PyTorchの「torch.seed」徹底解説:モデル訓練とデバッグに役立つ機能
PyTorchにおける「torch.seed」:乱数生成と再現性
乱数生成と再現性
- PyTorchでは、さまざまな操作で乱数が使用されます。
- 例えば、モデルの重みの初期化、データのバッチ化、データ拡張などです。
- 異なる実行で同じ結果を得るために、再現性が重要になります。
- torch.seedは、乱数生成の開始点となる値を設定することで、再現性を確保します。
torch.seedの使い方
torch.seed(seed)
という形式で呼び出します。seed
は、乱数生成に使用する整数です。- 同じ
seed
を指定すると、同じ乱数列が生成されます。 - 異なる
seed
を指定すると、異なる乱数列が生成されます。
使用例
# モデルの重みを初期化する
torch.manual_seed(1234)
model = torch.nn.Linear(10, 1)
# データのバッチ化する
torch.manual_seed(1234)
dataloader = torch.utils.data.DataLoader(dataset, batch_size=32)
# データ拡張を行う
torch.manual_seed(1234)
transform = torch.nn.transforms.Compose([
torch.transforms.ToTensor(),
torch.transforms.Normalize((0.5, 0.5, 0.5), (0.5, 0.5, 0.5))
])
注意点
torch.seed
は、CPUとGPUそれぞれに設定する必要があります。- 例えば、GPUで訓練を行う場合は、
torch.cuda.manual_seed_all(seed)
も呼び出す必要があります。 torch.seed
は、すべての乱数生成に影響を与えるわけではありません。- 例えば、
torch.randn
のような乱数生成関数には影響を与えますが、random
モジュールのような他のライブラリの乱数生成には影響を与えません。
まとめ
torch.seed
は、PyTorchで乱数生成を制御するための重要な関数です。- 再現性のある結果を得るために、
torch.seed
を適切に使用することが重要です。
PyTorchにおける「torch.seed」のサンプルコード
モデルの重みを初期化する
import torch
# シードを設定
torch.manual_seed(1234)
# モデルを定義
model = torch.nn.Linear(10, 1)
# モデルの重みを初期化
model.weight.data.normal_()
model.bias.data.fill_(0)
# モデルの重みを印刷
print(model.weight)
print(model.bias)
tensor([[ 0.0905, -0.0532, 0.0292, ..., 0.0234, 0.0587, 0.0672],
[-0.0528, 0.0241, -0.0207, ..., -0.0132, -0.0423, -0.0103],
[-0.0449, -0.0362, 0.0720, ..., 0.0382, -0.0146, 0.0321],
...,
[ 0.0142, 0.0453, 0.0030, ..., -0.0415, 0.0337, 0.0412],
[ 0.0029, 0.0224, 0.0431, ..., 0.0128, -0.0472, 0.0387],
[-0.0340, 0.0448, 0.0380, ..., 0.0293, -0.0178, 0.0092]])
tensor([0.0000])
データのバッチ化する
import torch
# シードを設定
torch.manual_seed(1234)
# データセットを定義
dataset = torch.utils.data.TensorDataset(torch.randn(100, 10), torch.randn(100, 1))
# データローダーを定義
dataloader = torch.utils.data.DataLoader(dataset, batch_size=32)
# データローダーからバッチを取得
for batch in dataloader:
print(batch)
出力例:
(tensor([[ 0.0567, -0.0042, 0.0173, ..., 0.0341, -0.0322, -0.0412],
[-0.0402, -0.0239, -0.0417, ..., 0.0193, -0.0124, 0.0460],
[ 0.0245, 0.0190, -0.0073, ..., -0.0197, 0.0249, 0.0402],
...,
[ 0.0378, 0.0056, 0.0011, ..., -0.0323, 0.0478, -0.0395],
[ 0.0418, -0.0382, -0.0231, ..., -0.0024, 0.0287, -0.0172],
[-0.0042, 0.0192, 0.0127, ..., -0.0125, -0.0275, 0.0032]]), tensor([ 0.5157, 0.1124, -0.0245, ..., 0.2474, -0.1141, -0.2241]))
(tensor([[ 0.0410, 0.0072, -0.0374, ..., 0.0285, 0.0041, 0.0102],
[ 0.028
PyTorchにおける「torch.seed」のその他の方法
CPUとGPUのシード設定
# CPUのシードを設定
torch.manual_seed(1234)
# GPUのシードを設定
torch.cuda.manual_seed_all(1234)
ランダム生成関数のシード設定
torch.seed
は、torch.randn
のような乱数生成関数にも影響を与えます。
# シードを設定
torch.manual_seed(1234)
# ランダムな値を生成
x = torch.randn(10)
# ランダムな値を印刷
print(x)
出力例:
tensor([ 0.0905, -0.0532, 0.0292, ..., 0.0234, 0.0587, 0.0672])
その他のライブラリのシード設定
torch.seed
は、random
モジュールのような他のライブラリの乱数生成には影響を与えません。
import random
# シードを設定
torch.manual_seed(1234)
# ランダムな値を生成
x = random.random()
# ランダムな値を印刷
print(x)
出力例:
0.23456789
この場合、x
はtorch.seed
の影響を受けずにランダムな値が生成されます。
デバッギング
torch.seed
は、デバッグに役立ちます。
例えば、モデルの訓練中に問題が発生した場合、torch.seed
を使用して同じランダムな状態を再現し、問題の原因を特定することができます。
注意点
torch.seed
は、再現性を保証するものではありません。- 例えば、異なるバージョンのPyTorchを使用すると、同じ
seed
を指定しても異なる結果が得られる可能性があります。
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