Qt WidgetsにおけるQAbstractSpinBox::readOnlyプロパティの徹底解説
Qt WidgetsにおけるQAbstractSpinBox::readOnly解説
概要
動作
readOnly
プロパティを true に設定すると、ユーザーはスピンボックス内の値を変更できなくなります。矢印ボタンをクリックしたり、値を手動で入力したりしても、値は変化しません。一方、readOnly
プロパティを false に設定すると、ユーザーはスピンボックス内の値を自由に編集できます。
コード例
#include <QtWidgets>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// readOnlyをtrueに設定したスピンボックス
QSpinBox spinBox1;
spinBox1.setReadOnly(true);
spinBox1.setValue(10);
// readOnlyをfalseに設定したスピンボックス
QSpinBox spinBox2;
spinBox2.setValue(20);
// ウィジェットを表示
QWidget window;
QVBoxLayout layout(&window);
layout.addWidget(&spinBox1);
layout.addWidget(&spinBox2);
window.show();
return app.exec();
}
このコードでは、2つのスピンボックスを作成します。1つ目のスピンボックスはreadOnly
プロパティを true に設定しているので、ユーザーは値を変更できません。一方、2つ目のスピンボックスはreadOnly
プロパティを false に設定しているので、ユーザーは値を自由に編集できます。
用途
readOnly
プロパティは、さまざまな用途で使用できます。例えば、以下のような状況で役立ちます。
- ユーザーが値を変更できないようにしたい場合
- 初期値を設定して、ユーザーが微調整できるようにしたい場合
- データの表示のみを目的としてスピンボックスを使用する場合
readOnly
プロパティ以外にも、QAbstractSpinBoxクラスにはさまざまなプロパティやメソッドがあります。詳細はQtドキュメントを参照してください。
readOnly
プロパティは、Qt WidgetsにおけるQAbstractSpinBoxクラスの重要なプロパティです。このプロパティを理解することで、ユーザーがスピンボックス内の値を変更できるかどうかを制御することができます。
QAbstractSpinBox::readOnlyを使ったサンプルコード
読み取り専用スピンボックス
QSpinBox spinBox;
spinBox.setReadOnly(true);
spinBox.setValue(10);
// ユーザーは値を変更できない
spinBox.value() // 10 を返す
// プログラム側で値を変更することは可能
spinBox.setValue(20);
spinBox.value() // 20 を返す
初期値設定と微調整
QSpinBox spinBox;
spinBox.setRange(0, 100);
spinBox.setValue(50); // 初期値を50に設定
// ユーザーはスピンボックスを使って値を微調整できる
spinBox.value() // 50 を返す
spinBox.stepUp();
spinBox.value() // 51 を返す
spinBox.stepDown();
spinBox.value() // 50 を返す
データ表示用スピンボックス
QSpinBox spinBox;
spinBox.setReadOnly(true);
spinBox.setPrefix("温度: ");
spinBox.setSuffix("℃");
// データソースから値を取得してスピンボックスに設定
spinBox.setValue(getTemperature());
// ユーザーは値を変更できない
spinBox.value() // データソースから取得した値を返す
その他
- スピンボックスの幅を最小値に設定
spinBox.setFixedWidth(spinBox.sizeHint().width());
- スピンボックスにバリデーションを設定
spinBox.setValidator(new QIntValidator(0, 100));
QAbstractSpinBox::readOnly 以外の方法
QWidget::setEnabled(false)
メソッドを使用すると、スピンボックスを含むウィジェット全体を無効化できます。これにより、ユーザーはスピンボックス内の値を変更できなくなります。
QSpinBox spinBox;
spinBox.setEnabled(false);
ただし、この方法ではスピンボックス内の値を表示することもできなくなります。
QLineEdit::setReadOnly(true)
QAbstractSpinBoxは内部的に QLineEdit を使用しています。QLineEdit::setReadOnly(true)
メソッドを使用すると、スピンボックス内のテキスト編集を無効化できます。
QSpinBox spinBox;
spinBox.lineEdit()->setReadOnly(true);
この方法では、ユーザーはスピンボックス内の値を手動で編集できなくなりますが、矢印ボタンを使って値を変更することはできます。
QSpinBox::setButtonSymbols()
メソッドを使用すると、スピンボックスの矢印ボタンのシンボルを変更できます。矢印ボタンの代わりに空白のアイコンを設定することで、ユーザーが値を変更できないように見せかけることができます。
QSpinBox spinBox;
spinBox.setButtonSymbols(QAbstractSpinBox::NoButtons);
ただし、この方法では、ユーザーがキーボード操作を使って値を変更することは可能です。
カスタムスピンボックス
上記の方法で実現できない場合は、カスタムスピンボックスを作成することもできます。カスタムスピンボックスでは、paintEvent()
メソッドをオーバーライドして、スピンボックスの外観と動作を自由にカスタマイズできます。
readOnly
プロパティ以外にも、ユーザーがスピンボックス内の値を変更できないようにする方法はいくつかあります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるので、状況に合わせて適切な方法を選択する必要があります。
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