multiprocessing.Connection の基本的な使い方

2024-04-12

Pythonのマルチプロセッシングにおけるmultiprocessing.connection.Connection

用途

multiprocessing.Connectionは、以下のような状況で役立ちます。

  • 異なるプロセス間でデータを共有したい場合
  • 異なるプロセス間でタスクを同期させたい場合
  • 異なるプロセス間でイベントを通知したい場合

基本的な使い方

以下のコードは、multiprocessing.Connectionを使って、親プロセスと子プロセス間でデータをやり取りする例です。

from multiprocessing import Process, Pipe

def child_process(pipe):
    # 親プロセスから送られてきたデータを受け取る
    data = pipe.recv()
    print(f"子プロセスが受け取ったデータ: {data}")

    # 子プロセスから親プロセスにデータを送信する
    pipe.send("こんにちは、親プロセス!")

if __name__ == "__main__":
    # 親プロセスと子プロセスの間のパイプを作成する
    parent_pipe, child_pipe = Pipe()

    # 子プロセスを作成して実行する
    child = Process(target=child_process, args=(child_pipe,))
    child.start()

    # 親プロセスから子プロセスにデータを送信する
    parent_pipe.send("こんにちは、子プロセス!")

    # 子プロセスからの応答を待つ
    data = parent_pipe.recv()
    print(f"親プロセスが受け取ったデータ: {data}")

    # 子プロセスを終了させる
    child.join()

このコードでは、まずPipe()関数を使って、親プロセスと子プロセスの間のパイプを作成します。次に、Process()関数を使って子プロセスを作成し、child_process()関数をそのターゲットとして指定します。

child_process()関数では、まずpipe.recv()を使って親プロセスから送られてきたデータを受け取ります。次に、受け取ったデータを出力します。その後、pipe.send()を使って、子プロセスから親プロセスにデータを送信します。

if __name__ == "__main__":ブロックでは、親プロセスが実行するコードが記述されます。まず、Pipe()関数を使って、親プロセスと子プロセスの間のパイプを作成します。次に、Process()関数を使って子プロセスを作成し、child_process()関数をそのターゲットとして指定します。

その後、親プロセスはparent_pipe.send()を使って子プロセスにデータを送信します。次に、親プロセスはparent_pipe.recv()を使って子プロセスからの応答を待ちます。最後に、親プロセスは子プロセスを終了させます。

その他の機能

multiprocessing.Connectionは、双方向通信以外にも、以下のような機能を提供しています。

  • シリアライズ可能なデータの送受信: Pickleモジュールを使って、任意のPythonオブジェクトをシリアライズして送信し、受信側でデシリアライズすることができます。
  • 例外処理: 送信側で例外が発生した場合、受信側でConnection.recv()を呼び出すと例外が発生します。
  • キューイング: Connection.send()Connection.recv()はキューイングされます。つまり、送信側がまだ受信の準備ができていない場合でも、データはキューに格納され、受信側が準備ができた時点で送信されます。

multiprocessing.Connectionは、Pythonのマルチプロセッシングにおける強力な通信ツールです。異なるプロセス間でデータを共有したり、タスクを同期させたり、イベントを通知したりする必要がある場合は、multiprocessing.Connectionの使用を検討してください。



Pythonにおけるmultiprocessing.Connectionのサンプルコード

親プロセスと子プロセス間でデータをやり取りする

この例は、すでに冒頭で紹介したので、ここでは省略します。

複数のワーカプロセスでタスクを実行する

この例では、multiprocessing.Connectionを使って、複数のワーカプロセスでタスクを実行する方法を示します。

from multiprocessing import Pool, Process, Pipe

def worker_process(pipe, tasks):
    for task in tasks:
        # タスクを実行する
        result = task()

        # 結果を親プロセスに送信する
        pipe.send(result)

if __name__ == "__main__":
    # タスクを定義する
    def task1():
        return 1

    def task2():
        return 2

    def task3():
        return 3

    # タスクリストを作成する
    tasks = [task1, task2, task3]

    # 親プロセスとワーカプロセスの間のパイプを作成する
    parent_pipe, worker_pipe = Pipe()

    # ワーカプロセスを作成して実行する
    worker = Process(target=worker_process, args=(worker_pipe, tasks))
    worker.start()

    # 親プロセスが受け取る結果のリストを作成する
    results = []

    # ワーカプロセスから結果を受け取る
    for _ in range(len(tasks)):
        result = parent_pipe.recv()
        results.append(result)

    # ワーカプロセスを終了させる
    worker.join()

    # 結果を出力する
    print(f"結果: {results}")

このコードでは、まずtask1(), task2(), task3()という3つのタスクを定義します。次に、これらのタスクをリストに格納します。

その後、親プロセスとワーカプロセスの間のパイプを作成し、ワーカプロセスを作成して実行します。

ワーカプロセスは、worker_process()関数内で実行されます。この関数は、まずタスクリスト内のタスクを順番に実行します。次に、各タスクの実行結果を親プロセスに送信します。

親プロセスは、if __name__ == "__main__":ブロック内で実行されます。このブロックでは、まずワーカプロセスから受け取る結果のリストを作成します。次に、ワーカプロセスから結果を受け取り、リストに格納します。最後に、リストに格納された結果を出力します。

イベントを介してプロセス間で同期する

この例では、multiprocessing.Connectionを使って、イベントを介してプロセス間で同期する方法を示します。

from multiprocessing import Process, Event

def child_process(event):
    # イベントを待つ
    event.wait()

    # イベント発生後に処理を実行する
    print("イベントが発生しました!")

if __name__ == "__main__":
    # イベントを作成する
    event = Event()

    # 子プロセスを作成して実行する
    child = Process(target=child_process, args=(event,))
    child.start()

    # しばらく待ってからイベントをセットする
    time.sleep(2)
    event.set()

    # 子プロセスを終了させる
    child.join()

このコードでは、まずイベントを作成します。次に、child_process()という子プロセスを作成し、イベントをこのプロセスの引数として渡します。

child_process()関数では、まずイベントを待ちます。イベントが発生したら、print("イベントが発生しました!")という処理を実行します。

if __name__ == "__main__":ブロックでは、親プロセスが実行されます。このブロックでは、まずイベントを作成します。次に、子プロセスを作成して実行します。その後、しばらく待ってからイベントをセットします。最後に、子プロセスを終了させます。

イベントがセットされると、child_process()関数はイベントを待ってから処理を実行します。

キューを使用してタスクを割り当てる

この例では、multiprocessing.Connectionとキューを使用して、タスクをワーカプロセスに割り当てる方法を示します。

from multiprocessing import Pool, Process, Queue

def worker_process(queue):
    while True:
        # キューからタスクを取り出す
        try:
            task = queue.get(block=True)
        except Queue.Empty:
            # キューが空になったらループを抜ける
            break

        # タスクを実行する
        result = task()



Pythonマルチプロセッシングにおけるmultiprocessing.Connectionの代替方法

共有メモリは、複数のプロセスが同じメモリ領域にアクセスできるようにする一種のメモリ管理手法です。multiprocessing.Managerモジュールを使用して共有メモリオブジェクトを作成し、複数のプロセス間で共有することができます。

長所:

  • multiprocessing.Connectionよりも高速である場合がある
  • 大量のデータをやり取りするのに適している

短所:

  • メモリリークや競合状態が発生する可能性がある

メッセージキューは、プロセス間でメッセージを送受信するためのメッセージングシステムです。multiprocessing.Queueモジュールを使用してメッセージキューを作成し、複数のプロセス間でメッセージを送受信することができます。

長所:

  • 異なるオペレーティングシステム間でプロセス間通信を行うのに適している

短所:

  • 順序付けられたメッセージ配信を保証しない

RPC(Remote Procedure Call)

RPCは、あるプロセスが別のプロセスにあるプロシージャを呼び出すことができるメカニズムです。multiprocessing.spawn()関数を使用してRPCを実行することができます。

長所:

  • オブジェクト指向プログラミングに自然に適合する
  • 複雑な操作をプロセス間で呼び出すのに適している

短所:

  • multiprocessing.Connectionよりもオーバーヘッドが大きい場合がある
  • セキュリティ上のリスクがある

どの方法を選択すべきかは、具体的な状況によって異なります。以下の表は、それぞれの方法の長所と短所をまとめたものです。

方法長所短所
multiprocessing.Connectionシンプル、高速キューイングや同期機能が限られている
共有メモリ高速、大量データ転送に適している複雑、メモリリークや競合状態のリスクがある
メッセージキューシンプル、異なるOS間通信に適している低速、順序付けられたメッセージ配信を保証しない
RPCオブジェクト指向プログラミングに適しているオーバーヘッドが大きい、セキュリティ上のリスクがある

その他の考慮事項

  • 使用するPythonのバージョン: 一部の方法は、新しいバージョンのPythonでのみ利用可能です。
  • 必要な機能: 特定の機能が必要な場合は、その機能を提供するメソッドを選択する必要があります。
  • パフォーマンス: アプリケーションのパフォーマンス要件を考慮する必要があります。

multiprocessing.Connectionは、Pythonでプロセス間通信を行うための汎用的なツールですが、状況によっては他の方法の方が適している場合があります。上記の情報に基づいて、アプリケーションに最適な方法を選択してください。




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