Qt Widgetsでパフォーマンスを向上させる:QListView::batchSizeとその他の方法の比較
Qt WidgetsにおけるQListView::batchSizeの詳細解説
バッチ処理とは、複数の処理をまとめて実行することで、個別に実行するよりも効率的に処理を行う手法です。QListView::batchSize プロパティは、このバッチ処理を QListView でどのように行うかを制御します。
QListView::batchSize の役割
QListView::batchSize プロパティは、一度に処理するデータ項目の最大数を指定します。この値を設定すると、QListView は以下の処理をバッチ単位で実行します。
- データ項目の表示
- スクロール処理
- 選択処理
QListView::batchSize プロパティは、以下の方法で設定できます。
- デフォルト値は 100 です。
- 0 に設定すると、バッチ処理は無効になります。
- 1 より大きい値を設定すると、バッチ処理が有効になります。
QListView::batchSize の設定例
// バッチ処理を無効にする
listView->setBatchSize(0);
// バッチ処理を有効にし、一度に処理するデータ項目の最大数を 50 に設定
listView->setBatchSize(50);
QListView::batchSize プロパティの値は、以下の要素に影響を与えます。
- パフォーマンス: バッチ処理を有効にすることで、大量のデータ項目を処理する際にパフォーマンスが向上します。
- メモリ使用量: バッチ処理を有効にすることで、一度に処理するデータ項目の数が多くなるため、メモリ使用量が増加します。
- ユーザーインターフェースの応答性: バッチ処理を有効にすることで、スクロールや選択処理などのユーザーインターフェース操作の応答性が低下する場合があります。
QListView::batchSize プロパティの最適な値は、アプリケーションの要件と処理するデータ項目の量によって異なります。以下の点を考慮して、最適な値を設定してください。
- 処理するデータ項目の量: 処理するデータ項目が多い場合は、バッチ処理を有効にすることでパフォーマンスが向上します。
- メモリ使用量: メモリ使用量が制限されている場合は、バッチ処理を無効にするか、バッチサイズを小さく設定する必要があります。
- ユーザーインターフェースの応答性: ユーザーインターフェースの応答性が重要場合は、バッチサイズを小さく設定する必要があります。
補足
- 上記の情報は、Qt 5.15 以降のバージョンに適用されます。
- バッチ処理は、Qt Widgets モジュールの QListView クラスでのみ使用できます。
QListView::batchSize を使用したサンプルコード
例1:バッチ処理を無効にする
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// モデルを作成
QStringListModel model;
for (int i = 0; i < 1000; ++i) {
model.insertRow(i, new QString("Item %1").arg(i));
}
// リストビューを作成
QListView listView;
listView.setModel(&model);
// バッチ処理を無効にする
listView.setBatchSize(0);
// リストビューを表示
listView.show();
return app.exec();
}
例2:バッチ処理を有効にする
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// モデルを作成
QStringListModel model;
for (int i = 0; i < 1000; ++i) {
model.insertRow(i, new QString("Item %1").arg(i));
}
// リストビューを作成
QListView listView;
listView.setModel(&model);
// バッチ処理を有効にし、一度に処理するデータ項目の最大数を 50 に設定
listView.setBatchSize(50);
// リストビューを表示
listView.show();
return app.exec();
}
例3:バッチサイズを動的に変更する
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// モデルを作成
QStringListModel model;
for (int i = 0; i < 1000; ++i) {
model.insertRow(i, new QString("Item %1").arg(i));
}
// リストビューを作成
QListView listView;
listView.setModel(&model);
// スライダーを作成
QSlider slider(Qt::Horizontal);
slider.setRange(0, 1000);
slider.setValue(50);
// スライダーの値が変更されたら、バッチサイズを更新する
QObject::connect(&slider, &QSlider::valueChanged, &listView, [=](int value) {
listView.setBatchSize(value);
});
// レイアウトを作成
QVBoxLayout layout;
layout.addWidget(&listView);
layout.addWidget(&slider);
// ウィジェットを作成
QWidget widget;
widget.setLayout(&layout);
// ウィジェットを表示
widget.show();
return app.exec();
}
これらのサンプルコードは、QListView::batchSize プロパティの使用方法を理解するのに役立ちます。
補足
- 上記のサンプルコードは、Qt 5.15 以降のバージョンで動作します。
QListView::batchSize 以外の方法
QAbstractItemModel::beginUpdate()
と QAbstractItemModel::endUpdate()
関数を使用して、モデルの更新を一時的に停止することができます。これにより、大量のデータ項目をまとめて更新する際にパフォーマンスを向上させることができます。
例:
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// モデルを作成
QStringListModel model;
for (int i = 0; i < 1000; ++i) {
model.insertRow(i, new QString("Item %1").arg(i));
}
// リストビューを作成
QListView listView;
listView.setModel(&model);
// モデルの更新を一時的に停止
model.beginUpdate();
// データ項目を更新
for (int i = 0; i < 1000; ++i) {
model.setData(model.index(i, 0), new QString("Updated Item %1").arg(i));
}
// モデルの更新を再開
model.endUpdate();
// リストビューを表示
listView.show();
return app.exec();
}
QItemDelegate::paint()
関数をオーバーライドして、カスタムレンダリングロジックを実装することができます。このロジックを使用して、大量のデータ項目を効率的にレンダリングすることができます。
例:
#include <QtWidgets>
class MyDelegate : public QItemDelegate {
public:
MyDelegate(QObject *parent = nullptr) : QItemDelegate(parent) {}
void paint(QPainter *painter, const QStyleOptionViewItem &option,
const QModelIndex &index) const override {
// カスタムレンダリングロジック
}
};
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// モデルを作成
QStringListModel model;
for (int i = 0; i < 1000; ++i) {
model.insertRow(i, new QString("Item %1").arg(i));
}
// リストビューを作成
QListView listView;
listView.setModel(&model);
// カスタムデリゲートを設定
listView.setItemDelegate(new MyDelegate);
// リストビューを表示
listView.show();
return app.exec();
}
QtConcurrent::map()
関数を使用して、複数のスレッドでデータ項目を処理することができます。これにより、大量のデータ項目を並列処理して処理速度を向上させることができます。
例:
#include <QtConcurrent>
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// モデルを作成
QStringListModel model;
for (int i = 0; i < 1000; ++i) {
model.insertRow(i, new QString("Item %1").arg(i));
}
// リストビューを作成
QListView listView;
listView.setModel(&model);
// データ項目を並列処理
QVector<QString> results = QtConcurrent::map(model.data(), [](const QModelIndex &index) {
return QString("Processed Item %1").arg(index.row());
});
// 結果をモデルに反映
for (int i = 0; i < results.size(); ++i) {
model.setData(model.index(i, 0), results[i]);
}
// リストビューを表示
listView.show();
return app.exec();
}
これらの方法は、QListView::batchSize プロパティと組み合わせて使用することもできます。最適な方法は、アプリケーションの要件と処理するデータ項目の量によって異なります。
- Qt ドキュメント: QtConcurrent::map(): [無効
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