タッチパネルとタブレットでさらに表現豊かなアプリ開発：QTabletEvent::tangentialPressure()のすべて

Qt GUIにおけるQTabletEvent::tangentialPressure()の解説

QTabletEvent::tangentialPressure()は、Qt GUIにおけるタブレットイベントの接線方向の圧力を取得するための関数です。これは、タブレットペンが画面に触れた際に発生する、ペン先の垂直方向以外の圧力情報にアクセスするために使用されます。

用途

接線方向の圧力は、様々な用途に活用できます。例えば、以下のような機能を実現できます。

• 筆致の太さや濃淡の調整: 筆圧に応じて線の太さや濃淡を変化させることで、より自然な描画表現を実現できます。
• 回転ジェスチャーの認識: ペンを回転させながら描くことで、画面の回転やズームなどの操作を行うことができます。
• 3Dオブジェクトの操作: 接線方向の圧力を使って、3Dオブジェクトを回転させたり、移動させたりすることができます。

使用方法

QTabletEvent::tangentialPressure()関数は、QTabletEventオブジェクトを引数として受け取り、そのイベントにおける接線方向の圧力値を返します。圧力値は0.0から1.0までの範囲で表されます。

double pressure = event->tangentialPressure();

注意点

• 接線方向の圧力は、すべてのタブレットデバイスでサポートされているわけではありません。サポートされていないデバイスの場合は、常に0.0を返す可能性があります。
• 接線方向の圧力の精度や感度は、デバイスによって異なります。

Qt GUIにおけるタブレットイベントに関する情報は、Qtドキュメントやブログなどに豊富に掲載されています。これらの情報を参考に、様々なアプリケーション開発にご活用ください。

Qt GUIにおけるQTabletEvent::tangentialPressure()のサンプルコード

この例では、ペン先の接線方向の圧力に応じて線の太さを変えるプログラムを作成します。

#include <QApplication>
#include <QPainter>
#include <QTabletEvent>

class MyWidget : public QWidget {
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override;
    bool event(QEvent *event) override;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent) {
}

void MyWidget::paintEvent(QPaintEvent *event) {
    QPainter painter(this);
    painter.setPen(Qt::black);

    for (int i = 0; i < width(); i += 10) {
        int pressure = qApp->tabletEvent()->tangentialPressure();
        double lineWidth = 1.0 + (pressure * 5.0);
        painter.setBrush(QColor(Qt::black, 255 * (1.0 - pressure)));
        painter.drawLine(QPoint(i, 0), QPoint(i, height() * lineWidth));
    }
}

bool MyWidget::event(QEvent *event) {
    if (event->type() == QEvent::TabletEvent) {
        update();
        return true;
    }
    return QWidget::event(event);
}

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);
    MyWidget widget;
    widget.show();
    return app.exec();
}

このプログラムを実行すると、タブレットペンで画面をなぞると、筆圧に応じて線の太さが変化することが確認できます。

例2：回転ジェスチャーで画面を回転させる

この例では、ペンを回転させながら描くことで画面を回転させるプログラムを作成します。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QTabletEvent>

class MyView : public QGraphicsView {
public:
    MyView(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void tabletMoveEvent(QTabletEvent *event) override;
};

MyView::MyView(QWidget *parent) : QGraphicsView(parent) {
    scene = new QGraphicsScene(this);
    setScene(scene);

    QGraphicsRect *rect = new QGraphicsRect(0, 0, 100, 100);
    rect->setBrush(Qt::red);
    scene->addItem(rect);
}

void MyView::tabletMoveEvent(QTabletEvent *event) {
    if (event->pointingDevice()->identifier() != Qt::Pen) {
        return;
    }

    double angle = event->rotationAngle();
    scene->rotate(angle);
}

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);
    MyView view;
    view.show();
    return app.exec();
}

このプログラムを実行すると、タブレットペンを画面上で回転させると、それに合わせて画面も回転することが確認できます。

これらの例はあくまでも基本的なものであり、様々な応用に拡張することができます。

ご参考になれば幸いです。

Qt GUIにおけるQTabletEvent::tangentialPressure()の代替方法

QTabletEvent::tangentialPressure()以外にも、タブレットイベントの接線方向の圧力情報を取得する方法があります。以下に、いくつか例を挙げます。

方法1：QTabletEvent::devicePos()とQForce::tangentialForce()を使用する

この方法は、QTabletEvent::devicePos()関数でペン先の位置を取得し、その位置における接線方向の力をQForce::tangentialForce()関数で取得することで、接線方向の圧力情報を取得することができます。

QPoint pos = event->devicePos();
QForce force = event->tabletDevices()[0]->forceAt(pos);
double pressure = force.tangentialForce() / force.normalForce();

方法2：QTabletEvent::touchPoints()を使用する

この方法は、マルチタッチイベントの場合に有効な方法です。QTabletEvent::touchPoints()関数でタッチポイントの情報リストを取得し、そのリストから接線方向の圧力情報を持つタッチポイントを探すことができます。

QList<QTabletTouchPoint> points = event->touchPoints();
for (const QTabletTouchPoint &point : points) {
    if (point.state() == QTabletTouchPoint::Pressed) {
        double pressure = point.tangentialPressure();
        // ...
    }
}

方法3：カスタムイベントを使用する

この方法は、より柔軟な制御が必要な場合に有効な方法です。独自のイベントクラスを作成し、そのイベントクラスで接線方向の圧力情報を格納するようにすることができます。

class MyTabletEvent : public QTabletEvent {
public:
    MyTabletEvent(QTabletEvent *event);

    double tangentialPressure() const;

private:
    double m_tangentialPressure;
};

MyTabletEvent::MyTabletEvent(QTabletEvent *event) : QTabletEvent(event) {
    m_tangentialPressure = calculateTangentialPressure();
}

double MyTabletEvent::tangentialPressure() const {
    return m_tangentialPressure;
}

double calculateTangentialPressure() {
    // ...
}

注意点

上記の方法を使用する際には、以下の点に注意する必要があります。

• 方法1は、タブレットペン以外のデバイスで使用できない場合があります。
• 方法2は、マルチタッチイベントでのみ使用できます。
• 方法3は、最も複雑な方法ですが、最も柔軟な制御を提供します。

上記以外にも、様々な方法でタブレットイベントの接線方向の圧力情報を取得することができます。詳細は、Qtドキュメントやブログなどを参照してください。

ご参考になれば幸いです。