GradScaler.state_dict() を使って、PyTorch Automatic Mixed Precision の訓練を中断して後で再開する方法
PyTorch Automatic Mixed Precision と GradScaler.state_dict()
GradScaler.state_dict() は、GradScaler の現在の状態を保存する辞書を返します。この辞書には、以下の情報が含まれます。
- scaler.scale: 現在のスケーリングファクター
- scaler.growth_factor: スケーリングファクターの更新率
- scaler.max_growth: スケーリングファクターの最大値
- scaler.state: スケーリング状態
GradScaler.state_dict() を使用して、GradScaler の状態を保存し、後で復元することができます。これは、例えば、モデルの訓練を中断して後で再開したい場合や、訓練済みモデルを他のユーザーと共有したい場合に役立ちます。
例:
# GradScaler を作成
scaler = GradScaler()
# モデルの訓練
for epoch in range(epochs):
# 訓練コード
# スケーリングされた勾配を計算
scaled_grads = scaler.scale(grads)
# オプティマイザで更新
optimizer.step(scaled_grads)
# スケーリングを解除
scaler.unscale_(optimizer)
# GradScaler の状態を保存
state_dict = scaler.state_dict()
# 後で復元
scaler.load_state_dict(state_dict)
GradScaler.state_dict() を使用する場合、以下の点に注意する必要があります。
- 保存された辞書は、GradScaler が作成された PyTorch バージョンと互換性がある必要があります。
- 保存された辞書は、同じ型のオプティマイザと使用されている必要があります。
補足
- GradScaler は、PyTorch 1.6 以降で使用できます。
- GradScaler は、GPU 上でのみ使用できます。
- GradScaler は、モデルの訓練を高速化するために有効ですが、訓練の精度が低下する可能性があります。
GradScaler.state_dict() を使用したサンプルコード
# モデルの訓練
for epoch in range(epochs):
# 訓練コード
# スケーリングされた勾配を計算
scaled_grads = scaler.scale(grads)
# オプティマイザで更新
optimizer.step(scaled_grads)
# スケーリングを解除
scaler.unscale_(optimizer)
# 訓練を中断する必要がある場合は、GradScaler の状態を保存
if中断条件:
state_dict = scaler.state_dict()
break
# 後で訓練を再開
if中断条件:
scaler.load_state_dict(state_dict)
# 訓練コードを再開
訓練済みモデルを他のユーザーと共有する
# モデルの訓練
for epoch in range(epochs):
# 訓練コード
# スケーリングされた勾配を計算
scaled_grads = scaler.scale(grads)
# オプティマイザで更新
optimizer.step(scaled_grads)
# スケーリングを解除
scaler.unscale_(optimizer)
# 訓練済みモデルと GradScaler の状態を保存
model_state_dict = model.state_dict()
scaler_state_dict = scaler.state_dict()
# 他のユーザーと共有
GradScaler の状態を可視化する
# GradScaler の状態を取得
state_dict = scaler.state_dict()
# スケーリングファクター
print(state_dict["scaler.scale"])
# スケーリングファクターの更新率
print(state_dict["scaler.growth_factor"])
# スケーリングファクターの最大値
print(state_dict["scaler.max_growth"])
# スケーリングファクターの最小値
print(state_dict["scaler.min_growth"])
# スケーリング状態
print(state_dict["scaler.state"])
GradScaler の状態をカスタマイズする
# GradScaler を作成
scaler = GradScaler(
init_scale=1024.0,
growth_factor=2.0,
max_growth=2048.0,
min_growth=1.0,
)
# モデルの訓練
for epoch in range(epochs):
# 訓練コード
# スケーリングされた勾配を計算
scaled_grads = scaler.scale(grads)
# オプティマイザで更新
optimizer.step(scaled_grads)
# スケーリングを解除
scaler.unscale_(optimizer)
GradScaler.state_dict() の代替方法
pickle を使用する
# GradScaler を pickle で保存
import pickle
with open("scaler.pkl", "wb") as f:
pickle.dump(scaler, f)
# 後で復元
with open("scaler.pkl", "rb") as f:
scaler = pickle.load(f)
torch.save() を使用する
# GradScaler を torch.save() で保存
torch.save(scaler, "scaler.pt")
# 後で復元
scaler = torch.load("scaler.pt")
自作の関数を作成する
def save_scaler(scaler, path):
# GradScaler の状態を保存するコード
def load_scaler(path):
# GradScaler の状態を復元するコード
# 使用例
save_scaler(scaler, "scaler.json")
scaler = load_scaler("scaler.json")
各方法の比較
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
GradScaler.state_dict() | シンプルで使いやすい | PyTorch バージョンとオプティマイザに依存する |
pickle | 汎用性が高い | セキュリティ上のリスクがある |
torch.save() | PyTorch に標準搭載されている | GradScaler 以外のオブジェクトも保存される |
自作の関数 | 柔軟性が高い | コード量が増える |
- 互換性: 保存した状態を他のユーザーと共有する必要がある場合は、互換性のある方法を選択する必要があります。
- セキュリティ: セキュリティが重要な場合は、pickle を使用しないことをお勧めします。
- 柔軟性: 複雑な要件がある場合は、自作の関数を作成する必要があります。
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