NPY_ARRAY_F_CONTIGUOUSフラグでNumPy配列のパフォーマンスを向上させる
NumPy C-APIにおけるNPY_ARRAY_F_CONTIGUOUS
概要
Fortran順序でメモリに配置されたNumPy配列を表します。これは、各行の要素が連続してメモリに配置され、その後、次の行の要素が配置されるという形式です。
例:
import numpy as np
a = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6]])
print(a.flags['F_CONTIGUOUS']) # True
メリット
- Fortran順序で配置された配列は、Fortranコンパイラで書かれたコードと効率的に連携できます。
- 行方向にアクセスする処理において、キャッシュヒット率が向上し、処理速度が向上する場合があります。
デメリット
- C言語で書かれたコードと効率的に連携できない場合があります。
使用例
NPY_ARRAY_F_CONTIGUOUS
フラグは、以下の用途で使用できます。
- Fortranコンパイラで書かれたコードとNumPy配列を連携させる場合
- 行方向にアクセスする処理を高速化したい場合
補足
NPY_ARRAY_C_CONTIGUOUS
フラグは、C言語順序でメモリに配置された配列を表します。- これらのフラグは、
PyArray_New
関数などのNumPy C-API関数のflags
引数で指定できます。 - NumPy配列のメモリ配置は、
np.array.reshape
関数などのNumPy関数によって変更される場合があります。
NumPy C-APIにおけるNPY_ARRAY_F_CONTIGUOUSフラグのサンプルコード
サンプルコード1:Fortranコンパイラで書かれたコードとNumPy配列を連携させる
#include <stdio.h>
#include <numpy/arrayobject.h>
void fortran_sum(int n, double *x, double *y, double *z) {
for (int i = 0; i < n; i++) {
z[i] = x[i] + y[i];
}
}
int main() {
// NumPyで2次元配列を作成
int n = 3;
npy_intp dims[] = {n, n};
PyArrayObject *a = (PyArrayObject *)PyArray_New(2, dims, NPY_FLOAT64, NPY_F_CONTIGUOUS, NULL);
PyArrayObject *b = (PyArrayObject *)PyArray_New(2, dims, NPY_FLOAT64, NPY_F_CONTIGUOUS, NULL);
PyArrayObject *c = (PyArrayObject *)PyArray_New(2, dims, NPY_FLOAT64, NPY_F_CONTIGUOUS, NULL);
// 配列に値を設定
for (int i = 0; i < n; i++) {
for (int j = 0; j < n; j++) {
*((double *)PyArray_GETPTR2(a, i, j)) = i + j;
*((double *)PyArray_GETPTR2(b, i, j)) = i * j;
}
}
// Fortranコンパイラで書かれたコードを呼び出す
fortran_sum(n, (double *)PyArray_DATA(a), (double *)PyArray_DATA(b), (double *)PyArray_DATA(c));
// 結果を出力
for (int i = 0; i < n; i++) {
for (int j = 0; j < n; j++) {
printf("%f ", *((double *)PyArray_GETPTR2(c, i, j)));
}
printf("\n");
}
// NumPy配列を解放
Py_DECREF(a);
Py_DECREF(b);
Py_DECREF(c);
return 0;
}
サンプルコード2:行方向にアクセスする処理を高速化
import numpy as np
def sum_rows(a):
"""
NumPy配列の各行の要素の合計を計算
Args:
a: NumPy配列
Returns:
NumPy配列
"""
# Fortran順序でメモリに配置されたNumPy配列を作成
b = np.empty_like(a, order='F')
# 行方向にアクセス
for i in range(a.shape[0]):
b[i] = np.sum(a[i])
return b
a = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6]])
# 行方向にアクセスする処理
b = sum_rows(a)
print(b) # [6 15]
このコードは、NumPy配列の各行の要素の合計を計算する関数sum_rows
を実装しています。NPY_ARRAY_F_CONTIGUOUS
フラグによってFortran順序でメモリに配置されたNumPy配列を使用することで、行方向にアクセスする処理を高速化することができます。
NumPy C-APIにおけるNPY_ARRAY_F_CONTIGUOUSフラグの代替方法
np.asfortranarray関数
import numpy as np
a = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6]])
# Fortran順序でメモリに配置された新しいNumPy配列を作成
b = np.asfortranarray(a)
print(b)
# [[1 2 3]
# [4 5 6]]
np.copyto関数
NumPy配列をFortran順序でメモリに配置された別のNumPy配列にコピーすることができます。
import numpy as np
a = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6]])
# Fortran順序でメモリに配置された別のNumPy配列にコピー
b = np.empty_like(a, order='F')
np.copyto(b, a, casting='unsafe')
print(b)
# [[1 2 3]
# [4 5 6]]
C言語で手動でメモリを割り当て、Fortran順序で要素を配置することができます。
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
int main() {
// 2次元配列のサイズ
int n = 3;
// Fortran順序でメモリを割り当てる
double *a = (double *)malloc(n * n * sizeof(double));
// 配列に値を設定
for (int i = 0; i < n; i++) {
for (int j = 0; j < n; j++) {
a[i * n + j] = i + j;
}
}
// ...
// メモリを解放
free(a);
return 0;
}
これらの方法は、それぞれ異なる利点と欠点があります。
np.asfortranarray
関数とnp.copyto
関数は、コードを簡単に記述できますが、メモリのコピーが発生するため、処理速度が遅くなる場合があります。- C言語で手動でメモリを割り当てる方法は、処理速度が速くなりますが、コード記述が複雑になり、メモリ管理に注意する必要があります。
具体的な方法を選択する際には、パフォーマンスとコード記述の簡便性のバランスを考慮する必要があります。
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