警告メッセージの原因は? CMakeポリシー「CMP0050」の動作と設定方法を完全理解

2024-04-02

CMakeポリシー「CMP0050」は、プロジェクトのソースディレクトリを変更する際の動作を制御します。このポリシーは、CMake 3.13で導入され、デフォルトで有効になっています。

影響を受けるユーザー

以下のいずれかに該当する場合は、このポリシーの影響を受けます。

  • CMake 3.13以降を使用している
  • プロジェクトのソースディレクトリを変更するCMakeコードを使用している

ポリシーの動作

このポリシーが有効な場合、CMakeはソースディレクトリを変更する前に警告を発します。警告メッセージには、変更されるソースディレクトリと、変更の影響を受ける可能性のあるファイルやターゲットの情報が含まれます。

設定方法

このポリシーの動作は、以下の方法で設定できます。

  • CMakeLists.txtファイルで cmake_policy() コマンドを使用する
  • CMAKE_POLICY_CMP0050 環境変数を設定する

設定例

# CMakeLists.txtファイル

cmake_policy(CMP0050 NEW)  # ポリシーを新しい動作に設定
# 環境変数の設定

set CMAKE_POLICY_CMP0050=NEW  # ポリシーを新しい動作に設定

ポリシーの変更による影響

このポリシーの動作を変更すると、プロジェクトのビルドに影響を与える可能性があります。

  • ポリシーを新しい動作に変更すると、ソースディレクトリを変更する前に警告が表示されるようになります。
  • ポリシーを古い動作に変更すると、警告が表示されずにソースディレクトリが変更されます。

ポリシー変更時の注意点

このポリシーの動作を変更する前に、以下の点に注意してください。

  • プロジェクトのソースディレクトリを変更するCMakeコードをすべて確認する必要があります。
  • 警告メッセージの内容をよく確認し、必要に応じて対応する必要があります。


CMakeポリシー「CMP0050」のサンプルコード

サンプルコード1: ソースディレクトリ変更

# CMakeLists.txtファイル

set(CMAKE_SOURCE_DIR "/path/to/source")

# ソースディレクトリを変更
set(CMAKE_SOURCE_DIR "/path/to/new/source")

add_executable(my_app main.cpp)

このコードは、最初に CMAKE_SOURCE_DIR/path/to/source に設定し、その後 /path/to/new/source に変更します。

出力結果

-- The source directory has changed:
--   Old: /path/to/source
--   New: /path/to/new/source
--
-- This warning is for project 'my_app'.
--
-- Call Stack (most recent call first):
--   CMakeLists.txt:2 (set)
--
-- Configuring done
-- Generating done
-- Build files have been written to: /path/to/build

サンプルコード2: ポリシー設定

# CMakeLists.txtファイル

cmake_policy(CMP0050 NEW)  # ポリシーを新しい動作に設定

set(CMAKE_SOURCE_DIR "/path/to/source")

# ソースディレクトリを変更
set(CMAKE_SOURCE_DIR "/path/to/new/source")

add_executable(my_app main.cpp)

このコードは、最初に cmake_policy() コマンドを使用して、ポリシー「CMP0050」を新しい動作に設定します。その後、ソースディレクトリを変更します。

出力結果

-- The source directory has changed:
--   Old: /path/to/source
--   New: /path/to/new/source
--
-- This warning is for project 'my_app'.
--
-- Call Stack (most recent call first):
--   CMakeLists.txt:4 (set)
--
-- Configuring done
-- Generating done
-- Build files have been written to: /path/to/build

サンプルコード3: 環境変数設定

# 環境変数の設定

set CMAKE_POLICY_CMP0050=NEW  # ポリシーを新しい動作に設定

# CMakeLists.txtファイル

set(CMAKE_SOURCE_DIR "/path/to/source")

# ソースディレクトリを変更
set(CMAKE_SOURCE_DIR "/path/to/new/source")

add_executable(my_app main.cpp)

このコードは、CMAKE_POLICY_CMP0050 環境変数を設定して、ポリシー「CMP0050」を新しい動作に設定します。その後、ソースディレクトリを変更します。

出力結果

-- The source directory has changed:
--   Old: /path/to/source
--   New: /path/to/new/source
--
-- This warning is for project 'my_app'.
--
-- Call Stack (most recent call first):
--   CMakeLists.txt:4 (set)
--
-- Configuring done
-- Generating done
-- Build files have been written to: /path/to/build


CMakeでプロジェクトのソースディレクトリを変更する他の方法

CMAKE_SOURCE_DIR 変数を設定する

これは、ソースディレクトリを変更する最も一般的な方法です。CMAKE_SOURCE_DIR 変数は、プロジェクトのソースコードを含むディレクトリを指定します。

set(CMAKE_SOURCE_DIR "/path/to/source")

add_subdirectory() コマンドは、サブディレクトリをプロジェクトに追加するために使用されます。このコマンドを使用して、サブディレクトリをソースディレクトリとして指定することができます。

add_subdirectory("/path/to/subdirectory")

CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR 変数は、現在処理中の CMakeLists.txt ファイルがあるディレクトリを指定します。この変数を使用して、相対パスでソースディレクトリを指定することができます。

set(SOURCE_DIR "${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/subdirectory")

add_executable(my_app main.cpp)

CMAKE_MODULE_PATH 変数は、CMake モジュールを探すためのパスを指定します。この変数を使用して、ソースディレクトリに配置された CMake モジュールを読み込むことができます。

set(CMAKE_MODULE_PATH "${CMAKE_SOURCE_DIR}/modules")

find_package(MyModule)

どの方法を使用するべきかは、プロジェクトの構成によって異なります。一般的には、CMAKE_SOURCE_DIR 変数を設定する方法が最も簡単で汎用性があります。

その他の注意事項

  • ソースディレクトリを変更すると、プロジェクトのビルドに影響を与える可能性があります。
  • ソースディレクトリを変更する前に、プロジェクトのすべての CMakeLists.txt ファイルを確認する必要があります。



プログラミング初心者でもわかる!CMake の "set_directory_properties()" コマンドの使い方

set_directory_properties() コマンドは、CMakeプロジェクト内のディレクトリとサブディレクトリにプロパティを設定するために使用されます。これらのプロパティは、ビルドプロセス、インストール、その他の CMake 動作を制御するために使用できます。



CMake find_libraryコマンドとfind_packageモジュールの比較

find_library() コマンドは、CMake で外部ライブラリを見つけるために使用されます。これは、プロジェクトに必要なライブラリを自動的に検出して、ビルドプロセスを簡略化するのに役立ちます。コマンドフォーマット<VAR>: 検索結果を格納する変数名


CMakeコマンド「ctest_submit()」でテスト結果をCDashサーバーに送信

ctest_submit()は、CMakeの「Commands」カテゴリに属するコマンドで、テスト結果をCDashなどのダッシュボードサーバーに送信するために使用されます。テスト実行後の結果を可視化、共有したい場合に役立ちます。基本構文オプション解説


CMake: find_library()とtarget_link_directories()の連携

target_link_directories()コマンドは、CMakeプロジェクト内のターゲットに対して、リンカがライブラリを検索するディレクトリを指定するために使用されます。これは、ターゲットがリンクするライブラリが標準の検索パスに存在しない場合に特に重要です。


【初心者向け】CMakeでテストを実行する3つのステップ: ctest_test() コマンドから始める

引数:<test_name>: 実行するテストの名前。ワイルドカードを使用して、名前パターンに一致する複数のテストを選択できます。[OPTIONAL arguments]: テストの実行方法を制御するオプション引数。ctest_test()コマンドには、テストの実行方法を細かく制御するための様々なオプション引数が用意されています。以下に、よく使用されるオプション引数をいくつか紹介します。



CMAKE_LINK_DEPENDS_NO_SHAREDのサンプルコード

CMAKE_LINK_DEPENDS_NO_SHAREDは、CMakeのターゲットプロパティの一つで、ターゲットが依存する共有ライブラリファイルへのリンク依存関係をスキップするかどうかを制御します。デフォルトではFALSEに設定されています。つまり、ターゲットは依存する共有ライブラリファイルの変更に依存します。


cmake_policy()コマンドを使いこなしてCMakeプロジェクトをマスター

cmake_policy()コマンドの基本的な構文は以下の通りです。<policy-id>: ポリシーの識別子。CMP<NNNN>形式で指定されます。<behavior>: ポリシーの動作。OLDまたはNEWを指定します。OLDとNEWの動作の違い


PROJECT_VERSION_MINORを使ったバージョン管理のベストプラクティス

PROJECT_VERSION_MINORは、CMakeプロジェクトのバージョン管理において重要な役割を果たす変数です。これは、プロジェクトのマイナーバージョン番号を表し、バグ修正や機能追加などのマイナーな変更を反映するために更新されます。


CMakeの"Commands"における"fltk_wrap_ui()"プログラミングを徹底解説!

この解説では、CMakeの"Commands"における"fltk_wrap_ui()"プログラミングについて、分かりやすく説明します。"fltk_wrap_ui()"は、CMakeでFLTK GUIアプリケーションをビルドするために使用されるマクロです。このマクロは、FLTK GUI定義ファイルをC++コードに変換し、プロジェクトに組み込みます。


CMakeポリシー CMP0097 を使用せずにターゲットのソースツリー内に存在しないファイルをソースファイルリストに追加する方法

CMakeポリシーCMP0097は、target_sources コマンドでソースファイルのリストに追加されたファイルが、ターゲットのソースツリー内に存在することを必須とするポリシーです。このポリシーは、CMakeがソースファイルを見つけるのを容易にし、ビルドエラーを防ぐために役立ちます。