QApplication::startDragTime以外にもある!ドラッグ操作開始までの待ち時間を調整する方法
Qt WidgetsにおけるQApplication::startDragTime解説
QApplication::startDragTimeは、Qt Widgetsアプリケーションにおけるドラッグ操作開始までの待ち時間を設定するプロパティです。デフォルト値は0ミリ秒で、ドラッグ操作開始時にマウスボタンが押された瞬間からドラッグが開始されます。この値を調整することで、ユーザーがドラッグ操作を開始する前にマウスボタンを押し続ける必要がある時間を設定できます。
設定方法
QApplication::startDragTimeを設定するには、以下の2つの方法があります。
- コードによる設定
QApplication::setStartDragTime(milliseconds);
milliseconds
には、ドラッグ操作開始までの待ち時間をミリ秒単位で指定します。
- Qt Designerによる設定
Qt Designerでアプリケーションをデザインする場合、以下の手順でQApplication::startDragTimeを設定できます。
- ウィジェットツリーから
QApplication
オブジェクトを選択します。 - プロパティエディタを開きます。
startDragTime
プロパティを見つけ、目的の値を設定します。
影響
QApplication::startDragTimeの値を変更すると、アプリケーションのドラッグ操作開始タイミングに影響を与えます。
- 値を0に設定 マウスボタンを押した瞬間からドラッグが開始されます。
- 値を0より大きい値に設定
マウスボタンを押し続けて
startDragTime
で設定された時間経過後、ドラッグが開始されます。
使用例
- 誤操作を防ぐために、ドラッグ操作開始までの待ち時間を長く設定する。
- ドラッグ操作とクリック操作を区別するために、ドラッグ操作開始までの待ち時間を短く設定する。
注意事項
- QApplication::startDragTimeは、Qt Widgetsアプリケーションでのみ使用できます。
- ドラッグ操作開始までの待ち時間は、ユーザーインターフェースの応答性に影響を与える可能性があります。適切な値を設定するようにしてください。
QApplication::startDragTime サンプルコード
ドラッグ操作開始までの待ち時間を500ミリ秒に設定する
QApplication::setStartDragTime(500);
// ウィジェットのドラッグ処理
void MyWidget::mousePressEvent(QMouseEvent *event)
{
if (event->button() == Qt::LeftButton) {
// ドラッグ開始
startDrag();
}
}
ドラッグ操作開始までの待ち時間を、マウスボタン押下時のカーソル位置に基づいて設定する
void MyWidget::mousePressEvent(QMouseEvent *event)
{
if (event->button() == Qt::LeftButton) {
// カーソル位置に基づいて待ち時間を設定
int dragTime = qAbs(event->pos().x() - startPos().x()) * 10;
QApplication::setStartDragTime(dragTime);
// ドラッグ開始
startDrag();
}
}
ドラッグ操作開始までの待ち時間を、Qt Designerで設定する
- Qt Designerでアプリケーションを開きます。
QApplication::startDragTime 以外の方法
QDrag::setDragTime()は、QDragオブジェクトに対してドラッグ操作開始までの待ち時間を設定します。QApplication::startDragTimeよりも細かい制御が可能ですが、コード量が少し増えます。
QDrag drag(this);
drag.setDragTime(500);
// ドラッグ開始
drag.exec();
タイマーを使用することで、ドラッグ操作開始までの待ち時間をより詳細に制御できます。
QTimer timer;
void MyWidget::mousePressEvent(QMouseEvent *event)
{
if (event->button() == Qt::LeftButton) {
// タイマー開始
timer.start(500);
}
}
void MyWidget::timerEvent(QTimerEvent *event)
{
if (event->timerId() == timer.timerId()) {
// ドラッグ開始
startDrag();
}
}
イベントフィルタを使用することで、ドラッグ操作開始前のマウスイベントを処理し、独自の待ち時間ロジックを実装できます。
class MyEventFilter : public QObject
{
public:
bool eventFilter(QObject *object, QEvent *event) override
{
if (event->type() == QEvent::MouseButtonPress) {
// ドラッグ操作開始までの待ち時間処理
return true;
}
return false;
}
};
// イベントフィルタのインストール
QApplication::instance()->installEventFilter(new MyEventFilter);
これらの方法は、それぞれ異なる利点と欠点があります。アプリケーションの要件に合わせて、適切な方法を選択する必要があります。
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