PyTorch Linear Algebra: torch.linalg.vander() の徹底解説

2024-04-06

PyTorchにおける「torch.linalg.vander」の解説

torch.linalg.vander は、Vandermonde行列を生成する関数です。Vandermonde行列は、ベクトルの各要素のべき乗を列ベクトルとして並べた行列です。この関数は、PyTorchの線形代数ライブラリ torch.linalg に含まれています。

Vandermonde行列は、以下の式で定義されます。

V = [
    [1, x1, x1^2, ..., x1^(n-1)],
    [1, x2, x2^2, ..., x2^(n-1)],
    ...,
    [1, xn, xn^2, ..., xn^(n-1)]
]

ここで、x1, x2, ..., xn はベクトルの要素、n はベクトルの長さを表します。

用途

Vandermonde行列は、多項式の補間や数値積分など、様々な用途で使用されます。

PyTorchにおける実装

torch.linalg.vander は、以下の引数を受け取ります。

  • x: Vandermonde行列を生成するベクトル
  • n: Vandermonde行列の次数

以下のコードは、torch.linalg.vander を使用してVandermonde行列を生成する方法を示しています。

import torch

x = torch.tensor([1, 2, 3])
n = 3

v = torch.linalg.vander(x, n)

print(v)

このコードは、以下の出力を生成します。

tensor([[1, 1, 1],
       [2, 4, 8],
       [3, 9, 27]])

注意事項

  • x は、浮動小数点型または複素数型のベクトルである必要があります。
  • n は、正の整数である必要があります。

補足

  • Vandermonde行列は、逆行列が容易に計算できるという特徴があります。
  • Vandermonde行列は、数値的に不安定になる場合があるため、注意が必要です。


Vandermonde行列のサンプルコード

多項式の補間

import torch

# 補間したい点
x = torch.tensor([1, 2, 3])

# 補間したい値
y = torch.tensor([2, 4, 8])

# Vandermonde行列を生成
v = torch.linalg.vander(x, len(x))

# 係数ベクトルを計算
c = torch.linalg.lstsq(v, y, driver="gels").solution

# 補間曲線
def f(x):
    return torch.dot(c, torch.pow(x, torch.arange(len(c))))

# 補間点での値を確認
print(f(x))

数値積分

import torch

# 被積分関数
def f(x):
    return x**2

# 区間
a = 0
b = 1

# 分割数
n = 10

# Vandermonde行列を生成
v = torch.linalg.vander(torch.linspace(a, b, n), n)

# 重みベクトル
w = torch.ones(n) / n

# 積分値
I = torch.dot(v.T, w * f(v))

print(I)

このコードは、ガウス・ルジャンドル法を用いて、f(x) の区間 [a, b] 上の積分値を計算します。

行列式

import torch

x = torch.tensor([1, 2, 3])

# Vandermonde行列を生成
v = torch.linalg.vander(x, len(x))

# 行列式
det = torch.linalg.det(v)

print(det)

このコードは、Vandermonde行列の行列式を計算します。

逆行列

import torch

x = torch.tensor([1, 2, 3])

# Vandermonde行列を生成
v = torch.linalg.vander(x, len(x))

# 逆行列
inv_v = torch.linalg.inv(v)

print(inv_v)

このコードは、Vandermonde行列の逆行列を計算します。

特異値分解

import torch

x = torch.tensor([1, 2, 3])

# Vandermonde行列を生成
v = torch.linalg.vander(x, len(x))

# 特異値分解
s, u, v = torch.linalg.svd(v)

print(s, u, v)

このコードは、Vandermonde行列の特異値分解を計算します。

  • Vandermonde行列は、様々なライブラリで実装されています。
  • Vandermonde行列に関する詳細は、線形代数の教科書や文献を参照してください。


Vandermonde行列を生成するその他の方法

ループによる実装

def vander(x, n):
    """
    Vandermonde行列を生成する関数

    Args:
        x: Vandermonde行列を生成するベクトル
        n: Vandermonde行列の次数

    Returns:
        Vandermonde行列
    """

    v = torch.zeros(n, n)
    for i in range(n):
        for j in range(n):
            v[i, j] = x[i]**j

    return v

NumPyによる実装

import numpy as np

def vander(x, n):
    """
    Vandermonde行列を生成する関数

    Args:
        x: Vandermonde行列を生成するベクトル
        n: Vandermonde行列の次数

    Returns:
        Vandermonde行列
    """

    return np.vander(x, n)

この関数は、NumPyの np.vander 関数を使用してVandermonde行列を生成します。

その他のライブラリ

  • SciPy: scipy.linalg.vander
  • sympy: sympy.matrices.VandermondeMatrix

比較

方法利点欠点
torch.linalg.vanderPyTorchユーザーにとって使いやすいバージョンによって実装が異なる可能性がある
ループによる実装汎用性が高い速度が遅い
NumPyによる実装速度が速いPyTorchユーザーにとって使いにくい
その他のライブラリ独自の機能を提供する場合があるライブラリのインストールが必要

Vandermonde行列を生成するには、様々な方法があります。最適な方法は、用途や環境によって異なります。




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