結合とサブクエリ以外にも使える、MariaDB の高度なデータ操作テクニック

2024-04-02

MariaDB の結合とサブクエリ:プログラミング解説

この解説では、結合とサブクエリの基礎から応用まで、分かりやすく詳細に解説していきます。

結合とは?

結合は、複数のテーブルからデータを関連付けて抽出する機能です。複数のテーブルを結合することで、単一のテーブルでは表現できない複雑なデータ構造を扱うことができます。

1 結合の種類

MariaDB では、様々な種類の結合が利用可能です。代表的な結合の種類とその役割は以下の通りです。

  • INNER JOIN: 両方のテーブルに共通するレコードのみを抽出します。最も基本的な結合です。
  • LEFT JOIN: 左側のテーブルのすべてのレコードを抽出し、右側のテーブルと一致するレコードがあれば結合します。
  • FULL JOIN: 両方のテーブルのすべてのレコードを抽出し、一致するレコードと一致しないレコードを両方とも含めます。

2 結合の例

結合の具体的な使い方を例示します。

-- 従業員テーブルと部門テーブルを結合して、従業員名と所属部門名を取得

SELECT
  employee.name,
  department.name
FROM
  employee
INNER JOIN department
ON employee.department_id = department.id;

この例では、employee テーブルと department テーブルを department_id で結合し、従業員名と所属部門名を抽出しています。

サブクエリとは?

サブクエリは、別のクエリの結果を条件として使用したり、列として抽出したりできる機能です。複雑な条件を表現したり、データ分析を効率化したりするのに役立ちます。

1 サブクエリの例

サブクエリの具体的な使い方を例示します。

-- 給与が平均以上の従業員の名前を取得

SELECT
  name
FROM
  employee
WHERE salary > (
  SELECT AVG(salary)
  FROM employee
);

この例では、サブクエリを使用して、従業員の平均給与を計算し、その値よりも給与が高い従業員の名前を取得しています。

結合とサブクエリの使い分け

結合とサブクエリは、それぞれ異なる役割を持ち、状況によって使い分ける必要があります。

  • 結合: 複数のテーブルからデータを関連付けて抽出したい場合に適しています。
  • サブクエリ: 複雑な条件を表現したり、データ分析を効率化したい場合に適しています。

以下は、結合とサブクエリの使い分けの参考例です。

  • 結合:
    • 異なるテーブルに存在するデータを関連付けて表示したい場合
    • 複数のテーブルにまたがる集計を行いたい場合
  • サブクエリ:
    • 複雑な条件に基づいてデータを抽出したい場合
    • 集計結果を条件として使用したい場合

まとめ

MariaDB の結合とサブクエリは、複雑なデータ操作を可能にする強力な機能です。それぞれの機能を理解し、適切に使い分けることで、効率的なデータ処理を実現することができます。



結合とサブクエリのサンプルコード

結合

-- 従業員テーブルと部門テーブルを結合して、従業員名、所属部門名、給与を取得

SELECT
  employee.name,
  department.name,
  employee.salary
FROM
  employee
INNER JOIN department
ON employee.department_id = department.id;

2 LEFT JOIN

-- 従業員テーブルと部門テーブルを結合して、すべての従業員と所属部門名を取得 (所属部門がない従業員も表示)

SELECT
  employee.name,
  department.name
FROM
  employee
LEFT JOIN department
ON employee.department_id = department.id;

3 RIGHT JOIN

-- 従業員テーブルと部門テーブルを結合して、すべての部門と所属する従業員名を取得 (部門に所属していない従業員は表示されない)

SELECT
  department.name,
  employee.name
FROM
  department
RIGHT JOIN employee
ON department.id = employee.department_id;

4 FULL JOIN

-- 従業員テーブルと部門テーブルを結合して、すべての従業員と部門名を取得 (所属部門がない従業員と、部門に所属していない従業員も表示)

SELECT
  employee.name,
  department.name
FROM
  employee
FULL JOIN department
ON employee.department_id = department.id;

サブクエリ

1 従業員名と給与の昇順リスト

SELECT
  name,
  salary
FROM
  employee
ORDER BY salary ASC;

2 給与が平均以上の従業員の名前を取得

SELECT
  name
FROM
  employee
WHERE salary > (
  SELECT AVG(salary)
  FROM employee
);

3 各部門の従業員数と平均給与を取得

SELECT
  department.name,
  COUNT(employee.id) AS employee_count,
  AVG(employee.salary) AS average_salary
FROM
  department
LEFT JOIN employee
ON department.id = employee.department_id
GROUP BY department.id;

4 各部門の最高給与を取得

SELECT
  department.name,
  MAX(employee.salary) AS max_salary
FROM
  department
LEFT JOIN employee
ON department.id = employee.department_id
GROUP BY department.id;

応用例

商品とその購入者情報

商品テーブル:

CREATE TABLE product (
  id INT PRIMARY KEY,
  name VARCHAR(255),
  price INT
);

購入者テーブル:

CREATE TABLE customer (
  id INT PRIMARY KEY,
  name VARCHAR(255),
  email VARCHAR(255)
);

購入履歴テーブル:

CREATE TABLE purchase (
  id INT PRIMARY KEY,
  product_id INT,
  customer_id INT,
  quantity INT,
  purchase_date DATETIME
);

クエリの例:

  • 各商品の購入者数を取得
SELECT
  product.name,
  COUNT(DISTINCT purchase.customer_id) AS customer_count
FROM
  product
LEFT JOIN purchase
ON product.id = purchase.product_id
GROUP BY product.id;
  • 各商品の購入者名と購入日を取得
SELECT
  product.name,
  customer.name,
  purchase.purchase_date
FROM
  product
LEFT JOIN purchase
ON product.id = purchase.product_id
LEFT JOIN customer
ON purchase.customer_id = customer.id;

ログ分析

ログテーブル:

CREATE TABLE log (
  id INT PRIMARY KEY,
  user_id INT,
  ip_address VARCHAR(255),
  action VARCHAR(255),
  timestamp DATETIME
);

クエリの例:

  • 特定のユーザーのログイン履歴を取得
SELECT
  ip_address,
  action,
  timestamp
FROM
  log
WHERE user_id = 1;
  • 特定のIPアドレスからのアクセスが多いアクションを取得
SELECT
  action,
  COUNT(*) AS count
FROM
  log
GROUP BY action
ORDER BY count DESC


結合とサブクエリ以外の方法

CASE 式は、条件に応じて異なる値を返す式です。複雑な条件に基づいてデータを抽出したり、列を結合したりする際に役立ちます。

SELECT
  name,
  CASE
    WHEN salary > 100000 THEN '高給'
    ELSE '低給'
  END AS salary_rank
FROM
  employee;

ウィンドウ関数は、テーブル内の複数の行をまとめて処理できる関数です。累積計や移動平均など、複雑なデータ分析を行う際に役立ちます。

SELECT
  name,
  salary,
  SUM(salary) OVER (
    ORDER BY salary ROWS BETWEEN UNBOUNDED PRECEDING AND CURRENT ROW
  ) AS cumulative_salary
FROM
  employee;

CTE (Common Table Expressions)

CTE は、複雑なクエリを複数の部分に分割して、読みやすく、再利用可能なコードを書くための機能です。

WITH employee_salary AS (
  SELECT
    name,
    salary
  FROM
    employee
)
SELECT
  name,
  salary
FROM
  employee_salary
WHERE salary > 100000;

これらの方法は、結合とサブクエリと組み合わせることで、さらに複雑なデータ操作を行うこともできます。

結合とサブクエリは、MariaDB で複雑なデータ操作を行うための基本的な機能です。しかし、状況によっては他の方法の方が効率的であったり、読みやすいコードを書ける場合があります。

それぞれの方法の特徴を理解し、状況に合わせて適切な方法を選択することが重要です。




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