Qt WidgetsにおけるQGraphicsScene::sceneRectChanged()シグナルのまとめ
Qt WidgetsにおけるQGraphicsScene::sceneRectChanged()の詳細解説
QGraphicsScene::sceneRectChanged()
は、Qt Widgetsフレームワークにおける重要なシグナルであり、シーンの矩形領域が変更された際に発生します。このシグナルは、シーン内のアイテムの位置やサイズを調整する必要がある場合に非常に便利です。
シグネチャ
void sceneRectChanged(const QRectF &newRect)
パラメータ
newRect
: シーンの新しい矩形領域を表すQRectF型のオブジェクト
仕組み
QGraphicsScene::sceneRectChanged()
は、シーンの矩形領域が変更されるたびに呼び出されます。これは、以下の操作によって発生します。
QGraphicsScene::setSceneRect()
を使ってシーンの矩形領域を直接変更した場合QGraphicsItem::setPos()
やQGraphicsItem::setSize()
などを使ってシーン内のアイテムの位置やサイズを変更した場合- ユーザーがシーンをスクロールしたり、ズームしたりした場合
ユースケース
QGraphicsScene::sceneRectChanged()
は、以下のユースケースにおいて非常に便利です。
- シーン内のアイテムを常にシーンの矩形領域内に収めるようにしたい場合
- シーンの矩形領域が変更されたに応じて、シーン内のアイテムの位置やサイズを調整したい場合
- ユーザーがシーンをスクロールしたり、ズームしたりした際に、シーン内のアイテムを適切に更新したい場合
class MyScene : public QGraphicsScene {
public:
MyScene() {
// シーンの矩形領域が変更された際に呼び出されるスロット
connect(this, &QGraphicsScene::sceneRectChanged, this, &MyScene::onSceneRectChanged);
}
private slots:
void onSceneRectChanged(const QRectF &newRect) {
// シーン内のアイテムを新しい矩形領域内に収める
for (QGraphicsItem *item : items()) {
item->setPos(item->pos().x() + newRect.x(), item->pos().y() + newRect.y());
}
}
};
上記のサンプルコードでは、MyScene
クラスは QGraphicsScene
クラスから継承し、sceneRectChanged()
シグナルを onSceneRectChanged()
スロットに接続しています。onSceneRectChanged()
スロットは、シーンの矩形領域が変更された際に呼び出され、シーン内のアイテムを新しい矩形領域内に収めるようにしています。
補足
QGraphicsScene::sceneRectChanged()
シグナルは、シーン内のアイテムに対してのみ送信されます。シーン自体の矩形領域が変更された場合、このシグナルは送信されません。QGraphicsScene::sceneRectChanged()
シグナルは、複数のスロットに接続することができます。
QGraphicsScene::items()
メソッドを使って、シーン内のすべてのアイテムを取得することができます。QGraphicsItem::setPos()
メソッドを使って、アイテムの位置を変更することができます。
注意
QGraphicsScene::sceneRectChanged()
シグナルは、スレッドセーフではありません。複数のスレッドからシーンを操作する場合は、シグナルとスロットの接続を適切に処理する必要があります。
改善点
- サンプルコードを追加しました。
- 補足事項を追加しました。
- 注意点を追加しました。
Qt WidgetsにおけるQGraphicsScene::sceneRectChanged()のサンプルコード
class MyScene : public QGraphicsScene {
public:
MyScene() {
// シーンの矩形領域が変更された際に呼び出されるスロット
connect(this, &QGraphicsScene::sceneRectChanged, this, &MyScene::onSceneRectChanged);
}
private slots:
void onSceneRectChanged(const QRectF &newRect) {
// シーン内のアイテムを新しい矩形領域内に収める
for (QGraphicsItem *item : items()) {
// アイテムが矩形領域からはみ出しているかどうかを確認
if (!newRect.contains(item->rect())) {
// アイテムを矩形領域内に収めるように移動
item->setPos(item->pos().x() + newRect.x() - item->rect().x(),
item->pos().y() + newRect.y() - item->rect().y());
}
}
}
};
このサンプルコードでは、onSceneRectChanged()
スロットは、シーン内のアイテムを新しい矩形領域内に収めるようにしています。具体的には、以下の処理を行っています。
- シーン内のすべてのアイテムを取得します。
- アイテムが矩形領域からはみ出しているかどうかを確認します。
- はみ出している場合は、アイテムを矩形領域内に収めるように移動します。
サンプルコード2:シーンの矩形領域が変更されたに応じて、シーン内のアイテムの位置やサイズを調整する
class MyScene : public QGraphicsScene {
public:
MyScene() {
// シーンの矩形領域が変更された際に呼び出されるスロット
connect(this, &QGraphicsScene::sceneRectChanged, this, &MyScene::onSceneRectChanged);
}
private slots:
void onSceneRectChanged(const QRectF &newRect) {
// シーン内のアイテムの位置やサイズを調整
for (QGraphicsItem *item : items()) {
// アイテムの種類に応じて処理を分岐
if (item->type() == QGraphicsItem::Type::EllipseItem) {
// 円形アイテムの場合は、半径を調整
QGraphicsEllipseItem *ellipseItem = static_cast<QGraphicsEllipseItem *>(item);
ellipseItem->setRect(QRectF(item->pos(), newRect.size()));
} else if (item->type() == QGraphicsItem::Type::RectItem) {
// 四角形アイテムの場合は、サイズを調整
QGraphicsRectItem *rectItem = static_cast<QGraphicsRectItem *>(item);
rectItem->setRect(QRectF(item->pos(), newRect.size()));
}
}
}
};
このサンプルコードでは、onSceneRectChanged()
スロットは、シーン内のアイテムの種類に応じて、位置やサイズを調整しています。具体的には、以下の処理を行っています。
- アイテムの種類に応じて処理を分岐します。
- 円形アイテムの場合は、半径を調整します。
- 四角形アイテムの場合は、サイズを調整します。
サンプルコード3:ユーザーがシーンをスクロールしたり、ズームしたりした際に、シーン内のアイテムを適切に更新する
class MyScene : public QGraphicsScene {
public:
MyScene() {
// シーンの矩形領域が変更された際に呼び出されるスロット
connect(this, &QGraphicsScene::sceneRectChanged, this, &MyScene::onSceneRectChanged);
}
private slots:
void onSceneRectChanged(const QRectF &newRect) {
// ユーザーがスクロールしたり、ズームしたりした際に、
// シーン内のアイテムを適切に更新
QGraphicsView *view = views().first();
if (view) {
view->centerOn(newRect.center());
view->update();
}
}
};
このサンプルコードでは、onSceneRectChanged()
スロットは、ユーザーがスクロールしたり、ズームしたりした際に、シーン内のアイテムを適切に更新しています。具体的には、以下の処理を行っています。
- シーンの最初のビューを取得します。
- ビューの中心をシーンの新しい矩形領域の中心に移動します。
- ビューを更新します。
上記以外にも、QGraphicsScene::sceneRectChanged()
Qt WidgetsにおけるQGraphicsScene::sceneRectChanged()の代替方法
QGraphicsScene::sceneRectChanged()
シグナルは、シーンの矩形領域が変更された際に発生する便利なシグナルですが、いくつかの代替方法も存在します。
QGraphicsScene::setSceneRect()
メソッドを使ってシーンの矩形領域を直接変更することができます。この方法を使う場合は、sceneRectChanged()
シグナルは発生しません。
scene->setSceneRect(QRectF(0, 0, 100, 100));
QGraphicsItem::setPos()
や QGraphicsItem::setSize()
メソッドを使って、シーン内のアイテムの位置やサイズを直接変更することができます。この方法を使う場合は、sceneRectChanged()
シグナルは発生しません。
item->setPos(0, 0);
item->setSize(100, 100);
代替方法3:QGraphicsView::update() メソッドを使う
QGraphicsView::update()
メソッドを使って、シーン内のアイテムを強制的に更新することができます。この方法を使う場合は、sceneRectChanged()
シグナルは発生しません。
view->update();
それぞれの方法のメリットとデメリット
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
QGraphicsScene::sceneRectChanged() シグナル | シーンの矩形領域が変更された際に自動的に呼び出される | スレッドセーフではない |
QGraphicsScene::setSceneRect() メソッド | 処理がシンプル | sceneRectChanged() シグナルが発生しない |
QGraphicsItem::setPos() や QGraphicsItem::setSize() メソッド | アイテムの位置やサイズを個別に調整できる | sceneRectChanged() シグナルが発生しない |
QGraphicsView::update() メソッド | シーン内のアイテムを強制的に更新できる | 処理が重い |
- シーンの矩形領域が頻繁に変更される場合は、
QGraphicsScene::sceneRectChanged()
シグナルを使うのが最も効率的です。 - シーンの矩形領域をあまり頻繁に変更しない場合は、
QGraphicsScene::setSceneRect()
メソッドを使うのが最もシンプルです。 - シーン内のアイテムの位置やサイズを個別に調整したい場合は、
QGraphicsItem::setPos()
やQGraphicsItem::setSize()
メソッドを使うのが最適です。 - シーン内のアイテムを強制的に更新したい場合は、
QGraphicsView::update()
メソッドを使うのが最も簡単です。
注意
QGraphicsScene::setSceneRect()
メソッドを使ってシーンの矩形領域を変更すると、シーン内のアイテムの位置やサイズが変更される可能性があります。QGraphicsItem::setPos()
やQGraphicsItem::setSize()
メソッドを使ってアイテムの位置やサイズを変更すると、シーンの矩形領域が変更される可能性があります。QGraphicsView::update()
メソッドは、シーン内のすべてのアイテムを更新するため、処理が重くなる可能性があります。
改善点
- 表を追加して、それぞれの方法のメリットとデメリットを比較できるようにしました。
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