Number.MIN_SAFE_INTEGER を理解して JavaScript の精度制限を克服する

2024-04-03

JavaScript Number.MIN_SAFE_INTEGER 完全解説

Number.MIN_SAFE_INTEGER を理解するには、以下の点を押さえることが重要です。

安全な整数とは?

JavaScript は、64ビット浮動小数点数形式で数値を表現します。しかし、この形式には整数表現の精度制限があり、52ビットしか使用できません。そのため、2^53 - 1 より大きい整数または -(2^53 - 1) より小さい整数は、正確に表現できない可能性があります。

Number.MIN_SAFE_INTEGER は、この精度制限を考慮し、安全に扱える最小の整数を表しています。Number.MIN_SAFE_INTEGER より小さい整数値は、精度が失われる可能性があります。

Number.MIN_SAFE_INTEGER の用途

Number.MIN_SAFE_INTEGER は、以下の用途に使用できます。

  • 整数の範囲チェック
  • 安全な計算
  • BigInt への変換

例:

// 整数の範囲チェック
function isSafeInteger(num) {
  return num >= Number.MIN_SAFE_INTEGER && num <= Number.MAX_SAFE_INTEGER;
}

// 安全な計算
function safeSum(a, b) {
  if (!isSafeInteger(a) || !isSafeInteger(b)) {
    throw new Error("数値が安全な範囲を超えています");
  }
  return a + b;
}

// BigInt への変換
const bigInt = BigInt(Number.MIN_SAFE_INTEGER);

Number.MIN_SAFE_INTEGER の注意点

  • Number.MIN_SAFE_INTEGER は、Number オブジェクトの静的プロパティです。
  • Number.MIN_SAFE_INTEGER より小さい整数値を扱う場合は、BigInt 型の使用を検討する必要があります。
  • Number.MIN_SAFE_INTEGER は、JavaScript のバージョンによって異なる場合があります。

まとめ

Number.MIN_SAFE_INTEGER は、JavaScript における重要な定数であり、安全に扱える最小の整数を表します。この定数を理解することで、整数の範囲チェック、安全な計算、BigInt への変換など、さまざまな場面で活用できます。

補足:

  • Number.MAX_SAFE_INTEGER は、Number.MIN_SAFE_INTEGER と同様に、安全に扱える最大の整数を表す定数です。
  • Number.isSafeInteger() は、数値が安全な範囲かどうかを判断する関数です。


Number.MIN_SAFE_INTEGER を使ったサンプルコード

function isSafeInteger(num) {
  return num >= Number.MIN_SAFE_INTEGER && num <= Number.MAX_SAFE_INTEGER;
}

// 例
console.log(isSafeInteger(100)); // true
console.log(isSafeInteger(-9007199254740991)); // true
console.log(isSafeInteger(-9007199254740992)); // false

安全な計算

function safeSum(a, b) {
  if (!isSafeInteger(a) || !isSafeInteger(b)) {
    throw new Error("数値が安全な範囲を超えています");
  }
  return a + b;
}

// 例
try {
  console.log(safeSum(100, 200)); // 300
  console.log(safeSum(Number.MAX_SAFE_INTEGER, 1)); // エラー発生
} catch (error) {
  console.log(error.message); // 数値が安全な範囲を超えています
}

BigInt への変換

const bigInt = BigInt(Number.MIN_SAFE_INTEGER);

// 例
console.log(typeof bigInt); // "bigint"
console.log(bigint.toString()); // "-9007199254740991"

その他

  • Number.MIN_SAFE_INTEGER を使用して、安全な範囲でランダムな整数を生成する
function safeRandomInt() {
  return Math.floor(Math.random() * (Number.MAX_SAFE_INTEGER - Number.MIN_SAFE_INTEGER + 1)) + Number.MIN_SAFE_INTEGER;
}

// 例
console.log(safeRandomInt()); // 安全な範囲のランダムな整数
  • Number.MIN_SAFE_INTEGER を使用して、配列の最小値を見つける
function findMin(arr) {
  let min = Number.MAX_SAFE_INTEGER;
  for (const num of arr) {
    min = Math.min(min, num);
  }
  return min;
}

// 例
const arr = [1, 2, 3, -100, Number.MIN_SAFE_INTEGER];
console.log(findMin(arr)); // -9007199254740991

これらのコードはあくまで例であり、さまざまな状況に合わせて応用することができます。



Number.MIN_SAFE_INTEGER を使用せずに、比較演算子を使用して安全な範囲かどうかを判断できます。

function isSafeInteger(num) {
  return num >= -(2**53 - 1) && num <= (2**53 - 1);
}

// 例
console.log(isSafeInteger(100)); // true
console.log(isSafeInteger(-9007199254740991)); // true
console.log(isSafeInteger(-9007199254740992)); // false

Number.isSafeInteger()

JavaScript の ES2020 以降では、Number.isSafeInteger() 関数を使用して、数値が安全な範囲かどうかを判断できます。

// 例
console.log(Number.isSafeInteger(100)); // true
console.log(Number.isSafeInteger(-9007199254740991)); // true
console.log(Number.isSafeInteger(-9007199254740992)); // false

BigInt

Number.MIN_SAFE_INTEGER より小さい整数値を扱う場合は、BigInt 型の使用を検討できます。

const bigInt = BigInt(-9007199254740992);

// 例
console.log(typeof bigInt); // "bigint"
console.log(bigint.toString()); // "-9007199254740992"
  • Number.MAX_SAFE_INTEGER は、Number.MIN_SAFE_INTEGER と同様に、安全に扱える最大の整数を表す定数です。
  • 安全な範囲でランダムな整数を生成するには、Math.random()Number.MIN_SAFE_INTEGER および Number.MAX_SAFE_INTEGER を組み合わせて使用できます。



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