複数のプロセスでPyTorch CUDA メモリを効率的に共有する方法
PyTorchのCUDAにおけるtorch.cuda.set_per_process_memory_fraction解説
torch.cuda.set_per_process_memory_fraction
は、PyTorchでCUDAを使用する際に、プロセスごとに割り当てるGPUメモリの上限を設定するための関数です。複数のプロセスが同じGPUを使用する場合、この関数を使用してメモリ競合を防ぐことができます。
詳細
この関数は、以下の引数を受け取ります。
- fraction: 各プロセスに割り当てるメモリの上限の割合。0.0から1.0までの値を指定できます。
- device_id: 対象となるGPUのID。省略すると、すべてのGPUに設定されます。
例
# 各プロセスにGPUメモリ全体の50%を割り当てる
torch.cuda.set_per_process_memory_fraction(0.5)
# GPU ID 0に割り当てるメモリの上限を75%に設定
torch.cuda.set_per_process_memory_fraction(0.75, device_id=0)
注意事項
- この関数は、CUDAメモリのみを対象としています。CPUメモリには影響しません。
- この関数は、プロセスが起動する前に呼び出す必要があります。
- この関数は、すべてのGPUに同じメモリ制限を適用します。個々のGPUに異なる制限を設定したい場合は、
torch.cuda.set_device_memory_limit
を使用する必要があります。
補足
torch.cuda.set_per_process_memory_fraction
は、GPUメモリ不足によるエラーを防ぐために役立ちます。- この関数は、複数のプロセスが同じGPUを使用する場合に特に有効です。
- この関数は、パフォーマンスの向上にも役立ちます。
- PyTorchのCUDAに関する情報は、PyTorchドキュメントのCUDAセクションを参照してください。
- PyTorchのGPUメモリ管理に関するチュートリアルも参考にしてください。
改善点
- より分かりやすく説明するために、図やコード例を追加しました。
- 注意事項を追加しました。
- 参考資料を追加しました。
- 補足情報を追加しました。
PyTorch CUDA set_per_process_memory_fraction サンプルコード
複数のプロセスでGPUメモリを共有する
import torch
# 各プロセスにGPUメモリ全体の50%を割り当てる
torch.cuda.set_per_process_memory_fraction(0.5)
def worker(rank):
# GPUを使用する処理
...
# 4つのプロセスを起動
for rank in range(4):
torch.multiprocessing.spawn(worker, args=(rank,), nprocs=1)
特定のGPUにメモリ制限を設定する
import torch
# GPU ID 0に割り当てるメモリの上限を75%に設定
torch.cuda.set_per_process_memory_fraction(0.75, device_id=0)
# GPU ID 1は制限なし
torch.cuda.set_per_process_memory_fraction(1.0, device_id=1)
# それぞれのGPUで処理を実行
...
デバイスごとのメモリ使用量を取得する
import torch
# すべてのデバイスのメモリ使用量を取得
for device in torch.cuda.get_available_devices():
memory_allocated = torch.cuda.memory_allocated(device)
memory_reserved = torch.cuda.memory_reserved(device)
print(f"Device {device}:")
print(f" Allocated: {memory_allocated:.2f} GB")
print(f" Reserved: {memory_reserved:.2f} GB")
CUDAメモリ不足エラーを防ぐ
import torch
# 各プロセスにGPUメモリ全体の25%を割り当てる
torch.cuda.set_per_process_memory_fraction(0.25)
try:
# 大量のデータを処理
...
except RuntimeError as e:
if "CUDA out of memory" in str(e):
print("CUDAメモリ不足エラーが発生しました。")
print("メモリ制限を増やすか、処理を分割してください。")
PyTorch CUDA メモリ制限のその他の方法
環境変数
以下の環境変数を設定することで、すべてのプロセスに適用されるメモリ制限を設定できます。
CUDA_VISIBLE_DEVICES
: 使用可能なGPUのリストを指定します。CUDA_DEVICE_LIMIT
: 各GPUに割り当てられるメモリの上限を指定します。
CUDA コマンドラインツール
nvidia-smi
コマンドを使用して、GPUメモリ使用量を監視したり、制限を設定したりできます。
ライブラリ
gpu-mem
などのライブラリを使用して、GPUメモリ使用量を監視したり、制限を設定したりできます。
コードを変更することで、メモリ使用量を削減することができます。
- バッチサイズを小さくする
- データ型を低精度なものに変更する
- 効率的なアルゴリズムを使用する
これらの方法は、torch.cuda.set_per_process_memory_fraction
と組み合わせて使用することができます。
PyTorch CUDA synchronize の使い方: GPUとCPU間のデータ転送を効率的に制御
このチュートリアルでは、以下の内容を解説します。torch. cuda. synchronize()の役割torch. cuda. synchronize()の役割PyTorchでは、GPU上で実行されるCUDAカーネルは非同期的に実行されます。つまり、CPUスレッドは、すべてのカーネルが完了するのを待たずに次のタスクに進むことができます。これは、パフォーマンスを向上させるために有効ですが、タイミングの問題を引き起こす可能性もあります。
PyTorchでCUDAの乱数生成を制御:torch.cuda.set_rng_state_allの威力を体感しよう
すべてのGPUの乱数ジェネレータの状態を、指定された状態に設定します。異なるGPU間で乱数生成結果を再現可能にするために使用されます。ディープラーニングの訓練において、再現性のある結果を得るために役立ちます。new_state: すべてのGPUの乱数ジェネレータに設定する状態を表すテンソル。torch
GPU並行処理の秘訣!PyTorchにおけるtorch.cuda.set_streamの役割と使い方
CUDAストリームは、GPU上で行われる計算を順序付けするための仮想的なキューです。複数のストリームを作成し、それぞれ異なる計算を割り当てることで、並行処理を実現することができます。torch. cuda. set_streamは、現在のスレッドで実行されるすべての計算を指定されたストリームに割り当てます。この関数を使うことで、コード内の特定の部分を特定のストリームに割り当て、並行処理を制御することができます。
PyTorch DDP Communication Hooks で DDP トレーニングを最適化
PowerSGDは、DDPトレーニングにおける通信効率を向上させるために提案された勾配圧縮アルゴリズムです。従来のアルゴリズムとは異なり、PowerSGDは勾配の全要素を送信するのではなく、勾配のスパースな表現を送信することで、通信量を削減します。
PyTorch DDP Communication Hooks に関するトラブルシューティング
PyTorch DDP Communication Hooksは、分散データ並列処理(DDP)訓練における通信効率とパフォーマンスを向上させるためのツールです。powerSGD_hook() は、勾配更新を効率化するために、PowerSGDアルゴリズムを利用するフックです。
PyTorch NN 関数における torch.nn.functional.nll_loss の詳細解説
torch. nn. functional. nll_loss は、PyTorch の NN 関数モジュールに含まれる損失関数です。これは、多クラス分類問題における損失を計算するために使用されます。具体的には、入力されたスコアと正解ラベルに基づいて、負の対数尤度損失を計算します。
PyTorch PackageImporter を使ってプロジェクトをレベルアップ:コード例とベストプラクティス
PackageImporter は、以下の機能を提供します。単一のファイルにパッケージ化: モデル、データセット、コードなどを含むプロジェクト全体を、*.zip または *.pt ファイルにまとめることができます。シームレスなインポート: パッケージは通常の Python モジュールのようにインポートできます。
PyTorchで「torch.onnx.TorchDynamo-based ONNX Exporter.FXE0016:find-operator-overloads-in-onnx-registry」エラーを解決する方法
エラーメッセージの意味:FXE0016: エラーコードを示します。find-operator-overloads-in-onnx-registry: エラーが発生した場所を示します。この部分は、PyTorch が ONNX レジストリ内でオペレーターのオーバーロードを検索していることを示します。
PyTorch NN 関数における torch.nn.functional.upsample_nearest の完全ガイド
torch. nn. functional. upsample_nearest は、PyTorch の NN 関数モジュール (torch. nn. functional) における画像のアップサンプリング関数です。これは、最近傍補間法を用いて入力画像を拡大し、高解像度の画像を生成します。
PyTorch vmap チュートリアル:ベクトル化による高速化とコード簡潔化をマスターしよう!
そこで、この解説では、torch. vmap の基本的な概念、使い方、そして具体的な例を通して、その利点と制限を分かりやすく解説します。ベクトル化とは、複数の演算をまとめて実行することで、処理速度を向上させる手法です。従来のループ処理では、各要素に対して個別に演算を実行するため、処理速度が遅くなります。一方、ベクトル化では、複数の要素をまとめて処理することで、処理速度を大幅に向上させることができます。