テキスト編集、ハイライト、ツールチップ…Qt GUIにおけるQAbstractTextDocumentLayout::hitTest()の多様な活用
Qt GUIにおけるQAbstractTextDocumentLayout::hitTest()の詳細解説
この関数は、テキスト編集、ハイライト表示、ツールチップ表示など、さまざまな機能で利用されます。
QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() の概要
QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() は、以下の情報を返す関数です。
- 座標が属するテキストフレーム
- 座標が属するテキスト行
- 座標が属する文字
- 座標が属する単語
これらの情報は、テキスト要素の選択、編集、操作などに使用できます。
QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() の使い方
QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() は、以下の引数を受け取ります。
- QPointF point: テスト対象の座標
- Qt::HitTestFlag flags: テストの種類を指定するフラグ
flags には、以下の値を指定できます。
- Qt::HitTest::Text: テキスト要素のみをテスト
- Qt::HitTest::Background: 背景のみをテスト
- Qt::HitTest::TextOrBackground: テキスト要素と背景をテスト
QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() は、以下の情報を格納した QTextHit オブジェクトを返します。
- textFrame(): 座標が属するテキストフレーム
- block(): 座標が属するテキスト行
- cursorPosition(): 座標が属する文字
- word(): 座標が属する単語
QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() の例
以下のコードは、QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() を使って、特定の座標が属するテキスト要素を取得する例です。
QAbstractTextDocumentLayout* layout = ...; // テキストレイアウトを取得
QPointF point = ...; // テスト対象の座標を取得
Qt::HitTestFlag flags = Qt::HitTest::Text;
QTextHit hit = layout->hitTest(point, flags);
if (hit.isValid()) {
// 座標がテキスト要素に属している
QTextFrame* frame = hit.textFrame();
QTextBlock block = hit.block();
int cursorPosition = hit.cursorPosition();
QString word = hit.word();
// 各要素の情報を使って処理を行う
} else {
// 座標がテキスト要素に属していない
}
QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() の注意点
- QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() は、テキストレイアウト内の座標のみをテストします。ウィジェット座標に変換する必要があります。
- flags に Qt::HitTest::TextOrBackground を指定した場合、背景に属する場合でも QTextHit::isValid() が true を返す可能性があります。
- QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() は、テキストレイアウトの状態によって結果が変わる可能性があります。
その他
QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() は、Qt GUIにおけるテキスト処理の重要な機能です。この関数を理解することで、さまざまなテキスト操作を行うことができます。
関連情報
- QTextDocument: テキストドキュメントを表すクラス
- QTextFrame: テキストフレームを表すクラス
- QTextBlock: テキスト行を表すクラス
Qt GUIにおけるQAbstractTextDocumentLayout::hitTest()のサンプルコード集
この関数は、テキスト編集、ハイライト表示、ツールチップ表示など、さまざまな機能で使用されます。
ここでは、QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() の使い方を理解するためのサンプルコードを紹介します。
サンプルコード1:座標が属するテキスト要素を取得する
QAbstractTextDocumentLayout* layout = ...; // テキストレイアウトを取得
QPointF point = ...; // テスト対象の座標を取得
Qt::HitTestFlag flags = Qt::HitTest::Text;
QTextHit hit = layout->hitTest(point, flags);
if (hit.isValid()) {
// 座標がテキスト要素に属している
QTextFrame* frame = hit.textFrame();
QTextBlock block = hit.block();
int cursorPosition = hit.cursorPosition();
QString word = hit.word();
// 各要素の情報を使って処理を行う
} else {
// 座標がテキスト要素に属していない
}
サンプルコード2:特定の文字をクリックした時の処理
QAbstractTextDocumentLayout* layout = ...; // テキストレイアウトを取得
QTextCursor cursor = ...; // テキストカーソルを取得
// マウスボタンが押された時の処理
void mousePressEvent(QMouseEvent* event) {
QPointF point = event->pos();
Qt::HitTestFlag flags = Qt::HitTest::Text;
QTextHit hit = layout->hitTest(point, flags);
if (hit.isValid()) {
// 座標がテキスト要素に属している
int cursorPosition = hit.cursorPosition();
// クリックした文字の位置にカーソルを移動
cursor.setPosition(cursorPosition);
}
}
サンプルコード3:ツールチップを表示する
QAbstractTextDocumentLayout* layout = ...; // テキストレイアウトを取得
QTextDocument* document = ...; // テキストドキュメントを取得
// マウスが動いた時の処理
void mouseMoveEvent(QMouseEvent* event) {
QPointF point = event->pos();
Qt::HitTestFlag flags = Qt::HitTest::Text;
QTextHit hit = layout->hitTest(point, flags);
if (hit.isValid()) {
// 座標がテキスト要素に属している
int cursorPosition = hit.cursorPosition();
// ツールチップに単語を表示
QString word = document->findWordAt(cursorPosition);
setToolTip(word);
} else {
// ツールチップを非表示にする
setToolTip("");
}
}
これらのサンプルコードは、QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() の基本的な使い方を示しています。
これらのコードを参考に、さまざまなテキスト操作を行うことができます。
QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() 以外の方法
QTextCursor::hitTest()
QTextCursor::hitTest() は、QTextCursor オブジェクトを使って、特定の座標が属するテキスト要素を取得する関数です。
QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() よりも軽量な関数ですが、QTextCursor オブジェクトを事前に作成しておく必要があります。
QTextCursor cursor = ...; // テキストカーソルを取得
QPointF point = ...; // テスト対象の座標を取得
Qt::HitTestFlag flags = Qt::HitTest::Text;
QTextHit hit = cursor.hitTest(point, flags);
if (hit.isValid()) {
// 座標がテキスト要素に属している
QTextFrame* frame = hit.textFrame();
QTextBlock block = hit.block();
int cursorPosition = hit.cursorPosition();
QString word = hit.word();
// 各要素の情報を使って処理を行う
} else {
// 座標がテキスト要素に属していない
}
QTextDocument::findWordAt()
QTextDocument::findWordAt() は、特定の座標から始まる単語を取得する関数です。
この関数を使って、座標が属する単語を取得し、その単語からテキスト要素を判断することができます。
QTextDocument* document = ...; // テキストドキュメントを取得
QPointF point = ...; // テスト対象の座標を取得
QTextCursor cursor = document->cursorForPosition(point);
int cursorPosition = cursor.position();
QString word = document->findWordAt(cursorPosition);
// 単語からテキスト要素を判断
// ...
自作の関数
上記のいずれの方法も、特定の状況では使いにくい場合があります。
そのような場合は、自作の関数を使って、テキスト要素を取得することができます。
自作の関数を作成する場合は、以下の点に注意する必要があります。
- テキストレイアウトの構造を理解する必要がある
- テキストレンダリングの仕組みを理解する必要がある
- 速度が重要な場合は QTextCursor::hitTest() を使う
- 使いやすさを重視する場合は QAbstractTextDocumentLayout::hitTest() を使う
- 柔軟性を重視する場合は 自作の関数 を使う
- 上記の情報は、Qt 5.15 をベースにしています。他のバージョンの Qt では、異なる場合があります。
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