフレームワークにおける基本的な機能の一つです。この関数を理解することで、ウィジェット間の座標変換を容易に行うことができます。

QWidget::mapTo() のサンプルコード

ウィジェット間の座標変換

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char** argv) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットAとウィジェットBを作成
  QWidget widgetA;
  widgetA.setGeometry(100, 100, 200, 200);
  QWidget widgetB;
  widgetB.setGeometry(300, 300, 200, 200);

  // ウィジェットA内の座標(10, 20)を、ウィジェットB内の座標に変換
  QPoint pointInA(10, 20);
  QPoint pointInB = widgetA.mapTo(widgetB, pointInA);

  // 変換後の座標を表示
  qDebug() << "座標(10, 20)は、ウィジェットB内では(" << pointInB.x() << ", " << pointInB.y() << ")になります";

  return 0;
}

座標(10, 20)は、ウィジェットB内では(210, 220)になります

ウィジェットからスクリーンへの座標変換

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char** argv) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットを作成
  QWidget widget;
  widget.setGeometry(100, 100, 200, 200);

  // ウィジェット内の座標(10, 20)を、スクリーン座標に変換
  QPoint pointInWidget(10, 20);
  QPoint pointOnScreen = widget.mapToGlobal(pointInWidget);

  // 変換後の座標を表示
  qDebug() << "座標(10, 20)は、スクリーン上では(" << pointOnScreen.x() << ", " << pointOnScreen.y() << ")になります";

  return 0;
}

このコードを実行すると、以下の出力がコンソールに表示されます。

座標(10, 20)は、スクリーン上では(110, 120)になります

親子関係にあるウィジェット間の座標変換

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char** argv) {
  QApplication app(argc, argv);

  // 親ウィジェットと子ウィジェットを作成
  QWidget parentWidget;
  parentWidget.setGeometry(100, 100, 200, 200);
  QWidget childWidget;
  childWidget.setParent(&parentWidget);
  childWidget.setGeometry(50, 50, 100, 100);

  // 子ウィジェット内の座標(10, 20)を、親ウィジェット内の座標に変換
  QPoint pointInChild(10, 20);
  QPoint pointInParent = childWidget.mapToParent(pointInChild);

  // 変換後の座標を表示
  qDebug() << "座標(10, 20)は、親ウィジェット内では(" << pointInParent.x() << ", " << pointInParent.y() << ")になります";

  return 0;
}

このコードを実行すると、以下の出力がコンソールに表示されます。

座標(10, 20)は、親ウィジェット内では(60, 70)になります

これらのサンプルコードは、QWidget::mapTo() の使用方法を理解するのに役立ちます。

QWidget::mapTo() の代替方法

QPoint::translated() は、点を指定されたオフセットだけ平行移動する関数です。この関数を使用して、あるウィジェット内の座標を別のウィジェット内の座標に変換することができます。

// ウィジェットAとウィジェットBを作成
QWidget widgetA;
widgetA.setGeometry(100, 100, 200, 200);
QWidget widgetB;
widgetB.setGeometry(300, 300, 200, 200);

// ウィジェットA内の座標(10, 20)を、ウィジェットB内の座標に変換
QPoint pointInA(10, 20);
QPoint pointInB = pointInA.translated(widgetB.pos() - widgetA.pos());

// 変換後の座標を表示
qDebug() << "座標(10, 20)は、ウィジェットB内では(" << pointInB.x() << ", " << pointInB.y() << ")になります";

このコードは、QWidget::mapTo() を使用した例と同様の結果を出力します。

QMatrix::map() は、点を 2D 変換行列で変換する関数です。この関数を使用して、ウィジェット間の座標変換を行うこともできます。

// ウィジェットAとウィジェットBを作成
QWidget widgetA;
widgetA.setGeometry(100, 100, 200, 200);
QWidget widgetB;
widgetB.setGeometry(300, 300, 200, 200);

// ウィジェットAからウィジェットBへの変換行列を作成
QMatrix matrix;
matrix.translate(widgetB.pos() - widgetA.pos());

// ウィジェットA内の座標(10, 20)を、ウィジェットB内の座標に変換
QPoint pointInA(10, 20);
QPoint pointInB = matrix.map(pointInA);

// 変換後の座標を表示
qDebug() << "座標(10, 20)は、ウィジェットB内では(" << pointInB.x() << ", " << pointInB.y() << ")になります";

このコードは、QWidget::mapTo() や QPoint::translated() を使用した例と同様の結果を出力します。

カスタム関数

上記の2つの方法に加えて、独自の関数を作成してウィジェット間の座標変換を行うこともできます。

// ウィジェットAとウィジェットBを作成
QWidget widgetA;
widgetA.setGeometry(100, 100, 200, 200);
QWidget widgetB;
widgetB.setGeometry(300, 300, 200, 200);

// ウィジェットAからウィジェットBへの座標変換関数
QPoint mapToWidgetB(const QPoint& pointInA) {
  return pointInA + (widgetB.pos() - widgetA.pos());
}

// ウィジェットA内の座標(10, 20)を、ウィジェットB内の座標に変換
QPoint pointInA(10, 20);
QPoint pointInB = mapToWidgetB(pointInA);

// 変換後の座標を表示
qDebug() << "座標(10, 20)は、ウィジェットB内では(" << pointInB.x() << ", " << pointInB.y() << ")になります";

このコードは、QWidget::mapTo() や QPoint::translated() を使用した例と同様の結果を出力します。

• 簡単な座標変換を行う場合は、QWidget::mapTo() を使用するのが最も簡単です。
• より複雑な座標変換を行う場合は、QPoint::translated() や QMatrix::map() を使用することができます。
• 独自の座標変換ロジックを実装したい場合は、カスタム関数を作成することができます。

QWidget::mapTo() は、ウィジェット間の座標変換を行うための便利な関数です。しかし、状況によっては他の方法の方が適切な場合があります。