PyTorchでCUDAの乱数生成を制御:torch.cuda.set_rng_state_allの威力を体感しよう
PyTorchにおけるCUDAのtorch.cuda.set_rng_state_all解説
機能概要
- すべてのGPUの乱数ジェネレータの状態を、指定された状態に設定します。
- 異なるGPU間で乱数生成結果を再現可能にするために使用されます。
- ディープラーニングの訓練において、再現性のある結果を得るために役立ちます。
使用例
import torch
# すべてのGPUの乱数ジェネレータの状態を初期化する
torch.cuda.set_rng_state_all(torch.cuda.get_rng_state())
# すべてのGPUで同じ乱数列を生成する
for i in range(10):
x = torch.rand(10)
print(x)
引数
new_state
: すべてのGPUの乱数ジェネレータに設定する状態を表すテンソル。torch.cuda.get_rng_state()
を使用して取得できます。
注意点
torch.cuda.set_rng_state_all
は、すべてのGPUの乱数ジェネレータの状態を変更します。- 複数のプロセスで同時に使用する場合、状態が同期されない可能性があります。
- マルチGPU環境で再現性のある結果を得るためには、
torch.manual_seed
と併用する必要があります。
補足
- CUDAは、NVIDIAのGPU上で並列処理を行うためのプログラミングモデルです。
- PyTorchは、CUDAを使用してGPU上でディープラーニングモデルの訓練や推論を行うことができます。
torch.cuda.set_rng_state_all
は、CUDAを使用するPyTorchアプリケーションにおいて、再現性のある結果を得るために役立つ関数です。
PyTorchにおけるCUDAのtorch.cuda.set_rng_state_allサンプルコード
import torch
# すべてのGPUの乱数ジェネレータの状態を初期化する
torch.cuda.set_rng_state_all(torch.cuda.get_rng_state())
# すべてのGPUで同じ乱数列を生成する
for i in range(10):
x = torch.rand(10)
print(x)
異なるGPU間で乱数生成結果を再現可能にする
import torch
# すべてのGPUの乱数ジェネレータの状態を同じにする
rng_state = torch.cuda.get_rng_state()
torch.cuda.set_rng_state_all(rng_state)
# 異なるGPUで同じ乱数列を生成する
for i in range(10):
x = torch.rand(10)
print(x)
# GPU 0
device0 = torch.device("cuda:0")
x = torch.rand(10, device=device0)
# GPU 1
device1 = torch.device("cuda:1")
y = torch.rand(10, device=device1)
# 同じ乱数列が生成される
print(x == y)
マルチGPU環境で再現性のある結果を得る
import torch
# すべてのGPUの乱数ジェネレータの状態を同じにする
rng_state = torch.cuda.get_rng_state()
torch.cuda.set_rng_state_all(rng_state)
# マルチGPU環境で訓練を行う
model = torch.nn.Sequential(
torch.nn.Linear(10, 10),
torch.nn.ReLU(),
torch.nn.Linear(10, 1)
)
optimizer = torch.optim.SGD(model.parameters(), lr=0.01)
for epoch in range(10):
# すべてのGPUで同じ乱数列を使用する
torch.manual_seed(epoch)
# 訓練を行う
...
# 訓練結果が再現可能になる
特定のGPUの乱数ジェネレータの状態を設定する
import torch
# 特定のGPUの乱数ジェネレータの状態を設定する
device = torch.device("cuda:0")
rng_state = torch.cuda.get_rng_state(device)
torch.cuda.set_rng_state(device, rng_state)
# 特定のGPUで同じ乱数列を生成する
for i in range(10):
x = torch.rand(10, device=device)
print(x)
上記のサンプルコードは、PyTorchにおけるCUDAのtorch.cuda.set_rng_state_all関数の使い方を理解するのに役立ちます。
PyTorchにおけるCUDAの乱数生成のその他の方法
torch.manual_seed
は、すべてのGPUの乱数ジェネレータのシード値を設定します。
import torch
# すべてのGPUの乱数ジェネレータのシード値を設定する
torch.manual_seed(0)
# すべてのGPUで同じ乱数列を生成する
for i in range(10):
x = torch.rand(10)
print(x)
torch.cuda.manual_seed_all
は、すべてのGPUの乱数ジェネレータのシード値を設定します。torch.manual_seed
との違いは、torch.cuda.manual_seed_all
はCUDAのみを対象としている点です。
import torch
# すべてのGPUの乱数ジェネレータのシード値を設定する
torch.cuda.manual_seed_all(0)
# すべてのGPUで同じ乱数列を生成する
for i in range(10):
x = torch.rand(10)
print(x)
torch.random.seed
は、すべての乱数ジェネレータのシード値を設定します。CUDAだけでなく、CPU上の乱数ジェネレータも対象となります。
import torch
# すべての乱数ジェネレータのシード値を設定する
torch.random.seed(0)
# すべてのGPUで同じ乱数列を生成する
for i in range(10):
x = torch.rand(10)
print(x)
ランダム生成ライブラリの使用
NumPyやRandomなど、他のランダム生成ライブラリを使用することもできます。
import numpy as np
# NumPyを使用して乱数列を生成する
x = np.random.rand(10)
# PyTorchでNumPyの乱数列を使用する
x = torch.from_numpy(x)
# すべてのGPUで同じ乱数列を生成する
for i in range(10):
y = torch.rand(10)
print(x == y)
上記の方法のいずれを選択するかは、使用状況によって異なります。
- すべてのGPUで同じ乱数列を生成したい場合は、
torch.cuda.set_rng_state_all
またはtorch.cuda.manual_seed_all
を使用します。 - 特定のGPUのみで乱数生成を行いたい場合は、
torch.cuda.manual_seed
を使用します。 - CPU上の乱数生成も考慮する場合は、
torch.random.seed
を使用します。 - 他のランダム生成ライブラリを使用したい場合は、そのライブラリのドキュメントを参照してください。
PyTorch CUDA synchronize の使い方: GPUとCPU間のデータ転送を効率的に制御
このチュートリアルでは、以下の内容を解説します。torch. cuda. synchronize()の役割torch. cuda. synchronize()の役割PyTorchでは、GPU上で実行されるCUDAカーネルは非同期的に実行されます。つまり、CPUスレッドは、すべてのカーネルが完了するのを待たずに次のタスクに進むことができます。これは、パフォーマンスを向上させるために有効ですが、タイミングの問題を引き起こす可能性もあります。
GPU並行処理の秘訣!PyTorchにおけるtorch.cuda.set_streamの役割と使い方
CUDAストリームは、GPU上で行われる計算を順序付けするための仮想的なキューです。複数のストリームを作成し、それぞれ異なる計算を割り当てることで、並行処理を実現することができます。torch. cuda. set_streamは、現在のスレッドで実行されるすべての計算を指定されたストリームに割り当てます。この関数を使うことで、コード内の特定の部分を特定のストリームに割り当て、並行処理を制御することができます。
PyTorch DDP Communication Hooks に関するトラブルシューティング
PyTorch DDP Communication Hooksは、分散データ並列処理(DDP)訓練における通信効率とパフォーマンスを向上させるためのツールです。powerSGD_hook() は、勾配更新を効率化するために、PowerSGDアルゴリズムを利用するフックです。
PyTorch DDP Communication Hooks で DDP トレーニングを最適化
PowerSGDは、DDPトレーニングにおける通信効率を向上させるために提案された勾配圧縮アルゴリズムです。従来のアルゴリズムとは異なり、PowerSGDは勾配の全要素を送信するのではなく、勾配のスパースな表現を送信することで、通信量を削減します。
パフォーマンス向上:PyTorch Dataset と DataLoader でデータローディングを最適化する
Datasetは、データセットを表す抽象クラスです。データセットは、画像、テキスト、音声など、機械学習モデルの学習に使用できるデータのコレクションです。Datasetクラスは、データセットを読み込み、処理するための基本的なインターフェースを提供します。
PyTorch の Automatic Differentiation の詳細:torch.autograd.Function.backward() の仕組み
torch. autograd. Function は、自動微分における計算グラフのノードを表すクラスです。このクラスには、backward() メソッドが定義されています。このメソッドは、出力テンソルの勾配を計算するために呼び出されます。
PyTorchで確率分布を操る:RelaxedOneHotCategoricalと温度パラメータの魔法
PyTorchの確率分布モジュール torch. distributions は、さまざまな確率分布を扱うための便利なツールを提供しています。その中でも、RelaxedOneHotCategorical は、カテゴリカル分布の拡張版であり、温度パラメータ temperature を用いて、出力の柔軟性を制御することができます。
PyTorch Storageの torch.UntypedStorage.is_shared() 関数で共有データの有無を確認
この関数は、以下のいずれかの場合に True を返します。Storage オブジェクトが複数の Tensor オブジェクトによって参照されている場合Storage オブジェクトが共有メモリ上に存在する場合この関数は、以下のいずれかの場合に False を返します。
画像認識・動画処理・3次元点群処理に役立つ!PyTorch NN 関数 torch.nn.functional.avg_pool3d の詳細解説
input: 入力テンソル (形状: [batch_size, channels, depth, height, width])kernel_size: プーリングカーネルのサイズ (形状: [depth, height, width])stride: プーリングを行う間隔 (形状: [depth
PyTorch Tensor の torch.Tensor.allclose 完全ガイド
出力例:tensor1, tensor2: 比較する2つのテンソルatol (optional): 絶対許容誤差。デフォルトは 1e-8絶対許容誤差とは、2つの要素の差が許容範囲内に収まっているかどうかを判断する基準です。例えば、atol=0.1 の場合、2つの要素の差が 1 以下であれば近似しているとみなされます。