Tensor Core を活用してさらに高速化! torch.backends.cuda.matmul.allow_fp16_reduced_precision_reduction の活用方法
PyTorch Backends: torch.backends.cuda.matmul.allow_fp16_reduced_precision_reduction 解説
torch.backends.cuda.matmul.allow_fp16_reduced_precision_reduction
は、PyTorch の CUDA バックエンドにおける行列乗算の精度設定を制御するフラグです。このフラグを有効にすると、FP16 精度で計算された行列乗算の縮約処理において、精度をさらに低減して計算速度を向上させることができます。
詳細
-
デフォルト値:
True
-
有効な値:
True
またはFalse
-
影響を受ける操作:
torch.matmul
torch.nn.functional.linear
- その他、上記の操作を内部的に使用する多くの PyTorch 関数
仕組み
従来の行列乗算は、FP32 精度で計算されます。しかし、多くの場合、この精度は必要以上に高く、FP16 精度で計算しても十分な精度が得られることがあります。torch.backends.cuda.matmul.allow_fp16_reduced_precision_reduction
フラグを有効にすると、FP16 精度で計算された行列乗算の縮約処理において、精度をさらに低減して計算速度を向上させることができます。
注意点
- 精度を低減することによる誤差が発生する可能性があります。
- すべての GPU でこの機能がサポートされているわけではありません。
- 使用する前に、モデルの精度と速度のバランスを検証する必要があります。
例
# FP16 精度で計算された行列乗算の縮約処理において、精度をさらに低減して計算速度を向上させる
torch.backends.cuda.matmul.allow_fp16_reduced_precision_reduction = True
# 行列乗算を実行
a = torch.randn(100, 100, dtype=torch.float16)
b = torch.randn(100, 100, dtype=torch.float16)
c = torch.matmul(a, b)
補足
- 上記の情報に加え、以下の点にも注意してください。
- このフラグは、CUDA バージョン 10.2 以降でのみ使用できます。
- このフラグは、Tensor Core を使用する GPU でのみ効果を発揮します。
- このフラグを有効にする前に、モデルの精度と速度のバランスを検証する必要があります。
用語解説
- FP16: 半精度浮動小数点数形式
- 縮約処理: 行列乗算の計算過程において、中間結果を累積していく処理
関連キーワード
- PyTorch
- Backends
- CUDA
- MatMul
- FP16
- Reduced Precision
- Performance
PyTorch Backends: torch.backends.cuda.matmul.allow_fp16_reduced_precision_reduction サンプルコード
# FP16 精度で計算された行列乗算の縮約処理において、精度をさらに低減して計算速度を向上させる
torch.backends.cuda.matmul.allow_fp16_reduced_precision_reduction = True
# 行列乗算を実行
a = torch.randn(100, 100, dtype=torch.float16)
b = torch.randn(100, 100, dtype=torch.float16)
c = torch.matmul(a, b)
モデルの精度と速度の検証
# モデルの精度と速度を検証する
# FP16 精度で計算
torch.backends.cuda.matmul.allow_fp16_reduced_precision_reduction = True
model = MyModel()
accuracy_fp16, time_fp16 = evaluate(model)
# FP32 精度で計算
torch.backends.cuda.matmul.allow_fp16_reduced_precision_reduction = False
model = MyModel()
accuracy_fp32, time_fp32 = evaluate(model)
# 結果を出力
print("FP16 精度:", accuracy_fp16, time_fp16)
print("FP32 精度:", accuracy_fp32, time_fp32)
Tensor Core を使用する例
# Tensor Core を使用する
# デバイスが Tensor Core をサポートしているかどうかを確認
if torch.cuda.is_available() and torch.cuda.get_device_capability(torch.cuda.current_device()) >= (7, 0):
# Tensor Core を使用する
torch.backends.cuda.matmul.allow_fp16_reduced_precision_reduction = True
# 行列乗算を実行
a = torch.randn(100, 100, dtype=torch.float16)
b = torch.randn(100, 100, dtype=torch.float16)
c = torch.matmul(a, b)
else:
# Tensor Core を使用しない
torch.backends.cuda.matmul.allow_fp16_reduced_precision_reduction = False
# 行列乗算を実行
a = torch.randn(100, 100, dtype=torch.float16)
b = torch.randn(100, 100, dtype=torch.float16)
c = torch.matmul(a, b)
その他
- 上記のサンプルコードは、あくまでも参考です。
PyTorch Backends: torch.backends.cuda.matmul.allow_fp16_reduced_precision_reduction の代替方法
データ型を FP16 に変換する
- モデルの入力データと中間データを FP16 型に変換することで、計算速度を向上させることができます。
- ただし、精度が低下する可能性があるため、注意が必要です。
モデルを最適化する
- モデルを最適化することで、計算速度を向上させることができます。
- PyTorch には、モデル最適化のためのツールが用意されています。
GPU をアップグレードする
- より新しい GPU は、より高速な計算能力を持っています。
- GPU をアップグレードすることで、計算速度を大幅に向上させることができます。
その他
- 計算速度を向上させる方法は、他にもたくさんあります。
- 詳細については、PyTorch のドキュメントやチュートリアルを参照してください。
代替方法の詳細
データ型を FP16 に変換する
torch.float16
型は、torch.float32
型よりもメモリ使用量が少なく、計算速度も速くなります。- ただし、
torch.float16
型は、torch.float32
型よりも精度が低くなります。 - モデルの精度が低下しないことを確認するために、変換する前に検証する必要があります。
モデルを最適化する
- PyTorch には、
torch.jit.trace
やtorch.jit.optimize
などのツールが用意されています。 - これらのツールを使用してモデルを最適化することで、計算速度を向上させることができます。
GPU をアップグレードする
- より新しい GPU は、より多くの CUDA コアとより高いメモリ帯域幅を持っています。
その他
- 以下は、その例です。
- バッチサイズを大きくする
- モデルの並列化
- 異なるアルゴリズムを使用する
どの方法を選択するかは、モデルの要件とハードウェア環境によって異なります。
用語解説
- 最適化: 計算速度やメモリ使用量を向上させるために、コードやモデルを変更すること
- 並列化: 複数の処理を同時に実行すること
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