【初心者向け】 PyTorchで同じ乱数列を生成する方法: torch.Generator.set_state() の使い方

2024-04-09

PyTorchの乱数生成におけるtorch.Generator.set_state()

torch.Generator.set_state()は、このGeneratorの状態を復元するために使用されます。

Generatorは、乱数生成アルゴリズムの状態を保持するオブジェクトです。

PyTorchでは、CPUとGPUそれぞれにデフォルトのGeneratorが用意されています。

さらに、torch.Generator()を呼び出すことで、新しいGeneratorを作成することができます。

torch.Generator.set_state()は、指定された状態に基づいて、Generatorの状態を復元します。

この関数は、以下の2つの目的で使用されます。

乱数生成の再現性

Generatorの状態を保存しておけば、後から同じ状態を復元することで、同じ乱数列を生成することができます。

これは、デバッグや、学習済みモデルの推論を行う際に、再現性を確保するために重要です。

異なるデバイス間での乱数生成の同期

CPUとGPUなど、異なるデバイス間で同じ乱数列を生成したい場合、Generatorの状態を共有することで実現できます。

torch.Generator.set_state()は以下の引数を受け取ります。

  • generator: 状態を設定したいGeneratorオブジェクト
  • state: 復元したい状態を表すtorch.ByteTensor

stateは、torch.Generator.get_state()によって取得することができます。

# CPUのデフォルトGeneratorの状態を取得
cpu_state = torch.get_default_generator().get_state()

# GPUのデフォルトGeneratorにCPUの状態を設定
gpu_generator = torch.cuda.default_generator()
gpu_generator.set_state(cpu_state)

まとめ

torch.Generator.set_state()は、PyTorchにおける乱数生成の再現性と効率性を確保するために重要な役割を果たします。

この関数を理解することで、より高度なランダム化処理を行うことができます。



PyTorchのtorch.Generator.set_state()を使ったサンプルコード

乱数生成の再現性

import torch

# 乱数生成のシードを設定
torch.manual_seed(1234)

# デフォルトのGeneratorを使って乱数を生成
default_generator = torch.get_default_generator()
rand1 = default_generator.uniform_()

# Generatorの状態を保存
state = default_generator.get_state()

# 新しいGeneratorを作成
new_generator = torch.Generator()

# 保存した状態を新しいGeneratorに設定
new_generator.set_state(state)

# 新しいGeneratorを使って乱数を生成
rand2 = new_generator.uniform_()

# rand1とrand2は同じ値になる
print(rand1, rand2)

異なるデバイス間での乱数生成の同期

import torch

# CPUとGPUのデフォルトGeneratorを取得
cpu_generator = torch.get_default_generator()
gpu_generator = torch.cuda.default_generator()

# CPUのGeneratorの状態を取得
cpu_state = cpu_generator.get_state()

# GPUのGeneratorにCPUの状態を設定
gpu_generator.set_state(cpu_state)

# CPUとGPUで乱数を生成
cpu_rand = cpu_generator.uniform_()
gpu_rand = gpu_generator.uniform_()

# cpu_randとgpu_randは同じ値になる
print(cpu_rand, gpu_rand)

複数のGeneratorを同期させる

import torch

# 3つのGeneratorを作成
generator1 = torch.Generator()
generator2 = torch.Generator()
generator3 = torch.Generator()

# 最初のGeneratorの状態を取得
state = generator1.get_state()

# 他の2つのGeneratorに同じ状態を設定
generator2.set_state(state)
generator3.set_state(state)

# 3つのGeneratorを使って乱数を生成
rand1 = generator1.uniform_()
rand2 = generator2.uniform_()
rand3 = generator3.uniform_()

# rand1, rand2, rand3は同じ値になる
print(rand1, rand2, rand3)
  • 特定の範囲の乱数を生成する
  • 正規分布に従う乱数を生成する
  • 多次元配列の乱数を生成する

これらのサンプルコードは、PyTorchのドキュメントやチュートリアルでを見つけることができます。



PyTorchのtorch.Generator.set_state()以外の方法

乱数生成シードの設定

torch.manual_seed()を使うことで、乱数生成のシードを設定することができます。

シードを同じ値に設定すると、同じ乱数列が生成されます。

# 乱数生成のシードを設定
torch.manual_seed(1234)

# 乱数を生成
rand1 = torch.rand()

# シードを同じ値に設定して、同じ乱数を生成
torch.manual_seed(1234)
rand2 = torch.rand()

# rand1とrand2は同じ値になる
print(rand1, rand2)

torch.Tensor.random_()を使う

torch.Tensorオブジェクトには、random_()というメソッドがあります。

このメソッドを使うことで、そのTensorオブジェクトに乱数を生成することができます。

# テンサーを作成
tensor = torch.randn(3, 3)

# テンサーに乱数を生成
tensor.random_()

# テンサーの内容を確認
print(tensor)

torch.distributionsモジュールには、様々な確率分布に従う乱数を生成する関数などが用意されています。

from torch.distributions import normal

# 正規分布に従う乱数を生成
distribution = normal.Normal(loc=0, scale=1)
rand = distribution.sample()

# 乱数を確認
print(rand)

その他の方法

上記以外にも、NumPyやC++などを使って乱数を生成し、PyTorchに取り込むこともできます。

これらの方法は、それぞれ異なる利点と欠点があります。

使用方法は、目的や状況によって異なります。

まとめ

torch.Generator.set_state()は、PyTorchにおける乱数生成を制御する便利な方法の一つです。

しかし、他にも様々な方法があります。

それぞれの方法の利点と欠点を理解し、目的に合った方法を選択することが重要です。




パフォーマンス向上:PyTorch Dataset と DataLoader でデータローディングを最適化する

Datasetは、データセットを表す抽象クラスです。データセットは、画像、テキスト、音声など、機械学習モデルの学習に使用できるデータのコレクションです。Datasetクラスは、データセットを読み込み、処理するための基本的なインターフェースを提供します。



PyTorchの torch.linalg.matrix_norm 関数:行列の大きさを計算して機械学習モデルを強化する

torch. linalg. matrix_norm は、PyTorch の Linear Algebra モジュールで提供される重要な関数であり、行列のノルム (大きさ) を計算するために使用されます。ノルムは、行列の要素の絶対値の総和または最大値に基づいて計算される数値であり、行列のスケール、行列間の距離、行列の安定性などを評価する際に役立ちます。


PyTorchのLinear Algebraにおけるtorch.linalg.lu_solveのチュートリアル

torch. linalg. lu_solveは、PyTorchのLinear AlgebraモジュールにおけるLU分解を用いた線形方程式解法のための関数です。LU分解によって行列をLとUという下三角行列と上三角行列に分解することで、効率的に線形方程式を解くことができます。


PyTorchで逆行列と行列式を効率的に計算: inv_ex()の使い方

torch. linalg. inv_ex()は、入力された行列の逆行列と行列式を同時に計算します。これは、逆行列と行列式を個別に計算するよりも効率的です。input (Tensor): 逆行列と行列式を計算したい行列**compute_svd (bool


PyTorch Linear Algebra: torch.linalg.vander() の徹底解説

torch. linalg. vander は、Vandermonde行列を生成する関数です。Vandermonde行列は、ベクトルの各要素のべき乗を列ベクトルとして並べた行列です。この関数は、PyTorchの線形代数ライブラリ torch



torch.Tensor.sign() のサンプルコード

この関数は、以下の式で表されます。ここで、input は、符号を求めたい入力テンソルです。torch. sign(input. data) は、入力テンソルのデータ型に対応するNumPyのsign関数で計算されます。例以下のコードは、torch


Megatron-Turing NLGとDeepSpeed:FSDPを拡張するツール

Fully Sharded Data Parallel (FSDP) とはFSDP は、大規模なモデルのトレーニングを高速化するために PyTorch で導入されたデータ並列化手法です。従来のデータ並列化手法とは異なり、FSDP はモデルのパラメータ、勾配、およびオプティマイザの状態をデータ並列ワーカ間でシャード化します。これにより、大規模なモデルでもメモリ使用量を削減し、トレーニングのパフォーマンスを向上させることができます。


PyTorch Tensor の indices 属性とは?

形状: インデックス属性の形状は、元のテンソルの形状と同じです。値: 各要素は、元のテンソルの対応する要素のインデックスを表します。この例では、x テンソルの各要素のインデックスが indices テンソルに格納されています。テンソルの要素の順序を理解する


PyTorch Tensor の gcd メソッド:テンソルの要素間の最大公約数を計算する

torch. Tensor. gcd は、PyTorch テンソルの要素間の最大公約数 (GCD) を計算するメソッドです。これは、2 つ以上のテンソルの要素を比較し、すべての要素で共通する最大の整数を計算します。数学的な定義2 つの整数 a と b の最大公約数 (GCD) は、a と b を割り切るすべての整数のうち最大のものです。数学的には、次のように定義されます。


PyTorch Storage と UntypedStorage.data_ptr() の代替方法

Storageは、テンソルのデータを格納する低レベルなデータ構造です。テンソルは1つ以上のStorageを参照し、そのデータを元に計算を行います。UntypedStorageは、型情報を持たないStorageです。つまり、どのようなデータ型でも格納できます。