PyTorchでコードを簡潔化かつ高速化: torch.func.vmap によるJAXライクな関数変換
PyTorch の JAX ライクな関数変換: torch.func.vmap の詳細解説
PyTorch 1.11 からベータ版として導入された torch.func
モジュールは、JAX ライクな関数変換機能を提供します。この機能は、PyTorch コードをより効率的に実行し、開発者の生産性を向上させるための強力なツールです。
本解説では、torch.func
モジュールの代表的な機能である vmap
について、詳細な解説を行います。
vmap
は、ベクトル化変換と呼ばれる関数変換の一つです。ベクトル化変換は、複数のスカラー入力を受け取る関数を、ベクトル入力を受け取る関数に変換します。これは、ループ処理を自動的にベクトル化することで、コードを簡潔化し、実行速度を向上させる効果があります。
vmap の仕組み
vmap
は、入力と出力をバッチ化することでベクトル化を実現します。具体的には、以下の手順で動作します。
- 入力テンソルをバッチ次元で分割します。
- 分割された各テンソルに対して、元の関数を適用します。
- 適用結果をバッチ次元で結合します。
vmap の利点
vmap
を使用することで、以下の利点が得られます。
- コードの簡潔化: ループ処理を記述する必要がなくなり、コードが簡潔になります。
- 実行速度の向上: ベクトル化処理により、実行速度が向上します。
- メモリ使用量の削減: バッチ処理により、メモリ使用量が削減されます。
vmap の使用例
vmap
は、さまざまな場面で使用できます。以下に、いくつかの例を紹介します。
- ベクトルの加算:
def add_vectors(x, y):
return x + y
# スカラー入力
x = torch.tensor(1)
y = torch.tensor(2)
z = add_vectors(x, y)
# ベクトル入力
x = torch.tensor([1, 2, 3])
y = torch.tensor([4, 5, 6])
z = vmap(add_vectors)(x, y)
- 行列の積:
def matmul(a, b):
return torch.matmul(a, b)
# スカラー入力
a = torch.tensor([[1, 2], [3, 4]])
b = torch.tensor([[5, 6], [7, 8]])
c = matmul(a, b)
# ベクトル入力
a = torch.stack([
torch.tensor([[1, 2], [3, 4]]),
torch.tensor([[5, 6], [7, 8]]),
])
b = torch.stack([
torch.tensor([[9, 10], [11, 12]]),
torch.tensor([[13, 14], [15, 16]]),
])
c = vmap(matmul)(a, b)
vmap の注意事項
vmap
を使用する際には、以下の点に注意する必要があります。
vmap
は、すべての関数に対して使用できるわけではありません。vmap
は、バッチ処理を行うため、メモリ使用量が増加する可能性があります。vmap
は、複雑な関数に対して使用すると、コードが分かりにくくなる可能性があります。
torch.func.vmap
は、PyTorch コードを効率的に実行するための強力なツールです。vmap
の仕組みと利点、使用例、注意事項を理解することで、開発者は vmap
を効果的に活用することができます。
PyTorch torch.func.vmap サンプルコード集
- スカラーベクトルの加算・減算・乗算・除算
- ベクトル同士の内積・外積
- 行列の積・転置・逆行列
統計関数
- 平均・分散・標準偏差
- 最小値・最大値
- ヒストグラム
数学関数
- 指数関数・対数関数
- 三角関数
- ガンマ関数
微分積分
- 関数の微分・積分
- 連立微分方程式の解法
機械学習
- 線形回帰
- ロジスティック回帰
- ニューラルネットワーク
画像処理
- 画像の読み込み・保存
- 画像の回転・反転・切り抜き
- 画像フィルタ
音声処理
- 音声の読み込み・保存
- 音声のスペクトル分析
- 音声合成
自然言語処理
- テキストの分かち書き
- テキストのベクトリアイゼーション
- 感情分析
サンプルコードの入手方法
以下のリポジトリから、サンプルコードを入手できます。
- 上記以外にも、
torch.func.vmap
はさまざまな場面で使用できます。 - サンプルコードを参考に、
torch.func.vmap
を活用して、コードを簡潔化し、実行速度を向上させてください。
PyTorch でベクトル化処理を行う他の方法
手動でループ処理を行う
最も基本的な方法は、手動でループ処理を行うことです。
def add_vectors(x, y):
return x + y
# スカラー入力
x = torch.tensor(1)
y = torch.tensor(2)
z = add_vectors(x, y)
# ベクトル入力
x = torch.tensor([1, 2, 3])
y = torch.tensor([4, 5, 6])
z = []
for i in range(len(x)):
z.append(add_vectors(x[i], y[i]))
z = torch.tensor(z)
この方法は、コードが分かりやすくなるという利点がありますが、コード量が膨大になり、実行速度が遅くなるという欠点があります。
torch.jit
を使用すると、Python コードを TorchScript にコンパイルすることができます。TorchScript は、PyTorch よりも高速に実行できる中間言語です。
def add_vectors(x, y):
return x + y
# スカラー入力
x = torch.tensor(1)
y = torch.tensor(2)
z = add_vectors(x, y)
# ベクトル入力
x = torch.tensor([1, 2, 3])
y = torch.tensor([4, 5, 6])
add_vectors_jit = torch.jit.trace(add_vectors, example_inputs=(x[0], y[0]))
z = add_vectors_jit(x, y)
この方法は、実行速度を向上させるという利点がありますが、コードの書き方が複雑になるという欠点があります。
numba を使用する
numba
は、Python コードを機械語にコンパイルするツールです。機械語は、C言語などのコンパイル言語よりも高速に実行できます。
from numba import jit
@jit
def add_vectors(x, y):
return x + y
# スカラー入力
x = torch.tensor(1)
y = torch.tensor(2)
z = add_vectors(x, y)
# ベクトル入力
x = torch.tensor([1, 2, 3])
y = torch.tensor([4, 5, 6])
z = add_vectors(x, y)
この方法は、実行速度を大幅に向上させるという利点がありますが、コードの書き方が複雑になるという欠点があります。
その他のライブラリを使用する
autograd
や jax
などのライブラリを使用すると、ベクトル化処理を簡単に記述することができます。
# autograd
import autograd.numpy as np
def add_vectors(x, y):
return x + y
# スカラー入力
x = np.array(1)
y = np.array(2)
z = add_vectors(x, y)
# ベクトル入力
x = np.array([1, 2, 3])
y = np.array([4, 5, 6])
z = add_vectors(x, y)
# jax
import jax.numpy as jnp
def add_vectors(x, y):
return x + y
# スカラー入力
x = jnp.array(1)
y = jnp.array(2)
z = add_vectors(x, y)
# ベクトル入力
x = jnp.array([1, 2, 3])
y = jnp.array([4, 5, 6])
z = add_vectors(x, y)
これらのライブラリは、PyTorch とは異なる API を使用するため、学習コストがかかるという欠点があります。
PyTorch でベクトル化処理を行う方法はいくつかあります。それぞれの方法には、利点と欠点があります。
- 手動でループ処理を行う: コードが分かりやすい
torch.jit
を使用する: 実行速度が速いnumba
を使用する: 実行速度が大幅に向上- その他のライブラリを使用する: ベ
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