Qt WidgetsにおけるQTabBar::paintEvent()の詳細解説

2024-04-06

Qt WidgetsにおけるQTabBar::paintEvent()の詳細解説

QTabBar::paintEvent()は、Qt Widgetsフレームワークにおける重要なイベントハンドラであり、タブバーの視覚的な表現を制御します。このイベントは、タブバーの表示が更新されるたびに呼び出され、開発者はこのイベントを再実装することで、タブバーの外観を自由にカスタマイズできます。

イベントの仕組み

QTabBar::paintEvent()は、QPaintEventオブジェクトを受け取り、その情報に基づいてタブバーを描画します。このイベントは以下の処理を行います。

  1. イベント情報の取得: QPaintEventオブジェクトから、ペイント領域、現在のウィジェット状態、その他の描画に必要な情報を取り出します。
  2. スタイルオプションの設定: QTabBar::drawControl()を使用して、タブバーのスタイルオプションを設定します。このオプションは、タブバーの外観を決定する様々な属性を指定します。
  3. タブの描画: QTabBar::drawTab()を使用して、個々のタブを描画します。この関数は、タブの形状、背景色、ラベル、アイコンなどを描画します。
  4. その他の描画: 必要に応じて、タブバー上のその他の要素を描画します。例えば、区切り線やスクロールボタンなどを描画できます。

カスタマイズ例

QTabBar::paintEvent()を再実装することで、以下の様なタブバーのカスタマイズが可能です。

  • タブの形状変更: 角丸タブ、三角形タブなど、独自の形状のタブを描画できます。
  • タブの背景色変更: タブの状態(選択、アクティブ、非アクティブ)に応じて、異なる背景色を設定できます。
  • アイコンの追加: タブにアイコンを追加できます。
  • ラベルの装飾: タブのラベルに影やグラデーションなどの装飾を施せます。

補足

  • QTabBar::paintEvent()は、パフォーマンスに影響を与える重要なイベントです。描画処理を効率化するために、最適化テクニックを検討する必要があります。
  • Qtには、QTabBar::setTabBarTheme()などの便利な機能が用意されています。これらの機能を活用することで、複雑なカスタマイズ作業を簡略化できます。


Qt WidgetsにおけるQTabBar::paintEvent()のサンプルコード

タブの形状変更

void MyTabBar::paintEvent(QPaintEvent *event)
{
  QTabBar::paintEvent(event);

  QPainter painter(this);
  painter.setRenderHint(QPainter::Antialiasing);

  // タブの形状を三角形に変更
  for (int i = 0; i < count(); ++i) {
    QRect tabRect = tabRect(i);
    QPolygonF polygon;
    polygon << tabRect.topLeft() << tabRect.bottomLeft() << QPointF(tabRect.center().x(), tabRect.top());
    painter.fillPolygon(polygon, palette().color(QPalette::Button));
  }
}

タブの背景色変更

void MyTabBar::paintEvent(QPaintEvent *event)
{
  QTabBar::paintEvent(event);

  QPainter painter(this);

  // タブの状態に応じて背景色を変更
  for (int i = 0; i < count(); ++i) {
    QRect tabRect = tabRect(i);
    Qt::TabState state = tabState(i);
    QColor tabColor;
    switch (state) {
      case Qt::TabSelected:
        tabColor = palette().color(QPalette::Highlight);
        break;
      case Qt::TabUnselected:
        tabColor = palette().color(QPalette::Window);
        break;
      default:
        break;
    }
    painter.fillRect(tabRect, tabColor);
  }
}

アイコンの追加

void MyTabBar::paintEvent(QPaintEvent *event)
{
  QTabBar::paintEvent(event);

  QPainter painter(this);

  // タブにアイコンを追加
  for (int i = 0; i < count(); ++i) {
    QRect tabRect = tabRect(i);
    QPixmap icon = tabIcon(i);
    painter.drawPixmap(tabRect.center() - icon.size() / 2, icon);
  }
}

ラベルの装飾

void MyTabBar::paintEvent(QPaintEvent *event)
{
  QTabBar::paintEvent(event);

  QPainter painter(this);

  // タブのラベルに影を追加
  for (int i = 0; i < count(); ++i) {
    QRect tabRect = tabRect(i);
    QString tabText = tabText(i);
    painter.setPen(palette().color(QPalette::Shadow));
    painter.drawText(tabRect.adjusted(1, 1, -1, -1), Qt::AlignCenter, tabText);
    painter.setPen(palette().color(QPalette::Text));
    painter.drawText(tabRect, Qt::AlignCenter, tabText);
  }
}

スクロールボタンの描画

void MyTabBar::paintEvent(QPaintEvent *event)
{
  QTabBar::paintEvent(event);

  QPainter painter(this);

  // スクロールボタンを描画
  if (count() > tabBarWidth()) {
    QRect leftScrollRect = scrollBarRect(Qt::LeftArrow);
    QRect rightScrollRect = scrollBarRect(Qt::RightArrow);
    painter.drawPixmap(leftScrollRect, QPixmap(":/images/left_arrow.png"));
    painter.drawPixmap(rightScrollRect, QPixmap(":/images/right_arrow.png"));
  }
}

注意: これらのサンプルコードは、Qt 5.15に基づいています。他のバージョンのQtでは、コードの一部を変更する必要があるかもしれません。



Qt WidgetsにおけるQTabBar::paintEvent()の代替方法

QTabBar::setStyleSheet()を使用して、スタイルシートを適用することで、タブバーの外観を簡単に変更できます。スタイルシートは、CSS (Cascading Style Sheets) のような構文を使用して、フォント、色、背景などを設定できます。

tabBar->setStyleSheet("QTabBar::tab { background-color: #ff0000; }");

QTabBar::setTabButton()を使用して、個々のタブボタンをカスタマイズできます。この関数は、QWidgetオブジェクトを受け取り、そのウィジェットをタブボタンとして設定します。

QWidget *widget = new QWidget();
widget->setStyleSheet("background-color: #00ff00;");
tabBar->setTabButton(0, widget);

QTabBar::addTab()を使用して、タブを追加する際に、そのタブの外観をカスタマイズできます。この関数は、QTabBar::TabDataオブジェクトを受け取り、そのオブジェクトを使用してタブの外観を設定します。

QTabBar::TabData tabData;
tabData.text = "My Tab";
tabData.icon = QPixmap(":/images/my_icon.png");
tabBar->addTab(tabData);

QTabBarDelegateを使用することで、タブバーのすべてのタブの外観をまとめてカスタマイズできます。QTabBarDelegateは、QAbstractItemDelegateをサブクラス化したクラスであり、paint()メソッドを再実装することで、タブの描画処理をカスタマイズできます。

class MyTabBarDelegate : public QTabBarDelegate
{
public:
  void paint(QPainter *painter, const QStyleOptionViewItem &option, const QModelIndex &index) const override
  {
    // タブの描画処理をカスタマイズ
  }
};

tabBar->setItemDelegate(new MyTabBarDelegate);

これらの方法は、QTabBar::paintEvent()イベントハンドラを再実装するよりも簡潔で、多くの場合、より効率的な方法でタブバーの外観をカスタマイズすることができます。




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