C言語における並行処理プログラミングの参考資料
Cにおける並行処理サポートライブラリのプログラミング解説
スレッドライブラリは、複数のスレッドを作成・管理・同期するための機能を提供します。代表的なスレッドライブラリには、以下のようなものがあります。
- POSIXスレッド: Unix系OSで標準的に提供されるスレッドライブラリ
- Windowsスレッド: Windows OSで提供されるスレッドライブラリ
- Pthreads: POSIXスレッドを抽象化したオープンソースライブラリ
これらのライブラリを使用することで、以下のような並行処理プログラミングが可能になります。
- マルチスレッド処理: 複数のスレッドを同時に実行することで、処理速度を向上させる
- 非同期処理: 複数の処理を同時に開始し、完了を待つことなく他の処理を実行する
並行処理フレームワークは、スレッドライブラリの上に構築された、より高レベルな並行処理機能を提供します。代表的な並行処理フレームワークには、以下のようなものがあります。
- OpenMP: 共有メモリ型マルチスレッド処理に特化したオープンソースフレームワーク
- MPI: 分散メモリ型マルチプロセス処理に特化したオープンソースフレームワーク
これらのフレームワークを使用することで、以下のような並行処理プログラミングが可能になります。
- タスク並行処理: 複数のタスクを同時に実行し、それぞれのタスクが完了するのを待つことなく他のタスクを実行する
- データ並行処理: 複数のデータに対して同時に処理を行う
その他のライブラリ
上記以外にも、特定の並行処理パターンに特化したライブラリが多数存在します。
- pthreads-win32: Windows OSでPOSIXスレッドを使うためのライブラリ
- Boost.Thread: C++用のスレッドライブラリ
- TBB: Intel社提供のマルチスレッド処理ライブラリ
- CUDA: NVIDIA社提供のGPUプログラミングライブラリ
まとめ
C言語で並行処理プログラミングを行うには、スレッドライブラリ、並行処理フレームワーク、その他のライブラリなどを適切に組み合わせることが重要です。
各ライブラリの機能や特性を理解し、目的に合ったライブラリを選択することで、効率的な並行処理プログラムを実現することができます。
参考資料
- [OpenMPによるC/C++並行プログラミング](
C言語における並行処理サンプルコード
スレッドライブラリ
POSIXスレッド
#include <pthread.h>
void *thread_func(void *arg) {
// スレッド内で実行する処理
return NULL;
}
int main() {
pthread_t thread;
pthread_create(&thread, NULL, thread_func, NULL);
pthread_join(thread, NULL);
return 0;
}
Windowsスレッド
#include <windows.h>
DWORD WINAPI thread_func(LPVOID arg) {
// スレッド内で実行する処理
return 0;
}
int main() {
HANDLE thread;
DWORD thread_id;
thread = CreateThread(NULL, 0, thread_func, NULL, 0, &thread_id);
WaitForSingleObject(thread, INFINITE);
CloseHandle(thread);
return 0;
}
並行処理フレームワーク
OpenMP
#include <omp.h>
int main() {
int i;
int sum = 0;
#pragma omp parallel for
for (i = 0; i < 100; i++) {
sum += i;
}
printf("sum = %d\n", sum);
return 0;
}
MPI
#include <mpi.h>
int main(int argc, char **argv) {
int my_rank, world_size;
int sum = 0;
MPI_Init(&argc, &argv);
MPI_Comm_rank(MPI_COMM_WORLD, &my_rank);
MPI_Comm_size(MPI_COMM_WORLD, &world_size);
if (my_rank == 0) {
// プロセス0のみ処理
for (int i = 1; i < world_size; i++) {
int recv_data;
MPI_Recv(&recv_data, 1, MPI_INT, i, 0, MPI_COMM_WORLD, MPI_STATUS_IGNORE);
sum += recv_data;
}
} else {
// プロセス1以上のみ処理
int send_data = my_rank;
MPI_Send(&send_data, 1, MPI_INT, 0, 0, MPI_COMM_WORLD);
}
if (my_rank == 0) {
printf("sum = %d\n", sum);
}
MPI_Finalize();
return 0;
}
その他
Pthreads-win32
#include <pthread.h>
#include <windows.h>
void *thread_func(void *arg) {
// スレッド内で実行する処理
return NULL;
}
int main() {
pthread_t thread;
pthread_win32_thread_t win32_thread;
pthread_create(&thread, NULL, thread_func, NULL);
pthread_win32_thread_id_np(thread, &win32_thread);
WaitForSingleObject(win32_thread, INFINITE);
pthread_join(thread, NULL);
return 0;
}
Boost.Thread
#include <boost/thread.hpp>
void thread_func() {
// スレッド内で実行する処理
}
int main() {
boost::thread thread(thread_func);
thread.join();
return 0;
}
C言語における並行処理のその他の方法
マルチプロセス処理は、複数のプロセスを同時に実行することで処理速度を向上させる方法です。C言語では、fork()
やexec()
などのシステムコールを使用して、プロセスを作成することができます。
マルチプロセス処理は、スレッド処理よりもメモリ使用量が多くなりますが、プロセス間の通信が比較的簡単というメリットがあります。
非同期処理は、複数の処理を同時に開始し、完了を待つことなく他の処理を実行する方法です。C言語では、select()
やpoll()
などのシステムコールを使用して、非同期処理を実現することができます。
非同期処理は、処理の完了を待つ必要がないため、I/O待ちが多い処理に適しています。
イベント駆動処理は、イベント発生に応じて処理を実行する方法です。C言語では、epoll()
などのシステムコールを使用して、イベント駆動処理を実現することができます。
イベント駆動処理は、ユーザー入力やネットワーク通信などのイベント処理に適しています。
協調処理は、複数の処理が互いに協調しながら実行する方法です。C言語では、coroutine
などのライブラリを使用して、協調処理を実現することができます。
協調処理は、複数の処理が互いに密接に関連している場合に適しています。
C言語で並行処理を行うには、さまざまな方法があります。
それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、目的に合った方法を選択することが重要です。
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