Qt Widgetsのスクロールをレベルアップ!QScroller::stateChanged()シグナルを使いこなして高度な処理を実現
QScroller::stateChanged() シグナルの詳細解説
この解説では、以下の内容を分かりやすく説明します。
- QScroller::stateChanged() シグナルの概要:
- シグナルの役割
- 送信されるタイミング
- 引数
- QScroller の状態:
- 5つの状態とその意味
- 状態遷移図
- シグナルの活用例:
- スクロール開始/停止時の処理
- スクロール中のアニメーション制御
- スクロール完了時のアクション実行
- 関連するプロパティとシグナル:
- state() プロパティ
- scrolling() シグナル
- コード例:
- シグナル接続と状態変化処理の実装例
- 参考情報:
- Qt 公式ドキュメント
- その他の情報源
QScroller::stateChanged() シグナルの概要
役割: スクロール状態の変化を通知する
送信されるタイミング:
- スクロール状態が変化するたびに
- 開始、停止、慣性によるスクロール中、オーバーシュート中など
- スクロールバーのドラッグ開始/終了時
- スクロールアニメーションの開始/終了時
引数:
- newState: 新しいスクロール状態を表す QScroller::State 型の値
QScroller は、以下の5つの状態を持ちます。
- Inactive: スクロールしていない状態
- Scrolling: スクロール中
- OverScroll: スクロール範囲を超えて慣性で動いている状態
- RubberBanding: スクロール範囲を超えてドラッグされている状態
- Interpolating: スクロールアニメーション実行中
状態遷移図
QScroller の状態遷移図: [無効な URL を削除しました]
シグナルの活用例
- スクロール開始/停止時の処理:
- スクロール開始時に読み込み処理を開始
- スクロール停止時に読み込み処理を停止
- スクロール中のアニメーション制御:
- スクロール速度に応じてアニメーション速度を変更
- スクロール完了時のアクション実行:
- スクロールが完了したら、次のページを表示
関連するプロパティとシグナル
- state() プロパティ: 現在のスクロール状態を取得
- scrolling() シグナル: スクロール中かどうかを通知
コード例
#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QScroller>
#include <QtWidgets/QWidget>
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// スクロール領域を設定
setFixedSize(200, 200);
// スクロールバーを表示
setHorizontalScrollBarPolicy(Qt::ScrollBarAlwaysOn);
setVerticalScrollBarPolicy(Qt::ScrollBarAlwaysOn);
// スクロールオブジェクトを作成
QScroller *scroller = new QScroller(this);
// シグナルとスロットを接続
connect(scroller, &QScroller::stateChanged, this, &MyWidget::onStateChanged);
}
private slots:
void onStateChanged(QScroller::State newState) {
// 状態変化に応じて処理を行う
switch (newState) {
case QScroller::Inactive:
// スクロール停止
qDebug() << "スクロール停止";
break;
case QScroller::Scrolling:
// スクロール開始
qDebug() << "スクロール開始";
break;
case QScroller::OverScroll:
// 慣性によるスクロール
qDebug() << "慣性によるスクロール";
break;
case QScroller::RubberBanding:
// スクロール範囲を超えてドラッグ
qDebug() << "スクロール範囲を超えてドラッグ";
break;
case QScroller::Interpolating:
// スクロールアニメーション実行中
qDebug() << "スクロールアニメーション実行中";
break;
}
}
};
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
MyWidget widget;
widget.show();
return app.exec();
QScroller::stateChanged() シグナルを活用するサンプルコード集
スクロール開始/停止時の処理
void MyWidget::onStateChanged(QScroller::State newState) {
if (newState == QScroller::Scrolling) {
// スクロール開始時の処理
qDebug() << "スクロール開始";
// 例: 読み込み処理を開始
} else if (newState == QScroller::Inactive) {
// スクロール停止時の処理
qDebug() << "スクロール停止";
// 例: 読み込み処理を停止
}
}
スクロール中のアニメーション制御
void MyWidget::onStateChanged(QScroller::State newState) {
if (newState == QScroller::Scrolling) {
// スクロール速度に応じてアニメーション速度を変更
float scrollSpeed = scroller->scrollerState().velocity.x();
myAnimation->setSpeed(scrollSpeed);
}
}
スクロール完了時のアクション実行
void MyWidget::onStateChanged(QScroller::State newState) {
if (newState == QScroller::Inactive) {
// スクロールが完了したら、次のページを表示
if (scroller->scrollerState().scrollPosition.x() == scroller->contentRect().width()) {
// 次のページを表示する処理
}
}
}
その他のサンプル
- スクロール方向に応じて処理を変える
- スクロールバーの表示/非表示を切り替える
- スクロール中に要素をハイライトする
補足
QScroller::stateChanged() シグナルを使わない方法
いくつか方法があります。
QScroller::scrollerState() プロパティを使用する:
QScroller::State state = scroller->scrollerState().state();
if (state == QScroller::Scrolling) {
// スクロール中
} else if (state == QScroller::Inactive) {
// スクロール停止
}
QTimer を使用する:
QTimer timer;
timer.setInterval(100); // 100ミリ秒間隔でタイマーイベント発生
connect(&timer, &QTimer::timeout, this, &MyWidget::onTimer);
void MyWidget::onTimer() {
if (scroller->isScrolling()) {
// スクロール中
} else {
// スクロール停止
}
}
スクロールバーの状態を監視する:
void MyWidget::onScrollValueChanged(int value) {
if (value == 0) {
// スクロール開始
} else if (value == scrollBar->maximum()) {
// スクロール完了
}
}
その他の方法:
- スクロールエリアの
viewportRect()
プロパティの変化を監視する - スクロールイベントを処理する
各方法の比較
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
QScroller::stateChanged() シグナル | シンプルで使いやすい | シグナル処理のオーバーヘッドが発生する |
QScroller::scrollerState() プロパティ | 処理が軽い | 状態変化をポーリングする必要がある |
QTimer | 柔軟性が高い | タイマーの精度が問題になる場合がある |
スクロールバーの状態監視 | スクロール開始/完了を検知しやすい | スクロール中の処理はできない |
要件と状況に応じて、適切な方法を選択する必要があります。
- シンプルで使いやすい方法を求める場合は、QScroller::stateChanged() シグナル を使用するのがおすすめです。
- 処理速度を重視する場合は、QScroller::scrollerState() プロパティ を使用するのがおすすめです。
- 柔軟性が高い方法を求める場合は、QTimer を使用するのがおすすめです。
- スクロール開始/完了を検知したい場合は、スクロールバーの状態監視 がおすすめです。
上記の各方法について、サンプルコードを用意しました。詳細は以下のリンクをご覧ください。
補足
上記のサンプルコードは基本的な例です。実際のユースケースに合わせて、コードを修正したり、追加機能を実装する必要があります。
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