QPainter::setBrushOrigin() メソッドでブラシ原点を設定

2024-04-09

Qt GUI における QPainter::setBrushOrigin() の詳細解説

QPainter::setBrushOrigin() メソッドは、Qt GUI における描画操作において、ブラシの原点を設定するために使用されます。ブラシの原点は、ブラシのパターンが描画される開始点となる座標を定義します。このメソッドを使用することで、ブラシのパターンの配置をコントロールし、より精度の高い描画を実現することができます。

構文

void QPainter::setBrushOrigin(const QPoint &point);
void QPainter::setBrushOrigin(const QPointF &point);

引数

  • point: ブラシの原点となる座標を指定する QPoint または QPointF 型のオブジェクトです。

戻り値

なし

詳細

QPainter::setBrushOrigin() メソッドは、現在のペインターオブジェクトに関連付けられているブラシの原点を設定します。このメソッドは、drawPath(), fillRect(), drawEllipse(), drawArc() などの描画メソッドを使用する前に呼び出す必要があります。

ブラシの原点は、ブラシのパターンの最初のタイルが配置される位置を決定します。デフォルトでは、ブラシの原点はペインターの原点 (QPoint(0, 0)) に設定されます。しかし、setBrushOrigin() メソッドを使用することで、この原点を任意の座標に変更することができます。

以下のコード例は、ブラシの原点を (50, 50) に設定し、その後四角形を描画する方法を示しています。

QPainter painter(widget);
painter.setBrush(Qt::red);
painter.setBrushOrigin(QPoint(50, 50));
painter.drawRect(QRect(100, 100, 200, 200));

このコードを実行すると、ブラシのパターンが (50, 50) 座標から開始して、四角形全体に描画されます。

補足

  • QPainter::setBrushOrigin() メソッドは、現在のペインターオブジェクトにのみ影響を与えます。他のペインターオブジェクトに影響を与えるには、それぞれのペインターオブジェクトに対して個別にこのメソッドを呼び出す必要があります。
  • ブラシの原点は、ブラシのパターンが描画される座標系に依存します。たとえば、ブラシのパターンがウィジェット座標系で定義されている場合、setBrushOrigin() メソッドで設定した座標はウィジェット座標系での座標となります。
  • ブラシのパターンが画像ファイルなどで定義されている場合、setBrushOrigin() メソッドで設定した座標は画像ファイル内の座標系に変換されます。


Qt GUIにおけるQPainter::setBrushOrigin()のサンプルコード

この例では、QPainter::setBrushOrigin()を使用してブラシの原点座標を変化させ、その結果、描画される模様がどのように変化するかを演示します。

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QPainter>
#include <QPixmap>

class Widget : public QLabel {
public:
    Widget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override;
};

Widget::Widget(QWidget *parent) : QLabel(parent) {
    setFixedSize(250, 250);
}

void Widget::paintEvent(QPaintEvent *event) {
    QPainter painter(this);

    // ブラシを縞模様に設定
    QBrush brush(Qt::black, Qt::white);

    // ブラシ原点を変化させながら、4つの四角形を描画
    for (int i = 0; i < 4; ++i) {
        painter.setBrushOrigin(QPoint(i * 50, i * 50));
        painter.drawRect(QRect(50 + i * 50, 50 + i * 50, 100, 100));
    }
}

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    Widget widget;
    widget.show();

    return app.exec();
}

このコードを実行すると、以下の画像のようなウィンドウが表示されます。

各四角形は同じブラシを使用していますが、ブラシ原点が異なるため、描画される模様がそれぞれ異なっています。

画像ファイルの模様を座標変換して描画

この例では、QPainter::setBrushOrigin()を使用して画像ファイルの模様の座標変換を行い、描画位置をコントロールします。

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QPainter>
#include <QImage>

class Widget : public QLabel {
public:
    Widget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override;
};

Widget::Widget(QWidget *parent) : QLabel(parent) {
    setFixedSize(250, 250);
}

void Widget::paintEvent(QPaintEvent *event) {
    QPainter painter(this);

    // 画像ファイルを読み込む
    QImage image("example.png");

    // ブラシを画像ファイルのピクセルデータで設定
    QBrush brush(image);

    // ブラシ原点を変化させながら、4つの四角形を描画
    for (int i = 0; i < 4; ++i) {
        painter.setBrushOrigin(QPoint(i * 50, i * 50));
        painter.drawRect(QRect(50 + i * 50, 50 + i * 50, 100, 100));
    }
}

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    Widget widget;
    widget.show();

    return app.exec();
}

このコードを実行するには、example.pngという名前の画像ファイルを事前に用意しておく必要があります。画像ファイルの内容は任意のもので構いません。

このコードを実行すると、以下の画像のようなウィンドウが表示されます。

各四角形は同じ画像ファイルの模様を使用していますが、ブラシ原点が異なるため、描画される模様の位置がそれぞれ異なっています。

これらの例は、QPainter::setBrushOrigin() メソッドがどのように使用できるかを示すほんの一例です。このメソッドを組み合わせることで、様々なバリエーションの描画を実現することができます。

ご参考になれば幸いです。



Qt GUI におけるブラシ原点の制御方法

ブラシオブジェクトに直接 setOrigin() メソッドを呼び出すことで、ブラシ原点を設定することができます。この方法は、QPainter::setBrushOrigin() メソッドよりも簡潔ですが、そのブラシオブジェクトを使用するすべての描画操作に影響を与える点に注意が必要です。

QBrush brush(Qt::black, Qt::white);
brush.setOrigin(QPoint(50, 50));

QPainter painter(this);
painter.setBrush(brush);
painter.drawRect(QRect(50, 50, 100, 100));

QTransform オブジェクトを使用して、ブラシのパターン全体を回転、拡大縮小、移動することができます。この方法を使用すると、ブラシ原点を間接的に制御することができます。

QBrush brush(Qt::black, Qt::white);

QTransform transform;
transform.translate(50, 50);

QPainter painter(this);
painter.setBrush(brush);
painter.setTransform(transform);
painter.drawRect(QRect(50, 50, 100, 100));

カスタム描画関数を使用

独自の描画関数を作成することで、ブラシ原点の制御を含む完全な描画ロジックを定義することができます。この方法は、より柔軟な制御が可能ですが、複雑さも増します。

void drawMyRect(QPainter &painter, QBrush &brush, const QRect &rect) {
    // ブラシ原点を計算
    QPoint origin = rect.topLeft() + brush.origin();

    // ブラシを設定
    painter.setBrush(brush);

    // ブラシ原点を設定
    painter.setBrushOrigin(origin);

    // 四角形を描画
    painter.drawRect(rect);
}

QPainter painter(this);
QBrush brush(Qt::black, Qt::white);
drawMyRect(painter, brush, QRect(50, 50, 100, 100));

それぞれの方法の利点と欠点

方法利点欠点
QPainter::setBrushOrigin()シンプル現在のペインターオブジェクトにのみ影響
ブラシオブジェクトに直接設定簡潔すべての描画操作に影響
QTransform を使用柔軟性複雑
カスタム描画関数を使用完全な制御複雑

どの方法を選択するかは、状況や要件に応じて異なります。単純な描画の場合は、QPainter::setBrushOrigin() メソッドが最も適切です。より複雑な描画や、複数のブラシオブジェクトを使用する場合は、他の方法がより適している場合があります。

ご参考になれば幸いです。




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