PyTorch CUDA synchronize の使い方: GPUとCPU間のデータ転送を効率的に制御

2024-04-02

PyTorchのCUDAにおけるtorch.cuda.synchronize()について

このチュートリアルでは、以下の内容を解説します。

  • torch.cuda.synchronize()の役割

torch.cuda.synchronize()の役割

PyTorchでは、GPU上で実行されるCUDAカーネルは非同期的に実行されます。つまり、CPUスレッドは、すべてのカーネルが完了するのを待たずに次のタスクに進むことができます。これは、パフォーマンスを向上させるために有効ですが、タイミングの問題を引き起こす可能性もあります。

例えば、GPU上で計算された結果をCPUで使用したい場合、すべてのカーネルが完了する前にCPUスレッドが実行されると、結果がまだ準備できていない可能性があります。torch.cuda.synchronize()は、この問題を解決するために使用されます。

torch.cuda.synchronize()は、以下の方法で使用できます。

torch.cuda.synchronize()

この関数は、すべてのCUDAカーネルが完了するまでCPUスレッドをブロックします。

以下は、torch.cuda.synchronize()の使用例です。

# GPU上で計算を行う
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
y = torch.mm(x, x)

# すべてのカーネルが完了するまで待つ
torch.cuda.synchronize()

# 結果をCPUで使用
z = y.cpu().numpy()

この例では、torch.mm()を使用して2つの1000x1000行列の積を計算します。torch.cuda.synchronize()を使用して、すべてのカーネルが完了してから、結果をCPUに転送します。

torch.cuda.synchronize()は、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。すべてのカーネルが完了するまでCPUスレッドをブロックするため、プログラムの実行速度が遅くなる可能性があります。

torch.cuda.synchronize()は、必要最小限の場合にのみ使用することをお勧めします。



PyTorch CUDA synchronize サンプルコード

GPU 上の計算結果を CPU で使用

# GPU 上で計算を行う
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
y = torch.mm(x, x)

# すべてのカーネルが完了するまで待つ
torch.cuda.synchronize()

# 結果を CPU で使用
z = y.cpu().numpy()

GPU と CPU 間のデータ転送を同期

# GPU 上のデータ
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")

# CPU に転送
y = x.cpu()

# 転送が完了するまで待つ
torch.cuda.synchronize()

# CPU 上でデータを使用
z = y.numpy()

ストリームを使用して GPU カーネルの実行を制御

# ストリームを作成
stream = torch.cuda.Stream()

# ストリームを使用してカーネルを起動
with torch.cuda.stream(stream):
    x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
    y = torch.mm(x, x)

# ストリームの完了を待つ
stream.synchronize()

# 結果を CPU で使用
z = y.cpu().numpy()

イベントを使用して GPU カーネルの実行を監視

# イベントを作成
event = torch.cuda.Event()

# イベントを使用してカーネルを起動
with torch.cuda.device(x.device):
    x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
    y = torch.mm(x, x)
    event.record()

# イベントの完了を待つ
event.wait()

# 結果を CPU で使用
z = y.cpu().numpy()

ベンチマーク

# GPU 上の計算時間を測定

# ウォームアップ
for _ in range(10):
    x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
    y = torch.mm(x, x)

# 開始時刻を記録
start = time.time()

# 計算を実行
for _ in range(100):
    x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
    y = torch.mm(x, x)

# 終了時刻を記録
end = time.time()

# 計算時間を表示
print(f"計算時間: {end - start}")


PyTorch CUDA synchronize の代替方法

しかし、torch.cuda.synchronize() は、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。すべてのカーネルが完了するまで CPU スレッドをブロックするため、プログラムの実行速度が遅くなる可能性があります。

torch.cuda.synchronize() の代替方法として、以下の方法が考えられます。

イベントを使用する

PyTorch では、torch.cuda.Event クラスを使用して、GPU カーネルの実行を監視することができます。イベントを使用して、カーネルが完了したタイミングで CPU スレッドを再開することができます。

# イベントを作成
event = torch.cuda.Event()

# イベントを使用してカーネルを起動
with torch.cuda.device(x.device):
    x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
    y = torch.mm(x, x)
    event.record()

# イベントの完了を待つ
event.wait()

# 結果を CPU で使用
z = y.cpu().numpy()

ストリームを使用する

PyTorch では、torch.cuda.Stream クラスを使用して、GPU カーネルの実行を制御することができます。ストリームを使用して、複数のカーネルを並行して実行したり、特定の順序で実行することができます。

# ストリームを作成
stream = torch.cuda.Stream()

# ストリームを使用してカーネルを起動
with torch.cuda.stream(stream):
    x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")
    y = torch.mm(x, x)

# ストリームの完了を待つ
stream.synchronize()

# 結果を CPU で使用
z = y.cpu().numpy()

非同期転送を使用する

PyTorch では、torch.cuda.memcpy_async() 関数を使用して、GPU と CPU 間のデータを非同期的に転送することができます。この方法を使用すると、CPU スレッドをブロックせずにデータを転送することができます。

# GPU 上のデータ
x = torch.randn(1000, 1000, device="cuda")

# CPU に転送
y = torch.empty_like(x, device="cpu")
torch.cuda.memcpy_async(y, x)

# 転送が完了するまで待つ
torch.cuda.synchronize()

# CPU 上でデータを使用
z = y.numpy()

これらの方法は、torch.cuda.synchronize() の代替方法として使用することができます。これらの方法を使用することで、パフォーマンスを向上させることができます。




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