CMakeコマンド「ctest_submit()」でテスト結果をCDashサーバーに送信
CMakeのコマンド「ctest_submit()」詳細解説
ctest_submit()
は、CMakeの「Commands」カテゴリに属するコマンドで、テスト結果をCDashなどのダッシュボードサーバーに送信するために使用されます。テスト実行後の結果を可視化、共有したい場合に役立ちます。
基本構文
ctest_submit([PARTS <part>...] [FILES <file>...] [RETRY_COUNT <count>] [RETRY_DELAY <delay>] [RETURN_VALUE <result-var>] [QUIET])
オプション解説
- PARTS
送信するテスト結果の種類を指定します。複数指定可能です。
* `Start`: テスト開始情報
* `Update`: テスト更新情報
* `Configure`: テスト設定情報
* `Build`: テストビルド情報
* `Test`: テスト実行情報
* `Coverage`: テストカバレッジ情報
* `MemCheck`: メモリチェック情報
* `Notes`: テストノート情報
* `ExtraFiles`: その他のファイル
* `Upload`: アップロード準備済みファイル
- FILES
送信する個別のファイルを指定します。PARTSオプションと併用可能です。
- RETRY_COUNT
タイムアウト時の再送信回数です。デフォルトは3回です。
- RETRY_DELAY
タイムアウト時の再送信待ち時間(秒)です。デフォルトは10秒です。
- RETURN_VALUE
送信結果を格納する変数を指定します。成功時は0、失敗時は非0値が返されます。
- QUIET
エラーメッセージ以外の出力を抑制します。
詳細解説
ctest_submit()
は、CDashサーバーとの接続、認証、データ送信処理などを行います。送信するデータは、テスト実行中に生成されたXMLファイルに基づいています。
使用例
- テスト実行後にすべての結果をCDashサーバーに送信する
ctest_submit()
- テスト実行情報とテストカバレッジ情報のみを送信する
ctest_submit(PARTS Test Coverage)
- 特定のXMLファイルを個別に送信する
ctest_submit(FILES Test.xml Coverage.xml)
- タイムアウト時の再送信設定
ctest_submit(RETRY_COUNT 5 RETRY_DELAY 30)
- 送信結果を変数に格納
set(result 0)
ctest_submit(RETURN_VALUE result)
if(result)
message(ERROR "Submit failed")
endif()
注意事項
- CDashサーバーへの接続には、事前に設定が必要です。詳細はCDashのドキュメントを参照してください。
- テスト実行前に
ctest_start()
コマンドを実行する必要があります。 - 送信するXMLファイルは、テスト実行中に生成されます。ファイルが存在しない場合はエラーが発生します。
補足
ctest_submit()
コマンドは、テスト結果を共有、分析する際に非常に有用です。CDash以外にも、JenkinsやTravis CIなどのCIツールと連携して、自動化されたテストパイプラインを構築することも可能です。
CMakeコマンド「ctest_submit()」サンプルコード集
ctest_start()
ctest_run()
ctest_submit()
テスト実行情報とテストカバレッジ情報のみを送信
ctest_start()
ctest_run()
ctest_submit(PARTS Test Coverage)
特定のXMLファイルを個別に送信
ctest_start()
ctest_run()
ctest_submit(FILES Test.xml Coverage.xml)
タイムアウト時の再送信設定
ctest_start()
ctest_run()
ctest_submit(RETRY_COUNT 5 RETRY_DELAY 30)
送信結果を変数に格納
set(result 0)
ctest_start()
ctest_run()
ctest_submit(RETURN_VALUE result)
if(result)
message(ERROR "Submit failed")
endif()
CDashサーバー設定ファイルの指定
set(CDASH_HOST "my-cdash-server.com")
set(CDASH_PORT 80)
set(CDASH_PROJECT "MyProject")
ctest_start()
ctest_run()
ctest_submit()
テストケース結果に基づいて送信内容を分岐
if(TEST_CASES_PASSED)
ctest_submit(PARTS Test Coverage)
else()
ctest_submit(PARTS Test)
endif()
環境変数からCDashサーバー情報を読み込み
set(CDASH_HOST $ENV{CDASH_HOST})
set(CDASH_PORT $ENV{CDASH_PORT})
set(CDASH_PROJECT $ENV{CDASH_PROJECT})
ctest_start()
ctest_run()
ctest_submit()
複数のCDashサーバーに送信
ctest_submit(SERVER1 "my-cdash-server1.com" PORT1 80 PROJECT1 "MyProject1")
ctest_submit(SERVER2 "my-cdash-server2.com" PORT2 80 PROJECT2 "MyProject2")
送信前にテスト結果をローカルファイルに保存
ctest_start()
ctest_run()
ctest_submit(SAVE_RESULTS "results.xml")
# 後で送信
ctest_submit(FILES results.xml)
テスト実行ログとテスト結果をまとめて送信
ctest_start()
ctest_run()
ctest_submit(PARTS Test Coverage Log)
テスト実行後に自動的にCDashサーバーに接続
set(CTEST_SUBMIT_ON_SUCCESS TRUE)
ctest_start()
ctest_run()
テスト結果の送信前にカスタム処理を実行
function(ctest_submit_pre_hook)
# 何か処理
endfunction()
ctest_register_submit_pre_hook(ctest_submit_pre_hook)
ctest_start()
ctest_run()
ctest_submit()
テスト結果の送信後にカスタム処理を実行
function(ctest_submit_post_hook)
# 何か処理
endfunction()
ctest_register_submit_post_hook(ctest_submit_post_hook)
ctest_start()
ctest_run()
ctest_submit()
CMake GUIからCTestSubmitコマンドを実行
- CMake GUIの「CTest」タブで「Submit Results」ボタンをクリック
- 必要に応じて送信内容やCDashサーバー設定を編集
- 「Submit」ボタンをクリック
その他
- 詳細なオプション設定については、CMakeドキュメントの
ctest_submit()
コマンドのページを参照してください。 - CDashサーバーの設定や使用方法については、CDashドキュメントを参照してください。
CMakeコマンド「ctest_submit()」以外の方法
CTest GUI
CMake GUIの「CTest」タブには、「Submit Results」ボタンがあります。このボタンをクリックすると、テスト結果をCDashサーバーに送信することができます。必要に応じて、送信内容やCDashサーバー設定を編集できます。
CDash CLIツール
CDashには、コマンドラインインターフェース (CLI) ツールが用意されています。このツールを使用して、テスト結果をCDashサーバーに送信することができます。
カスタムスクリプト
PythonやPerlなどのスクリプト言語を使用して、CDash APIと直接通信し、テスト結果を送信することができます。
CIツール
JenkinsやTravis CIなどのCIツールを使用して、テスト実行後に自動的にCDashサーバーに送信することができます。
各方法のメリットとデメリット
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ctest_submit() コマンド | 簡単に使用できる | 設定が複雑になる場合がある |
CTest GUI | 直感的 | CMake GUIが必要 |
CDash CLIツール | 柔軟性が高い | 設定が複雑になる場合がある |
カスタムスクリプト | 詳細な制御が可能 | スクリプト作成スキルが必要 |
CIツール | 自動化できる | CIツールの設定が必要 |
以下は、各方法を選択する際の目安です。
- 簡単さを求める場合:
ctest_submit()
コマンドまたはCTest GUI - 柔軟性を求める場合: CDash CLIツールまたはカスタムスクリプト
- 自動化を求める場合: CIツール
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