Qt Widgets:QDoubleSpinBox::fixup()を使いこなして、ユーザー入力をスムーズに

2024-04-02

Qt WidgetsにおけるQDoubleSpinBox::fixup()解説

QDoubleSpinBox::fixup()は、Qt Widgetsフレームワークにおける重要な関数の一つです。これは、QDoubleSpinBoxクラスの機能を拡張し、ユーザー入力値の検証と修正を行うためのものです。

機能

fixup()は以下の機能を提供します。

  • ユーザー入力値の範囲チェック
  • 有効桁数制限
  • 小数点以下の桁数制限
  • 科学表記への変換
  • ユーザー入力値のフォーマット調整

使用方法

fixup()は、QDoubleSpinBoxオブジェクトの以下のイベントハンドラ内で呼び出すことが可能です。

  • valueChanged()
  • editingFinished()

これらのイベントハンドラ内で、fixup()を使用して、ユーザー入力値を検証し、必要に応じて修正することができます。

以下の例は、fixup()を使用して、ユーザー入力値が指定された範囲内に収まるようにする方法を示しています。

QDoubleSpinBox *spinBox = new QDoubleSpinBox();

spinBox->setRange(-100.0, 100.0);

void onValueChanged(double value)
{
  if (!spinBox->fixup(value)) {
    // ユーザー入力値が無効
    spinBox->setValue(spinBox->minimum());
  }
}

void onEditingFinished()
{
  spinBox->fixup();
}

spinBox->valueChanged(onValueChanged);
spinBox->editingFinished(onEditingFinished);

この例では、valueChanged()イベントハンドラ内で、fixup()を使用して、ユーザー入力値が範囲内に収まるかどうかをチェックしています。もし入力値が無効であれば、spinBoxの値を最小値に設定します。

editingFinished()イベントハンドラ内で、fixup()を呼び出すことで、編集が完了した際に、ユーザー入力値が範囲内に収まるようにすることができます。

QDoubleSpinBox::fixup()の詳細については、Qt公式ドキュメントを参照してください。

補足

  • fixup()は、ユーザー入力値を修正するだけでなく、QDoubleSpinBoxオブジェクトの状態も更新します。
  • fixup()は、QDoubleSpinBoxオブジェクトの内部状態に依存するため、他のオブジェクトで使用することはできません。


QDoubleSpinBox::fixup() のサンプルコード

ユーザー入力値の範囲チェック

QDoubleSpinBox *spinBox = new QDoubleSpinBox();

spinBox->setRange(-100.0, 100.0);

void onValueChanged(double value)
{
  if (!spinBox->fixup(value)) {
    // ユーザー入力値が無効
    QMessageBox::warning(this, "警告", "範囲外の値です。");
    spinBox->setValue(spinBox->minimum());
  }
}

spinBox->valueChanged(onValueChanged);

有効桁数制限

QDoubleSpinBox *spinBox = new QDoubleSpinBox();

spinBox->setDecimals(3);

void onEditingFinished()
{
  spinBox->fixup();

  if (spinBox->value() != spinBox->cleanText().toDouble()) {
    // 有効桁数超過
    QMessageBox::warning(this, "警告", "有効桁数を超えています。");
    spinBox->setValue(spinBox->cleanText().toDouble());
  }
}

spinBox->editingFinished(onEditingFinished);

この例では、fixup()を使用して、ユーザー入力値の有効桁数が制限内に収まるかどうかをチェックしています。もし有効桁数が超過している場合は、警告メッセージを表示し、spinBoxの値を切り捨てます。

小数点以下の桁数制限

QDoubleSpinBox *spinBox = new QDoubleSpinBox();

spinBox->setDecimals(3);
spinBox->setStepSize(0.01);

void onValueChanged(double value)
{
  if (!spinBox->fixup(value)) {
    // ユーザー入力値が無効
    QMessageBox::warning(this, "警告", "小数点以下の桁数が多すぎます。");
    spinBox->setValue(spinBox->minimum());
  }
}

spinBox->valueChanged(onValueChanged);

この例では、fixup()を使用して、ユーザー入力値の小数点以下の桁数が制限内に収まるかどうかをチェックしています。もし小数点以下の桁数が超過している場合は、警告メッセージを表示し、spinBoxの値を最小値に設定します。

科学表記への変換

QDoubleSpinBox *spinBox = new QDoubleSpinBox();

spinBox->setRange(1e-10, 1e10);
spinBox->setNotation(QDoubleSpinBox::ScientificNotation);

void onEditingFinished()
{
  spinBox->fixup();

  if (spinBox->text().contains('e')) {
    // 科学表記に変換
    spinBox->setValue(spinBox->text().toDouble());
  }
}

spinBox->editingFinished(onEditingFinished);

この例では、fixup()を使用して、ユーザー入力値を科学表記に変換しています。もしユーザー入力値が科学表記でなければ、fixup()によって自動的に変換されます。

ユーザー入力値のフォーマット調整

QDoubleSpinBox *spinBox = new QDoubleSpinBox();

spinBox->setPrefix("$");
spinBox->setSuffix


QDoubleSpinBox::fixup() 以外の方法

QValidatorクラスは、ユーザー入力値の検証を行うためのクラスです。QDoubleSpinBoxクラスには、setValidator() メソッドを使用して、QValidatorオブジェクトを設定することができます。

QDoubleSpinBox *spinBox = new QDoubleSpinBox();

QDoubleValidator *validator = new QDoubleValidator(-100.0, 100.0, 3, this);

spinBox->setValidator(validator);

この例では、QDoubleValidatorオブジェクトを使用して、ユーザー入力値が範囲内に収まるかどうかをチェックしています。

イベントハンドラの使用

valueChanged()editingFinished() などのイベントハンドラを使用して、ユーザー入力値を検証と修正を行うことができます。

QDoubleSpinBox *spinBox = new QDoubleSpinBox();

void onValueChanged(double value)
{
  // ユーザー入力値の検証
  if (value < -100.0 || value > 100.0) {
    // 無効な値
    spinBox->setValue(spinBox->minimum());
  }
}

void onEditingFinished()
{
  // ユーザー入力値の修正
  spinBox->setValue(spinBox->cleanText().toDouble());
}

spinBox->valueChanged(onValueChanged);
spinBox->editingFinished(onEditingFinished);

この例では、valueChanged() イベントハンドラを使用して、ユーザー入力値が範囲内に収まるかどうかをチェックしています。また、editingFinished() イベントハンドラを使用して、ユーザー入力値を切り捨てます。

自作関数の使用

上記の方法以外にも、自作関数を使用して、ユーザー入力値の検証と修正を行うことができます。

bool validateValue(double value)
{
  // 範囲チェック
  if (value < -100.0 || value > 100.0) {
    return false;
  }

  // 有効桁数チェック
  if (value.toString().length() > 8) {
    return false;
  }

  return true;
}

void onEditingFinished()
{
  if (!validateValue(spinBox->value())) {
    // 無効な値
    spinBox->setValue(spinBox->minimum());
  }
}

spinBox->editingFinished(onEditingFinished);

この例では、validateValue() 関数を使用して、ユーザー入力値の検証を行っています。

QDoubleSpinBox::fixup() は、ユーザー入力値の検証と修正を行うための便利な関数です。しかし、他の方法を使用する




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