線形代数ライブラリtorch.linalgの秘密兵器:torch.linalg.luの全貌
PyTorch の Linear Algebra における torch.linalg.lu の詳細解説
この解説では、torch.linalg.lu
の詳細な使い方と、その応用例について説明します。
torch.linalg.lu
は、入力行列 A
を下三角行列 L
と上三角行列 U
に分解します。この関数は以下の式で表されます。
A = L * U
ここで、L
は対角成分が全て 1 の下三角行列、U
は上三角行列です。
torch.linalg.lu
は、以下の引数を受け取ります。
input
(Tensor
): 入力行列A
pivot
(bool, optional): デフォルトはTrue
。LU分解の際にピボット選択を行うかどうかを指定します。ピボット選択を行うと、数値的に安定した計算が行えます。compute_pivots
(bool, optional): デフォルトはFalse
。ピボット情報を出力するかどうかを指定します。
torch.linalg.lu
は、以下の出力値を返します。
lu
(Tensor
): LU分解結果の行列L
とU
を結合した行列。最初のn
行がL
、残りの行がU
となります。pivots
(Tensor
, optional): ピボット情報。compute_pivots
がTrue
の場合のみ出力されます。
torch.linalg.lu
は、以下のコードのように使用できます。
import torch
# 入力行列
A = torch.randn(3, 3)
# LU分解
lu, pivots = torch.linalg.lu(A, pivot=True, compute_pivots=True)
# 下三角行列
L = lu[:3, :]
# 上三角行列
U = lu[3:, :]
# ピボット情報
pivots = pivots
# 確認
print(torch.matmul(L, U) == A) # True
このコードでは、3x3 のランダム行列 A
をLU分解し、下三角行列 L
、上三角行列 U
、ピボット情報 pivots
を取得しています。
torch.linalg.lu
は、以下の様な場面で利用できます。
- 線形方程式の解法: LU分解を用いると、線形方程式 Ax=b を効率的に解くことができます。
- 逆行列の計算: LU分解を用いると、逆行列を効率的に計算することができます。
- QR分解: LU分解を用いると、QR分解を効率的に計算することができます。
その他
torch.linalg.lu
は、CUDA に対応しており、GPU 上で高速に実行できます。
詳細は、PyTorch の公式ドキュメント torch.linalg.lu: https://pytorch.org/docs/stable/generated/torch.linalg.lu.html を参照してください。
補足
torch.linalg.lu
は、PyTorch 1.8 以降で利用可能です。- PyTorch 1.7 以前では、
torch.solve
を用いてLU分解を行うことができました。
torch.linalg.lu
は、PyTorch の Linear Algebra における重要な機能の一つであり、行列のLU分解を行うための関数です。LU分解は、線形方程式の解法や逆行列の計算など、様々な場面で利用されます。
この解説を参考に、torch.linalg.lu
を理解し、様々な場面で活用してください。
PyTorch torch.linalg.lu のサンプルコード
基本的な使い方
import torch
# 入力行列
A = torch.randn(3, 3)
# LU分解
lu, pivots = torch.linalg.lu(A)
# 下三角行列
L = lu[:3, :]
# 上三角行列
U = lu[3:, :]
# 確認
print(torch.matmul(L, U) == A) # True
このコードは、3x3 のランダム行列 A
をLU分解し、下三角行列 L
、上三角行列 U
、ピボット情報 pivots
を取得しています。
線形方程式の解法
import torch
# 入力行列
A = torch.randn(3, 3)
# 右辺ベクトル
b = torch.randn(3)
# LU分解
lu, pivots = torch.linalg.lu(A)
# 解の計算
x = torch.linalg.solve(lu, b, pivots=pivots)
# 確認
print(torch.matmul(A, x) == b) # True
このコードは、LU分解を用いて線形方程式 Ax=b を解いています。
逆行列の計算
import torch
# 入力行列
A = torch.randn(3, 3)
# LU分解
lu, pivots = torch.linalg.lu(A)
# 逆行列の計算
inv_A = torch.linalg.inv(lu, pivots=pivots)
# 確認
print(torch.matmul(A, inv_A) == torch.eye(3)) # True
このコードは、LU分解を用いて逆行列を計算しています。
行列式の計算
import torch
# 入力行列
A = torch.randn(3, 3)
# LU分解
lu, pivots = torch.linalg.lu(A)
# 行列式の計算
det_A = torch.linalg.det(lu, pivots=pivots)
# 確認
print(det_A != 0) # True
このコードは、LU分解を用いて行列式を計算しています。
QR分解
import torch
# 入力行列
A = torch.randn(3, 3)
# LU分解
lu, pivots = torch.linalg.lu(A)
# QR分解
Q, R = torch.linalg.qr(lu, pivots=pivots)
# 確認
print(torch.matmul(Q, R) == A) # True
このコードは、LU分解を用いてQR分解を計算しています。
これらのサンプルコードは、torch.linalg.lu
の使い方を理解するための参考としてください。
- 上記のサンプルコードは、PyTorch 1.8 以降で実行できます。
torch.linalg.lu
は、PyTorch の Linear Algebra における重要な機能の一つであり、行列のLU分解を行うための関数です。LU分解は、線形方程式の解法や逆行列の計算など、様々な場面で利用されます。
この解説とサンプルコードを参考に、torch.linalg.lu
を理解し、様々な場面で活用してください。
LU分解を行う他の方法
ガウス消去法は、LU分解を行うための古典的な方法です。この方法は、以下の手順で行います。
- 行列の各行を、最初の要素が 1 になるように変形します。
- 1 行目の要素を用いて、2 行目以下の要素を消去します。
- ...
この手順を繰り返すことで、行列を下三角行列と上三角行列の積に分解することができます。
ガウス消去法は、実装が簡単であるというメリットがありますが、計算量が大きくなるというデメリットがあります。
ドゥーリトル法は、LU分解を行うための効率的な方法です。この方法は、以下の手順で行います。
この手順を繰り返すことで、行列を下三角行列と上三角行列の積に分解することができます。
ドゥーリトル法は、ガウス消去法よりも計算量が少なく、効率的にLU分解を行うことができます。
クルツキー法は、LU分解を行うための並列化に適した方法です。この方法は、以下の手順で行います。
- 行列を小さなブロックに分割します。
- 各ブロックをLU分解します。
- 各ブロックのLU分解結果を用いて、全体行列のLU分解を行います。
クルツキー法は、並列化に適しているというメリットがありますが、実装が複雑であるというデメリットがあります。
LU分解を行う方法はいくつかあります。それぞれの特徴を理解して、目的に合った方法を選択する必要があります。
補足
- 上記の方法は、すべて CPU 上で実行できます。
- GPU 上でLU分解を行う場合は、
torch.linalg.lu
を使用するのがおすすめです。
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