Qt GUIにおける描画変換:QPainter::combinedTransform()の完全ガイド
Qt GUIにおけるQPainter::combinedTransform()の詳細解説
QPainter::combinedTransform()関数は、現在のペインター状態におけるワールド変換とビュー変換の積を表すQTransformオブジェクトを取得するために使用されます。これは、描画されるすべての形状とテキストに適用される最終的な変換を理解する上で重要です。
combinedTransform() 関数の詳細
QPainter::combinedTransform() は以下の情報を返します。
- ワールド変換: ペインターの座標空間をワールド座標空間に変換する変換
- ビュー変換: ワールド座標空間をウィジェット座標空間に変換する変換
これらの変換は、ペインターの描画操作にどのように影響を与えるのか、以下で詳しく説明します。
ワールド変換は、ペインターの座標空間をワールド座標空間に変換します。ワールド座標空間は、アプリケーション全体の論理的な座標系を表します。
例:
- アプリケーションで、メートル単位で描画する必要がある場合、ワールド変換を使用して、ペインターの座標空間をメートル単位に変換できます。
ビュー変換は、ワールド座標空間をウィジェット座標空間に変換します。ウィジェット座標空間は、ウィジェットのピクセル単位の座標系を表します。
例:
- ウィジェットの左上に描画したい場合、ビュー変換を使用して、ワールド座標空間をウィジェット座標空間に変換できます。
combinedTransform() 関数の使い方
QPainter::combinedTransform() は以下のコードのように使用できます。
QPainter painter(widget);
// ワールド変換を設定
painter.setWorldTransform(QTransform().scale(2.0, 2.0));
// ビュー変換を設定
painter.setViewTransform(QTransform().translate(100, 100));
// 矩形を描画
painter.drawRect(0, 0, 100, 100);
// ペインターの状態を取得
QPainterState state = painter.save();
// combinedTransform() を使用して、現在の変換を取得
QTransform combinedTransform = painter.combinedTransform();
// ペインターの状態を復元
painter.restore(state);
// combinedTransformを使用して、描画された矩形の最終的な位置とサイズを計算
QRectF rect = combinedTransform.mapRect(QRectF(0, 0, 100, 100));
このコードでは、以下の処理が行われます。
- ペインターオブジェクトが作成され、ウィジェットに関連付けられます。
- ワールド変換とビュー変換が設定されます。
- 矩形が描画されます。
- ペインターの状態が保存されます。
- combinedTransform() 関数を使用して、現在の変換を取得します。
- combinedTransformを使用して、描画された矩形の最終的な位置とサイズが計算されます。
Qt GUIにおけるQPainter::combinedTransform()のサンプルコード
矩形を描画し、combinedTransform()を使用して最終的な位置とサイズを計算する
QPainter painter(widget);
// ワールド変換を設定
painter.setWorldTransform(QTransform().scale(2.0, 2.0));
// ビュー変換を設定
painter.setViewTransform(QTransform().translate(100, 100));
// 矩形を描画
painter.drawRect(0, 0, 100, 100);
// ペインターの状態を取得
QPainterState state = painter.save();
// combinedTransform() を使用して、現在の変換を取得
QTransform combinedTransform = painter.combinedTransform();
// ペインターの状態を復元
painter.restore(state);
// combinedTransformを使用して、描画された矩形の最終的な位置とサイズを計算
QRectF rect = combinedTransform.mapRect(QRectF(0, 0, 100, 100));
// 結果を出力
qDebug() << "最終的な位置: " << rect.topLeft();
qDebug() << "最終的なサイズ: " << rect.size();
点を回転し、combinedTransform()を使用して最終的な位置を計算する
QPainter painter(widget);
// ワールド変換を設定
painter.setWorldTransform(QTransform().rotate(45.0));
// 点を描画
painter.drawPoint(100, 100);
// combinedTransform() を使用して、現在の変換を取得
QTransform combinedTransform = painter.combinedTransform();
// combinedTransformを使用して、描画された点の最終的な位置を計算
QPointF point = combinedTransform.map(QPointF(100, 100));
// 結果を出力
qDebug() << "最終的な位置: " << point;
画像を回転・拡大・縮小し、combinedTransform()を使用して最終的な位置とサイズを計算する
QPainter painter(widget);
// 画像を読み込む
QImage image("image.png");
// ワールド変換を設定
painter.setWorldTransform(QTransform().rotate(45.0).scale(2.0, 2.0));
// 画像を描画
painter.drawImage(0, 0, image);
// combinedTransform() を使用して、現在の変換を取得
QTransform combinedTransform = painter.combinedTransform();
// combinedTransformを使用して、描画された画像の最終的な位置とサイズを計算
QRectF rect = combinedTransform.mapRect(QRectF(0, 0, image.width(), image.height()));
// 結果を出力
qDebug() << "最終的な位置: " << rect.topLeft();
qDebug() << "最終的なサイズ: " << rect.size();
その他のサンプル
- 線を描画し、combinedTransform()を使用して最終的な形状を計算する
- テキストを描画し、combinedTransform()を使用して最終的な位置とサイズを計算する
QPainter::combinedTransform() 以外の方法
QTransform クラスは、2D 変換を表すクラスです。以下の方法で QTransform オブジェクトを作成し、ペインターに設定できます。
QTransform transform;
// 回転
transform.rotate(45.0);
// 拡大・縮小
transform.scale(2.0, 2.0);
// ペインターに設定
painter.setTransform(transform);
QMatrix クラスは、3D 変換を表すクラスです。以下の方法で QMatrix オブジェクトを作成し、ペインターに設定できます。
QMatrix matrix;
// 回転
matrix.rotate(45.0);
// 拡大・縮小
matrix.scale(2.0, 2.0, 2.0);
// ペインターに設定
painter.setMatrix(matrix);
QGraphicsView クラスは、グラフィックスシーンを表示するためのクラスです。以下の方法で QGraphicsView オブジェクトの変換を設定できます。
QGraphicsView view;
// ビューの変換を設定
view.setTransform(QTransform().scale(2.0, 2.0));
// シーンをビューに追加
view.setScene(new QGraphicsScene());
これらの方法は、QPainter::combinedTransform() よりも柔軟な方法で描画変換を制御する必要がある場合に役立ちます。
QPainter::combinedTransform() は、Qt GUI で描画変換を扱うための便利な方法です。しかし、より柔軟な方法で描画変換を制御する必要がある場合は、QTransform クラス、QMatrix クラス、QGraphicsView クラスなどの他の方法を使用することができます。
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