PyTorch CUDA synchronize の使い方: GPUとCPU間のデータ転送を効率的に制御
PyTorchのCUDAにおけるtorch.cuda.synchronize()について
このチュートリアルでは、以下の内容を解説します。
torch.cuda.synchronize()
の役割
torch.cuda.synchronize()の役割
PyTorchでは、GPU上で実行されるCUDAカーネルは非同期的に実行されます。つまり、CPUスレッドは、すべてのカーネルが完了するのを待たずに次のタスクに進むことができます。これは、パフォーマンスを向上させるために有効ですが、タイミングの問題を引き起こす可能性もあります。
例えば、GPU上で計算された結果をCPUで使用したい場合、すべてのカーネルが完了する前にCPUスレッドが実行されると、結果がまだ準備できていない可能性があります。torch.cuda.synchronize()
は、この問題を解決するために使用されます。
torch.cuda.synchronize()
は、以下の方法で使用できます。
torch.cuda.synchronize()
この関数は、すべてのCUDAカーネルが完了するまでCPUスレッドをブロックします。
以下は、torch.cuda.synchronize()
の使用例です。
# GPU上で計算を行う
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
y = torch.mm(x, x)
# すべてのカーネルが完了するまで待つ
torch.cuda.synchronize()
# 結果をCPUで使用
z = y.cpu().numpy()
この例では、torch.mm()
を使用して2つの1000x1000行列の積を計算します。torch.cuda.synchronize()
を使用して、すべてのカーネルが完了してから、結果をCPUに転送します。
torch.cuda.synchronize()
は、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。すべてのカーネルが完了するまでCPUスレッドをブロックするため、プログラムの実行速度が遅くなる可能性があります。
torch.cuda.synchronize()
は、必要最小限の場合にのみ使用することをお勧めします。
PyTorch CUDA synchronize サンプルコード
GPU 上の計算結果を CPU で使用
# GPU 上で計算を行う
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
y = torch.mm(x, x)
# すべてのカーネルが完了するまで待つ
torch.cuda.synchronize()
# 結果を CPU で使用
z = y.cpu().numpy()
GPU と CPU 間のデータ転送を同期
# GPU 上のデータ
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
# CPU に転送
y = x.cpu()
# 転送が完了するまで待つ
torch.cuda.synchronize()
# CPU 上でデータを使用
z = y.numpy()
ストリームを使用して GPU カーネルの実行を制御
# ストリームを作成
stream = torch.cuda.Stream()
# ストリームを使用してカーネルを起動
with torch.cuda.stream(stream):
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
y = torch.mm(x, x)
# ストリームの完了を待つ
stream.synchronize()
# 結果を CPU で使用
z = y.cpu().numpy()
イベントを使用して GPU カーネルの実行を監視
# イベントを作成
event = torch.cuda.Event()
# イベントを使用してカーネルを起動
with torch.cuda.device(x.device):
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
y = torch.mm(x, x)
event.record()
# イベントの完了を待つ
event.wait()
# 結果を CPU で使用
z = y.cpu().numpy()
ベンチマーク
# GPU 上の計算時間を測定
# ウォームアップ
for _ in range(10):
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
y = torch.mm(x, x)
# 開始時刻を記録
start = time.time()
# 計算を実行
for _ in range(100):
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
y = torch.mm(x, x)
# 終了時刻を記録
end = time.time()
# 計算時間を表示
print(f"計算時間: {end - start}")
PyTorch CUDA synchronize の代替方法
しかし、torch.cuda.synchronize()
は、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。すべてのカーネルが完了するまで CPU スレッドをブロックするため、プログラムの実行速度が遅くなる可能性があります。
torch.cuda.synchronize()
の代替方法として、以下の方法が考えられます。
イベントを使用する
PyTorch では、torch.cuda.Event
クラスを使用して、GPU カーネルの実行を監視することができます。イベントを使用して、カーネルが完了したタイミングで CPU スレッドを再開することができます。
# イベントを作成
event = torch.cuda.Event()
# イベントを使用してカーネルを起動
with torch.cuda.device(x.device):
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
y = torch.mm(x, x)
event.record()
# イベントの完了を待つ
event.wait()
# 結果を CPU で使用
z = y.cpu().numpy()
ストリームを使用する
PyTorch では、torch.cuda.Stream
クラスを使用して、GPU カーネルの実行を制御することができます。ストリームを使用して、複数のカーネルを並行して実行したり、特定の順序で実行することができます。
# ストリームを作成
stream = torch.cuda.Stream()
# ストリームを使用してカーネルを起動
with torch.cuda.stream(stream):
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
y = torch.mm(x, x)
# ストリームの完了を待つ
stream.synchronize()
# 結果を CPU で使用
z = y.cpu().numpy()
非同期転送を使用する
PyTorch では、torch.cuda.memcpy_async()
関数を使用して、GPU と CPU 間のデータを非同期的に転送することができます。この方法を使用すると、CPU スレッドをブロックせずにデータを転送することができます。
# GPU 上のデータ
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
# CPU に転送
y = torch.empty_like(x, device="cpu")
torch.cuda.memcpy_async(y, x)
# 転送が完了するまで待つ
torch.cuda.synchronize()
# CPU 上でデータを使用
z = y.numpy()
これらの方法は、torch.cuda.synchronize()
の代替方法として使用することができます。これらの方法を使用することで、パフォーマンスを向上させることができます。
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