Qt GUI でマウスホバリングイベントを処理する
Qt GUI の QHoverEvent クラス
QHoverEvent クラスを使用するには、以下の手順が必要です。
- イベントを受け取るウィジェットクラスを継承する
QHoverEvent クラスは QEvent クラスのサブクラスなので、イベントを受け取るためには、ウィジェットクラスを QObject クラスからではなく、QEventReceiver クラスから継承する必要があります。
- イベントハンドラを定義する
ウィジェットクラスに、以下のイベントハンドラを定義します。
hoverEnterEvent(QHoverEvent *event)
: マウスカーソルがウィジェット領域に入ったときに呼び出されます。
- イベントハンドラ内で処理を行う
イベントハンドラの中では、イベントオブジェクト event
から必要な情報を取り出して、処理を行います。
イベントオブジェクト event から取得できる情報
pos()
: マウスカーソルの現在の位置oldPos()
: マウスカーソルの前回の位置delta()
: マウスカーソルの移動量buttons()
: 押されているマウスボタンmodifiers()
: 押されている修飾キー
QHoverEvent クラスの例
以下のコードは、マウスカーソルがウィジェットの上をホバリングしたときに、ウィジェットの背景色を変える例です。
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// イベントハンドラを登録
setMouseTracking(true);
}
protected:
void hoverEnterEvent(QHoverEvent *event) override {
// ウィジェットの背景色を変える
setStyleSheet("background-color: red;");
}
void hoverLeaveEvent(QHoverEvent *event) override {
// ウィジェットの背景色を元に戻す
setStyleSheet("");
}
};
QHoverEvent クラスは、マウスカーソルのホバリングイベントを処理するために使用されます。イベントハンドラを定義することで、マウスカーソルの位置や移動量などの情報を取り出して、さまざまな処理を行うことができます。
QHoverEvent クラスを使ったサンプルコード
ウィジェットの背景色を変える
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// イベントハンドラを登録
setMouseTracking(true);
}
protected:
void hoverEnterEvent(QHoverEvent *event) override {
// ウィジェットの背景色を変える
setStyleSheet("background-color: red;");
}
void hoverLeaveEvent(QHoverEvent *event) override {
// ウィジェットの背景色を元に戻す
setStyleSheet("");
}
};
ツールチップを表示する
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// イベントハンドラを登録
setMouseTracking(true);
// ツールチップを設定
setToolTip("This is a widget");
}
protected:
void hoverEnterEvent(QHoverEvent *event) override {
// ツールチップを表示する
showToolTip();
}
void hoverLeaveEvent(QHoverEvent *event) override {
// ツールチップを隠す
hideToolTip();
}
};
ラベルにマウスカーソルの位置を表示する
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// イベントハンドラを登録
setMouseTracking(true);
// ラベルを作成
QLabel *label = new QLabel(this);
label->setText("Mouse position: ");
// レイアウトを設定
QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout;
layout->addWidget(label);
setLayout(layout);
}
protected:
void hoverMoveEvent(QHoverEvent *event) override {
// ラベルにマウスカーソルの位置を表示
QLabel *label = qobject_cast<QLabel *>(layout()->itemAt(0)->widget());
label->setText(QString("Mouse position: (%1, %2)").arg(event->pos().x()).arg(event->pos().y()));
}
};
画像を切り替える
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// イベントハンドラを登録
setMouseTracking(true);
// 画像を準備
QPixmap normalPixmap("normal.png");
QPixmap hoverPixmap("hover.png");
// 画像を表示するラベルを作成
QLabel *label = new QLabel(this);
label->setPixmap(normalPixmap);
// レイアウトを設定
QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout;
layout->addWidget(label);
setLayout(layout);
}
protected:
void hoverEnterEvent(QHoverEvent *event) override {
// 画像を切り替える
QLabel *label = qobject_cast<QLabel *>(layout()->itemAt(0)->widget());
label->setPixmap(QPixmap("hover.png"));
}
void hoverLeaveEvent(QHoverEvent *event) override {
// 画像を切り替える
QLabel *label = qobject_cast<QLabel *>(layout()->itemAt(0)->widget());
label->setPixmap(QPixmap("normal.png"));
}
};
ボタンを有効/無効にする
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// イベントハンドラを登録
setMouseTracking(true);
// ボタンを作成
QPushButton *button = new QPushButton(this);
button->setText("Button");
// レイアウトを設定
QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout;
layout->addWidget(button);
setLayout(layout);
}
protected:
void hoverEnterEvent(QHoverEvent *event) override {
// ボタンを有効にする
QPushButton *button = qobject_cast<QPushButton *>(layout()->itemAt(0)->widget());
button->setEnabled(true);
}
void hoverLeaveEvent(QHoverEvent *event) override {
// ボタンを無効にする
QPushButton *button = qobject_cast<
QHoverEvent クラスを使用する以外の方法
QWidget::mouseMoveEvent() イベントハンドラを使用する
QWidget クラスには、マウスカーソルがウィジェット内を移動したときに呼び出される mouseMoveEvent()
イベントハンドラがあります。このイベントハンドラを使用して、マウスカーソルの位置を取得し、それに応じて処理を行うことができます。
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// イベントハンドラを登録
setMouseTracking(true);
}
protected:
void mouseMoveEvent(QMouseEvent *event) override {
// マウスカーソルの位置を取得
QPoint pos = event->pos();
// 処理を行う
...
}
};
QTimer クラスを使用して、定期的にタイマーイベントを発生させることができます。タイマーイベントハンドラを使用して、マウスカーソルの位置を取得し、それに応じて処理を行うことができます。
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// タイマーを作成
QTimer *timer = new QTimer(this);
timer->setInterval(100); // 100msec ごとにタイマーイベントを発生
// イベントハンドラを登録
connect(timer, &QTimer::timeout, this, &MyWidget::onTimeout);
timer->start();
}
protected:
void onTimeout() {
// マウスカーソルの位置を取得
QPoint pos = QCursor::pos();
// 処理を行う
...
}
};
Qt::WA_Hover 属性を使用する
QWidget クラスの setAttribute()
メソッドを使用して、Qt::WA_Hover 属性を設定することができます。この属性を設定すると、ウィジェットがマウスカーソルでホバリングされている間は、ウィジェットに対してマウスイベントが発生し続けるようになります。
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// WA_Hover 属性を設定
setAttribute(Qt::WA_Hover);
// イベントハンドラを登録
setMouseTracking(true);
}
protected:
void mouseMoveEvent(QMouseEvent *event) override {
// マウスカーソルの位置を取得
QPoint pos = event->pos();
// 処理を行う
...
}
};
QMouseEvent クラスは、マウスイベントに関する情報を提供します。QMouseEvent::pos()
メソッドを使用して、マウスカーソルの位置を取得することができます。
class MyWidget : public QWidget {
Q_OBJECT
public:
MyWidget() {
// イベントハンドラを登録
setMouseTracking(true);
}
protected:
void mouseMoveEvent(QMouseEvent *event) override {
// マウスカーソルの位置を取得
QPoint pos = event->pos();
// 処理を行う
...
}
};
QHoverEvent クラスを使用する以外にも、マウスカーソルのホバリングイベントを処理する方法はいくつかあります。どの方法を使用するかは、処理内容や要件によって異なります。
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