Qt Widgetsのスクロールをレベルアップ!QScroller::stateChanged()シグナルを使いこなして高度な処理を実現

2024-04-02

QScroller::stateChanged() シグナルの詳細解説

この解説では、以下の内容を分かりやすく説明します。

  • QScroller::stateChanged() シグナルの概要:
    • シグナルの役割
    • 送信されるタイミング
    • 引数
  • QScroller の状態:
    • 5つの状態とその意味
    • 状態遷移図
  • シグナルの活用例:
    • スクロール開始/停止時の処理
    • スクロール中のアニメーション制御
    • スクロール完了時のアクション実行
  • 関連するプロパティとシグナル:
    • state() プロパティ
    • scrolling() シグナル
  • コード例:
    • シグナル接続と状態変化処理の実装例
  • 参考情報:
    • Qt 公式ドキュメント
    • その他の情報源

QScroller::stateChanged() シグナルの概要

役割: スクロール状態の変化を通知する

送信されるタイミング:

  • スクロール状態が変化するたびに
    • 開始、停止、慣性によるスクロール中、オーバーシュート中など
  • スクロールバーのドラッグ開始/終了時
  • スクロールアニメーションの開始/終了時

引数:

  • newState: 新しいスクロール状態を表す QScroller::State 型の値

QScroller は、以下の5つの状態を持ちます。

  • Inactive: スクロールしていない状態
  • Scrolling: スクロール中
  • OverScroll: スクロール範囲を超えて慣性で動いている状態
  • RubberBanding: スクロール範囲を超えてドラッグされている状態
  • Interpolating: スクロールアニメーション実行中

状態遷移図

QScroller の状態遷移図: [無効な URL を削除しました]

シグナルの活用例

  • スクロール開始/停止時の処理:
    • スクロール開始時に読み込み処理を開始
    • スクロール停止時に読み込み処理を停止
  • スクロール中のアニメーション制御:
    • スクロール速度に応じてアニメーション速度を変更
  • スクロール完了時のアクション実行:
    • スクロールが完了したら、次のページを表示

関連するプロパティとシグナル

  • state() プロパティ: 現在のスクロール状態を取得
  • scrolling() シグナル: スクロール中かどうかを通知

コード例

#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QScroller>
#include <QtWidgets/QWidget>

class MyWidget : public QWidget {
  Q_OBJECT
public:
  MyWidget() {
    // スクロール領域を設定
    setFixedSize(200, 200);

    // スクロールバーを表示
    setHorizontalScrollBarPolicy(Qt::ScrollBarAlwaysOn);
    setVerticalScrollBarPolicy(Qt::ScrollBarAlwaysOn);

    // スクロールオブジェクトを作成
    QScroller *scroller = new QScroller(this);

    // シグナルとスロットを接続
    connect(scroller, &QScroller::stateChanged, this, &MyWidget::onStateChanged);
  }

private slots:
  void onStateChanged(QScroller::State newState) {
    // 状態変化に応じて処理を行う
    switch (newState) {
      case QScroller::Inactive:
        // スクロール停止
        qDebug() << "スクロール停止";
        break;
      case QScroller::Scrolling:
        // スクロール開始
        qDebug() << "スクロール開始";
        break;
      case QScroller::OverScroll:
        // 慣性によるスクロール
        qDebug() << "慣性によるスクロール";
        break;
      case QScroller::RubberBanding:
        // スクロール範囲を超えてドラッグ
        qDebug() << "スクロール範囲を超えてドラッグ";
        break;
      case QScroller::Interpolating:
        // スクロールアニメーション実行中
        qDebug() << "スクロールアニメーション実行中";
        break;
    }
  }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  MyWidget widget;
  widget.show();

  return app.exec();


QScroller::stateChanged() シグナルを活用するサンプルコード集

スクロール開始/停止時の処理

void MyWidget::onStateChanged(QScroller::State newState) {
  if (newState == QScroller::Scrolling) {
    // スクロール開始時の処理
    qDebug() << "スクロール開始";
    // 例: 読み込み処理を開始
  } else if (newState == QScroller::Inactive) {
    // スクロール停止時の処理
    qDebug() << "スクロール停止";
    // 例: 読み込み処理を停止
  }
}

スクロール中のアニメーション制御

void MyWidget::onStateChanged(QScroller::State newState) {
  if (newState == QScroller::Scrolling) {
    // スクロール速度に応じてアニメーション速度を変更
    float scrollSpeed = scroller->scrollerState().velocity.x();
    myAnimation->setSpeed(scrollSpeed);
  }
}

スクロール完了時のアクション実行

void MyWidget::onStateChanged(QScroller::State newState) {
  if (newState == QScroller::Inactive) {
    // スクロールが完了したら、次のページを表示
    if (scroller->scrollerState().scrollPosition.x() == scroller->contentRect().width()) {
      // 次のページを表示する処理
    }
  }
}

その他のサンプル

  • スクロール方向に応じて処理を変える
  • スクロールバーの表示/非表示を切り替える
  • スクロール中に要素をハイライトする

補足



QScroller::stateChanged() シグナルを使わない方法

いくつか方法があります。

QScroller::scrollerState() プロパティを使用する:

QScroller::State state = scroller->scrollerState().state();

if (state == QScroller::Scrolling) {
  // スクロール中
} else if (state == QScroller::Inactive) {
  // スクロール停止
}

QTimer を使用する:

QTimer timer;
timer.setInterval(100); // 100ミリ秒間隔でタイマーイベント発生
connect(&timer, &QTimer::timeout, this, &MyWidget::onTimer);

void MyWidget::onTimer() {
  if (scroller->isScrolling()) {
    // スクロール中
  } else {
    // スクロール停止
  }
}

スクロールバーの状態を監視する:

void MyWidget::onScrollValueChanged(int value) {
  if (value == 0) {
    // スクロール開始
  } else if (value == scrollBar->maximum()) {
    // スクロール完了
  }
}

その他の方法:

  • スクロールエリアの viewportRect() プロパティの変化を監視する
  • スクロールイベントを処理する

各方法の比較

方法メリットデメリット
QScroller::stateChanged() シグナルシンプルで使いやすいシグナル処理のオーバーヘッドが発生する
QScroller::scrollerState() プロパティ処理が軽い状態変化をポーリングする必要がある
QTimer柔軟性が高いタイマーの精度が問題になる場合がある
スクロールバーの状態監視スクロール開始/完了を検知しやすいスクロール中の処理はできない

要件と状況に応じて、適切な方法を選択する必要があります。

  • シンプルで使いやすい方法を求める場合は、QScroller::stateChanged() シグナル を使用するのがおすすめです。
  • 処理速度を重視する場合は、QScroller::scrollerState() プロパティ を使用するのがおすすめです。
  • 柔軟性が高い方法を求める場合は、QTimer を使用するのがおすすめです。
  • スクロール開始/完了を検知したい場合は、スクロールバーの状態監視 がおすすめです。

上記の各方法について、サンプルコードを用意しました。詳細は以下のリンクをご覧ください。

補足

上記のサンプルコードは基本的な例です。実際のユースケースに合わせて、コードを修正したり、追加機能を実装する必要があります。




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