共有ライブラリのリンカーフラグを設定する方法 - CMakeにおけるCMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS変数の詳細解説
CMakeにおけるCMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS変数の詳細解説
CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS
は、CMakeで共有ライブラリを生成する際に使用されるリンカーフラグを設定する変数です。この変数に設定されたフラグは、すべての共有ライブラリのリンク時に渡されます。
設定方法
CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS
変数は、以下の方法で設定できます。
- CMakeLists.txtファイル内で直接設定する
set()
コマンドを使用して設定するtarget_link_libraries()
コマンドのLINK_FLAGS
オプションで設定する
例
# CMakeLists.txtファイル内で直接設定する
set(CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS "-Wl,-rpath,${CMAKE_INSTALL_RPATH}")
# set()コマンドを使用して設定する
set(CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS "-Wl,--no-undefined")
# target_link_libraries()コマンドのLINK_FLAGSオプションで設定する
target_link_libraries(my_target PUBLIC "-Wl,--as-needed")
使用可能なフラグ
使用可能なリンカーフラグは、使用しているコンパイラとプラットフォームによって異なります。一般的なフラグには以下のようなものがあります。
-Wl,-rpath,
:ランタイム検索パスを設定-Wl,--no-undefined
:未定義シンボルのエラーを抑制-Wl,--as-needed
:必要なシンボルのみをリンク
CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS
変数に関する詳細は、以下の公式ドキュメントを参照してください。
補足
CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS
変数は、共有ライブラリのみを対象としています。静的ライブラリを生成する場合は、CMAKE_STATIC_LINKER_FLAGS
変数を使用する必要があります。- 特定のターゲットに対してのみリンカーフラグを設定したい場合は、
target_link_libraries()
コマンドのLINK_FLAGS
オプションを使用することができます。 - リンカーフラグを設定する際は、コンパイラのマニュアルを参照して、正しいフラグを確認する必要があります。
CMakeにおけるCMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS変数のサンプルコード
ランタイム検索パスを設定する
# 共有ライブラリのランタイム検索パスを /usr/local/lib に設定
set(CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS "-Wl,-rpath,/usr/local/lib")
# 以下は同等の意味
set(CMAKE_RPATH "/usr/local/lib")
未定義シンボルのエラーを抑制する
# 未定義シンボルのエラーを抑制
set(CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS "-Wl,--no-undefined")
必要なシンボルのみをリンクする
# 必要なシンボルのみをリンク
target_link_libraries(my_target PUBLIC "-Wl,--as-needed")
特定のコンパイラ向けのフラグを設定する
# GCC向けのフラグを設定
if(CMAKE_COMPILER_IS_GNUCXX)
set(CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS "-Wl,--no-as-needed")
endif()
# Clang向けのフラグを設定
if(CMAKE_COMPILER_IS_CLANG)
set(CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS "-Wl,-rpath,${CMAKE_INSTALL_RPATH}")
endif()
デバッグビルドとリリースビルドで異なるフラグを設定する
# デバッグビルドではデバッグ情報を埋め込む
if(CMAKE_BUILD_TYPE STREQUAL "Debug")
set(CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS "-Wl,-g")
endif()
# リリースビルドでは最適化を行う
if(CMAKE_BUILD_TYPE STREQUAL "Release")
set(CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS "-Wl,-O2")
endif()
CMakeで共有ライブラリのリンカーフラグを設定するその他の方法
target_link_libraries()
コマンドのLINK_FLAGS
オプションを使用して、特定のターゲットに対してのみリンカーフラグを設定することができます。
target_link_libraries(my_target PUBLIC "-Wl,-rpath,/usr/local/lib")
add_custom_command()
コマンドを使用して、リンカーコマンドを直接呼び出すことができます。
add_custom_command(
TARGET my_target
POST_BUILD
COMMAND ${CMAKE_LINKER} -Wl,-rpath,/usr/local/lib -o ${CMAKE_BINARY_DIR}/my_target ${CMAKE_CURRENT_BINARY_DIR}/my_target.o)
link_libraries()
コマンドを使用して、リンカーコマンドにオプションを渡すことができます。
link_libraries("-Wl,-rpath,/usr/local/lib")
外部プロジェクトファイルを使用して、リンカーフラグを設定することができます。
# 外部プロジェクトファイルを読み込む
include(ExternalProject.cmake)
# 外部プロジェクトファイルでリンカーフラグを設定
set(CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS "-Wl,-rpath,/usr/local/lib")
# 外部プロジェクトをビルドする
ExternalProject_Add(my_project)
- すべての共有ライブラリに共通するフラグを設定する場合は、
CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS
変数を使用するのが最も簡単です。 - より複雑な設定が必要な場合は、
add_custom_command()
コマンドや外部プロジェクトファイルを使用することができます。
CMake の if() コマンド: デバッグとトラブルシューティング
構文条件式if() コマンドの引数には、条件式を指定します。条件式は、以下のいずれかの形式で記述できます。変数の比較: <variable> <operator> <value>コマンドの存在チェック: COMMAND <command-name>
CMakeコマンド mark_as_advanced() の詳細解説
mark_as_advanced() は、CMakeプロジェクトで特定のキャッシュ変数を "詳細設定" としてマークするために使用されるコマンドです。このコマンドによって、GUI ツールでこれらの変数はデフォルトでは表示されなくなり、ユーザーは "詳細設定" オプションを有効にするまで編集できなくなります。
CMakeの"Commands"における"fltk_wrap_ui()"プログラミングを徹底解説!
この解説では、CMakeの"Commands"における"fltk_wrap_ui()"プログラミングについて、分かりやすく説明します。"fltk_wrap_ui()"は、CMakeでFLTK GUIアプリケーションをビルドするために使用されるマクロです。このマクロは、FLTK GUI定義ファイルをC++コードに変換し、プロジェクトに組み込みます。
CMake include() で効率的なビルドを実現
include() は CMake の重要なコマンドの一つで、他の CMake ファイルやモジュールを読み込むために使用されます。 これにより、コードを分割し、再利用性と保守性を向上させることができます。機能他の CMake ファイルを読み込んで、その中のコマンドを実行する
CMake try_compile() を使って特定のライブラリがインストールされているかどうかを確認する方法
try_compile() は、CMake の強力なコマンドの一つで、コードを実際にコンパイルすることなく、コンパイルが成功するかどうかを確認することができます。これは、特定のコンパイラやオプションがシステム上で使用可能かどうかをテストしたり、コードの移植性を検証したりする際に非常に便利です。
CMakeで他のCMakeプロジェクトによって生成されたオブジェクトファイルを使用する
IMPORTED_OBJECTS プロパティは、外部で生成されたオブジェクトファイルを CMake プロジェクトに組み込むための機能です。これは、サードパーティ製のライブラリや、他の CMake プロジェクトによって生成されたオブジェクトファイルを使用する場合に役立ちます。
【完全解説】CMakeモジュールFindPHP4でPHP4を使えるようにする
FindPHP4 は、CMake のモジュールの一つで、システム上に PHP4 がインストールされているかどうかを検知し、必要な情報を設定するものです。これにより、PHP4 を利用するプロジェクトのビルドを容易にすることができます。FindPHP4 が行う処理
CMakeコマンド mark_as_advanced() の詳細解説
mark_as_advanced() は、CMakeプロジェクトで特定のキャッシュ変数を "詳細設定" としてマークするために使用されるコマンドです。このコマンドによって、GUI ツールでこれらの変数はデフォルトでは表示されなくなり、ユーザーは "詳細設定" オプションを有効にするまで編集できなくなります。
FindDoxygen 以外の Doxygen の使い道
FindDoxygen は、以下の情報を提供します。Doxygen の実行可能ファイルのパスDoxygen ヘッダーファイルのパスDoxygen 設定ファイルのパスこれらの情報は、CMake の他のモジュールやプロジェクトのビルド設定で使用できます。
CMakeの変数 CMAKE_COMPILER_IS_GNUCXX について
CMAKE_COMPILER_IS_GNUCXX は、CMake の変数の一つで、C++コンパイラがGNUコンパイラかどうかを判定します。この変数は非推奨であり、代わりに CMAKE_CXX_COMPILER_ID を使用することを推奨します。