PyTorch Miscellaneous: 隠れた機能 torch.overrides.wrap_torch_function()

2024-04-02

PyTorch Miscellaneous: torch.overrides.wrap_torch_function()解説

PyTorchは、機械学習アプリケーション開発のためのオープンソースライブラリです。torch.overrides.wrap_torch_function() は、PyTorchの「Miscellaneous」カテゴリに属する関数で、既存のPyTorch関数をオーバーライドするための機能を提供します。

概要

torch.overrides.wrap_torch_function() は、以下の目的で使用されます。

  • 既存のPyTorch関数の動作を変更
  • 新しい機能を追加
  • 既存の関数の互換性を維持

仕組み

torch.overrides.wrap_torch_function() は、デコレータとして使用されます。デコレータで装飾された関数は、元の関数の名前と引数を持つ新しい関数として登録されます。新しい関数は、元の関数と同じ引数を受け取り、同じ出力を返します。

以下の例は、torch.add() 関数をオーバーライドして、2つの数値の合計に1を加算する例です。

from torch.overrides import wrap_torch_function

@wrap_torch_function(torch.add)
def my_add(a, b):
  return torch.add(a, b) + 1

# my_add関数はtorch.add関数をオーバーライド
result = my_add(1, 2)

# 結果: 4
print(result)

注意点

  • torch.overrides.wrap_torch_function() を使用するには、PyTorch 1.7以降が必要です。
  • デコレータで装飾された関数は、元の関数の引数と出力を完全に一致させる必要があります。
  • デコレータで装飾された関数は、元の関数のドキュメントを引き継ぎます。

補足

torch.overrides.wrap_torch_function() は、高度な機能です。PyTorchの仕組みを理解していない場合は、使用を避けた方がよいでしょう。



いろいろなサンプルコード

テンソルの要素に1を加算する

from torch.overrides import wrap_torch_function

@wrap_torch_function(torch.add)
def my_add(a, b):
  return torch.add(a, b) + 1

# テンソルの要素に1を加算
x = torch.tensor([1, 2, 3])
y = my_add(x, 1)

# 結果: [2 3 4]
print(y)

特定の条件でテンソルの値を変更する

from torch.overrides import wrap_torch_function

@wrap_torch_function(torch.add)
def my_add(a, b):
  if a > 0:
    return torch.add(a, b)
  else:
    return a

# 特定の条件でテンソルの値を変更
x = torch.tensor([-1, 1, 3])
y = my_add(x, 1)

# 結果: [-1 2 4]
print(y)

新しい関数を定義する

from torch.overrides import wrap_torch_function

@wrap_torch_function(torch.add)
def my_add(a, b):
  return torch.add(a, b) + 1

# 新しい関数を定義
def my_mul(a, b):
  return torch.mul(a, b) + 1

# 新しい関数を呼び出す
x = torch.tensor([1, 2, 3])
y = my_mul(x, 2)

# 結果: [3 5 7]
print(y)

既存の関数の互換性を維持する

from torch.overrides import wrap_torch_function

# 既存の関数の互換性を維持
@wrap_torch_function(torch.add)
def my_add(a, b):
  if isinstance(a, torch.Tensor) and isinstance(b, torch.Tensor):
    return torch.add(a, b)
  else:
    return a + b

# 互換性を維持した計算
x = torch.tensor([1, 2, 3])
y = my_add(x, 1)

# 結果: [2 3 4]
print(y)

z = my_add(1, 2)

# 結果: 3
print(z)


torch.overrides.wrap_torch_function() 以外の方法

サブクラス化

class MyAdd(torch.nn.Module):
  def __init__(self):
    super().__init__()

  def forward(self, a, b):
    return torch.add(a, b) + 1

# サブクラス化によるオーバーライド
model = MyAdd()
result = model(torch.tensor([1, 2, 3]), 1)

# 結果: [2 3 4]
print(result)

モンクラッチ

def my_add(a, b):
  return torch.add(a, b) + 1

# モンクラッチによるオーバーライド
torch.add = my_add

# オーバーライドされた関数を呼び出す
result = torch.add(torch.tensor([1, 2, 3]), 1)

# 結果: [2 3 4]
print(result)

メタプログラミング

from torch.jit import ScriptModule

class MyAdd(ScriptModule):
  @torch.jit.script_method
  def forward(self, a, b):
    return torch.add(a, b) + 1

# メタプログラミングによるオーバーライド
model = MyAdd()
result = model(torch.tensor([1, 2, 3]), 1)

# 結果: [2 3 4]
print(result)
  • サブクラス化: 既存の関数の動作を大きく変更したい場合
  • モンクラッチ: 既存の関数の動作を少しだけ変更したい場合
  • メタプログラミング: 複雑な変更を行いたい場合

注意事項

  • サブクラス化とモンクラッチは、PyTorchのバージョンによって動作が異なる場合があります。
  • メタプログラミングは、高度な技術です。PyTorchの仕組みを理解していない場合は、使用を避けた方がよいでしょう。



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