NEON intrinsics を使用する際のデータ構造のアライメント
C言語における alignof キーワード
alignof
は C11 で導入されたキーワードで、型または変数のメモリ配置境界を取得するために使用されます。これは、パフォーマンスの最適化や、特定のハードウェア要件への対応など、さまざまな場面で役立ちます。
基本的な使い方
alignof
は、単一の型名または括弧で囲まれた式をオペランドとして受け取り、その型のオブジェクトがメモリ上でどのように配置されるかを示す size_t
型の値を返します。
#include <stdio.h>
int main() {
printf("int のアライメント: %zu\n", alignof(int));
printf("double のアライメント: %zu\n", alignof(double));
return 0;
}
この例では、int
型と double
型のアライメントがそれぞれ出力されます。
応用例
- パフォーマンスの最適化
データ構造をキャッシュライン境界に配置することで、キャッシュヒット率を向上させ、パフォーマンスを向上させることができます。
struct MyStruct {
int a;
char b;
double c;
} __attribute__((aligned(64))); // キャッシュラインサイズにアライメント
// ...
- ハードウェア要件への対応
特定のハードウェアは、特定のアライメント要件を持つ場合があります。alignof
を使用して、これらの要件を満たすようにコードを記述することができます。
#ifdef __ARM_NEON__
// NEON intrinsics を使用する場合は、16バイトのアライメントが必要
uint8_t data[16] __attribute__((aligned(16)));
#endif
注意点
alignof
はコンパイル時のみの演算子です。実行時に使用することはできません。alignof
の結果は、コンパイラやターゲットアーキテクチャによって異なる場合があります。
alignof キーワードを使ったサンプルコード
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
// キャッシュラインサイズ
#define CACHE_LINE_SIZE 64
// キャッシュライン境界に配置された構造体
typedef struct __attribute__((aligned(CACHE_LINE_SIZE))) MyStruct {
int a;
char b;
double c;
} MyStruct;
int main() {
MyStruct* data = malloc(sizeof(MyStruct));
// データ構造がキャッシュライン境界に配置されていることを確認
if ((uintptr_t)data % CACHE_LINE_SIZE != 0) {
fprintf(stderr, "Error: データ構造がキャッシュライン境界に配置されていない\n");
return 1;
}
// ...
free(data);
return 0;
}
ハードウェア要件への対応
#ifdef __ARM_NEON__
// NEON intrinsics を使用する場合は、16バイトのアライメントが必要
uint8_t data[16] __attribute__((aligned(16)));
void neon_function(uint8_t* data) {
// ...
}
int main() {
neon_function(data);
return 0;
}
#endif
配列要素のアライメント
#include <stdio.h>
int main() {
// 配列要素のアライメントは、その要素の型のアライメントよりも大きいか等しい
printf("int 配列要素のアライメント: %zu\n", alignof(int[10]));
printf("double 配列要素のアライメント: %zu\n", alignof(double[10]));
return 0;
}
構造体メンバーのアライメント
#include <stdio.h>
struct MyStruct {
int a;
char b; // パディングが発生
double c;
};
int main() {
printf("MyStruct のアライメント: %zu\n", alignof(MyStruct));
printf("MyStruct::a のオフセット: %zu\n", offsetof(MyStruct, a));
printf("MyStruct::b のオフセット: %zu\n", offsetof(MyStruct, b));
printf("MyStruct::c のオフセット: %zu\n", offsetof(MyStruct, c));
return 0;
}
可変長配列のアライメント
#include <stdio.h>
int main() {
int n = 10;
int data[n];
// 可変長配列のアライメントは、その要素の型のアライメントと同じ
printf("int 可変長配列のアライメント: %zu\n", alignof(data));
return 0;
}
ポインタのアライメント
#include <stdio.h>
int main() {
int* p = NULL;
// ポインタのアライメントは、ポインタが指す型のオブジェクトのアライメントと同じ
printf("int ポインタのアライメント: %zu\n", alignof(p));
return 0;
}
これらのサンプルコードは、alignof
キーワードのさまざまな使い方を示しています。これらのコードを参考に、
alignof キーワード以外の方法
#pragma pack
は、コンパイラにデータ構造のパック方法を指示するために使用されます。
#pragma pack(1) // 構造体メンバーを1バイト境界に配置
struct MyStruct {
int a;
char b;
double c;
};
#pragma pack() // デフォルトのパック方法に戻す
__attribute__((aligned))
は、構造体や変数にアライメント属性を指定するために使用されます。
struct MyStruct __attribute__((aligned(16))) {
int a;
char b;
double c;
};
手動でパディングを追加
構造体メンバーの間に手動でパディングを追加することで、アライメントを制御することができます。
struct MyStruct {
int a;
char b[7]; // 7バイトのパディング
double c;
};
これらの方法は、alignof
キーワードよりも古い方法であり、C99 以前のコンパイラでも使用できます。
注意事項
- データ構造のアライメントを制御する方法は、コンパイラやターゲットアーキテクチャによって異なる場合があります。
- アライメントを過度に制御すると、コードサイズが大きくなったり、パフォーマンスが低下したりすることがあります。
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